第6話 守りたいもの
突如、現れた3人組を見て危機感に静まり返る。
ヘラヘラと笑う奴らは、あかねを怪しげにニヤニヤと見る。
僕は、サッとあかねとこはるの前に立った。
冷や汗が止まらない。
足がガクガク震える。
なんでこんなところにこんなガラの悪い奴らが居るんだ!
場違いにも程があるだろ!
中肉中背の帽子を被った男とパーカーを被った肥えた男。
そして、先頭に立つ赤髪の三角眼の男。
その赤髪の男が僕に言った。
「その長身の女を渡せよ。用があってな。痛い目にあいたくないなら大人しく。」
男が言い切る前にこはるが言い放った。
「ばっかじゃないの‼︎調子に乗ってんじゃないよ‼︎はいそうですかって、あかね姉を渡すわけないでしょ‼︎」
「こはる‼︎」
こはるが前に出て、相手を挑発する。
それを必死に制止するが、こはるは元々、気が強いせいか気が立ってるようだ。
「チビは黙ってろ。」
赤髪の男が鬱陶しそうに舌打ちして、こはるのコンプレックスである貧乳の次のチビを言ってしまった。
こうなってしまっては、こはるは手をつけられない。
「チビって言うなー‼︎」
「落ち着けこはる!」
「こはるちゃん!」
こはるは怒り狂って、僕やあかねの静止を振り払って、赤髪の男に突進してしまった。
慌てて僕はこはるを追いかけてこはるを止めようとした時ーーーーー
パァンッ!
乾いた音が響き、僕はこはるを受け止めた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁん‼︎」
こはるは頬を打たれて腫らし、痛みのあまり大声で泣き出した。
「うるせぇ‼︎クソガキ‼︎」
「危ない‼︎」
赤髪の男が泣きじゃくるこはるを蹴ろうとした時、僕がこはるに覆い被さった。
「うぐっ!痛い‼︎」
蹴りが容赦なく僕の背中に当たると他の男達も一斉に僕を蹴ったり踏みつけ始めた。
ゲラゲラと面白そうに楽しげに。
こいつら腐ってる!
こはるを抱きしめて、こはるに当たらないように必死に守る。
「誠一兄、、、」
こはるは弱々しく、僕の腕の中で泣く。
そして、ハッとした。
あかね。
あかねは!
「きゃぁぁぁぁぁぁ‼︎」
顔を上げるとあかねが中肉中背の男と肥えた男に捕まっている事に気付いた。
すると肥えた男がよだれを拭いながら、あかねの胸をみるやいなに。
「いい胸してるなぁ。少し触らせろよ。」
「触らないで!気持ち悪い!」
あかねはすぐにその汚らわしい手をはたき落とした。
「あかねから離れろ‼︎近づくなー‼︎」
僕が叫ぶと顎にガツンと鈍い痛みと衝撃が走った。
「お前は寝てろ。」
「誠一ーーーー‼︎」
意識が遠のいて行く。
あかねが呼ぶ声がする。
あかねを守らなきゃ。
守らないと‼︎
途絶えそうだった意識を必死に繋ぎ止めて、僕はそっとこはるに呟いた。
「こはる。よく、落ち着いて聞いて。」
「ーーー?」
僕の言葉にこはるは落ち着きを取り戻し、泣き止んだ。
「僕は、あかねを助けに行く。だから、こはるは誰か助けを呼んで来て。頼む。」
「分かった!」
「行くぞ‼︎」
その言葉と同時に僕とこはるはお互いに反対方向へと走った。
赤髪の男があかねの元へ向かい仲間と集まろうとしているがそうはさせない!
「うわぁぁぁぁぁぁ‼︎」
「しつこいんだよ‼︎雑魚が‼︎」
左頬に赤髪の男の拳がめり込んで、衝撃でメガネが吹っ飛んでいった。
それでも怯まずに赤髪の男に体当たりしてしがみついた。
「あかねは渡さない‼︎絶対にだ‼︎」
鼻血を流しながら叫んだ。
痛い。痛い。
喧嘩なんてしたこともないし、暴力を振るった事もないから、どうすれば勝てるかなんて分からない。
でも、ここで逃げちゃダメだ‼︎
ふと、あの時の光景が蘇った。
「私、大人になったら誠一のお嫁さんになる!」
そういえば、幼い頃に山で遊んでた頃、あかねがいつも口癖みたいに言ってたなぁ。
幼馴染だから大人になればいつかは気が変わるだろうって思ってた。
「約束だよ。」
あの時のあかねの笑顔が忘れられない。
一時の幸せでも感じていたいと思える程、あかねのそばにいたい。
ずっと、ずっと、守りたいと思っていた。
そうだ。
僕は、あかねの気持ちにずっと甘えていた。
気付かないふりして逃げていた。
怖かったんだ。
あまりにもあかねと僕が違い過ぎて、いつかあかねが遠くに行ってしまうのが。
自分が傷つくのが怖かったんだ。
だからこそ、気づかない振りをし続けてた。
自分を守る為に。
今、守るべきものはあかねだ!
あかねを全力で守るんだ‼︎
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