オタクな君に恋してる!

はる

第1話(彼女の秘密)




季節は秋ーーー。


都会から離れた田舎町の山奥にある田んぼと山に囲まれた四季折々の季節が楽しめる黒崎町。


僕の部屋の窓から夕陽が差してあかねの頬をほんのりと色っぽく照らす。


「捕まえた」



畳の上で、僕に向き合って、跨りながらあかねは長く艶やかな黒髪を耳にかき上げる。


「いつまで、私を待たせるつもり?」


その瞬間、僕の心臓がドクンと跳ねる。


清楚でお淑やか。頭も良く、運動神経も良い。誰もが憧れる女の子。


彼女の真っ直ぐな視線に思わず、ごくりと唾を飲み込む。

自分の顔が堪らなく赤く火照り、熱いのが分かる。

どうにかこの状況を脱せねば!

彼女に触れようにも手汗で、触れるなんてとんでもない。


なぜ、こんなに美しい魅力的な女性であるあかねが、幼馴染とはいえ、こんな陰キャオタクの僕に好意があるのか?謎過ぎる!




そう。


彼女の秘密、、、

美野あかねは、清楚、清純、可憐と言われ、そう振る舞っているが、











本性は、とんでもなくケダモノだという事だ。





















ーーーーーーーーーーーーーー



ここは、この町に唯一ある黒崎高等学校。


それは、突然だった。


「俺と付き合ってください‼︎」


中庭で、白昼堂々、昼休みだからたくさんの生徒が行き交う中。


こう言ってはあれだが、ヤンチャそうな男子生徒があかねに愛の告白を告げた。


あかねはニッコリと微笑み即答。


「ごめんなさい。」


「チクショー‼︎これで、87敗目‼︎負けてたまるかーーー‼︎」」


大声で叫びながら男子生徒は、泣きながらもリベンジを誓い走っていった。


あたりは何だったのだろう?と、嵐が去った前の如くざわついていたが、やがていつもの日常へと戻る。


それを僕は、校舎の廊下側の窓から眺めていた。


僕は池田誠一(16歳)。茶髪がかった黒髪で丸眼鏡に地味で目立たない、友達すらいない根暗な高校2年生。

そんな僕の密かな楽しみは推しのアニメ魔法少女みこりんのオタ活だ。


魔法少女みこりんというのは、ミコトという、勇敢で、正義感の強い金髪魔法美少女が悪に向かって、対抗する勧善懲悪物語である。


いつも、トレードマークにみこりんのロゴが入ったパーカーを制服の下に着て登校している。


「相変わらず、モテモテだなぁ。」


「モテモテで羨ましい?」


「うわぁーーーー!」


窓枠に肘をついて、のんびり構えていたら、突然、目の前にひょこっとあかねが顔を出してきたから驚いて変な大声を出してしまった。


「あははっ!誠一の驚いた顔って、おもしろい。」


彼女は、僕の幼馴染の美野あかね(16歳)

黒崎高等学校二年生。

ストレートの黒髪ロングヘアに類稀な美貌とグラビアアイドル級のボディーの持ち主である。

その美しさに何人の男達が撃ち抜かれたことか、、、


「がっ、学校では、あまり話しかけないようにっていってーーっ」


そう言いかけた時、あかねに胸ぐらをぐっと掴まれて引っ張られた。


次の瞬間だった。




あと数センチ。



吐息がかかるぐらい唇を引き寄せられる。



あかねが校舎の窓枠に登り、僕は膝を付く。


顔をぐっと引き寄せながら僕とあかねは視線を合わせる。


すると、クスッと笑いその場を後にする。



「またね。誠一。」



去り際にあかねは一言だけそう言って、去っていった。


やられた。


まったく。あかねのやつ。



安堵する僕は知らなかった。


その一部始終を廊下の端で、とある女生徒が見ていた事を。



「美野あかね、、、、。」


















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