第13話 想いは溢れているのに
なんであの時の女の子がここに⁉︎
疑問が湧くと同時に僕は校庭へと教室を飛び出して、校庭へと駆け出していた。
「誠一⁉︎」
背後からあかねも僕の後を追うようについて行こうとした時、クラスメイトから声をかけられて、立ち往生してしまった。
息を切らしながら校庭に出た僕はあの時の少女を探す。
すると、少女は同じ金髪の少年と言い合いになっているようだ。
「あのぉ、、、」
僕が二人組に声を掛けると、少女はぱぁっと顔を輝かせて、金髪の少年を振り払って、僕に抱きついて来た。
「やっと、出会えた‼︎池田誠一君だよね‼︎」
ちょうど、僕の胸あたりに少女の頭があり、キラキラ目を輝かせて少女は僕の顔を見上げた。
「こはる!」
金髪の少年が少女。こはると呼び、さらに混乱する僕から引き離して、礼儀正しく一礼した。
「突然、押しかけて来てしまってすまない。
俺は一条蒼太。こっちは妹の一条こはる。」
「私ね。誠一君に会いたくて、誠一君の事を調べて、この町の旅館に宿泊しているの。」
「えっ?僕に会いたくてって、、、調べて⁇」
「妹がどうしても君に会いたいって言ってね。」
小動物のように喜ぶこはるとは違って、冷静で落ち着いた蒼太と名乗る少年。
僕と同じ高校生かな?落ち着いた雰囲気から年上に感じる。
「よく、分からないけど、イベントの時は助けてくれてありがとう。
あの時、お礼が言えなかったから。」
蒼太はこはるの頭を撫でながら、そんな事、気にしなくていいよと言った。
「そう言えば、あの乳牛のお姉さんはいないの?」
「にゅっ、乳牛⁉︎」
もしかして、あかねの事?
「誰が乳牛ですってーーーー‼︎」
突然、僕の背後から鬼気迫るような唸り声が聞こえて、振り返ると明らかに不機嫌そうなあかねがいた。
「この人が、あの時、誠一君といた美野あかねさん?」
こはるは僕に問いかけて来た。
ピリピリとあかねの視線が僕に突き刺さる。
「えっと、、、そうだけど。」
すると、あかねは有無言わさず、僕の前に立ちこはるを見下ろす。
「私の誠一になんの用?」
「別に。誠一君に会いたくて、会いに来ただけだよ。」
なんか、急に空気が殺伐してきたような?
それを察して、蒼太がこはるの手を引く。
「急にお邪魔して悪かったよ。今、ここの旅館に宿泊しているんだ。しばらく、この町にいるからよろしく。」
そう言って、旅館の名前と少年の名前が書かれたメモを僕に渡して来た。
僕がメモを受け取ると、少年は爽やかな笑顔で旅館に戻るからと言って、こはると去って行った。
なんだったんだろう?
すると、あかねは強引に僕の腕を掴んで、校舎ではなく、校舎裏へと僕を引っ張っていく。
「どうしたの?早く教室に戻らないと昼休みが、、、」
僕が問いかけてもあかねは無言で突き進み、校舎裏へと着くと、体育倉庫を見つけて、その中に僕を突き飛ばした。
あかねも埃まみれの体育倉庫に入ると、内側から鍵をかける。
そして、どこから手にして来たのか、リレーで使われるリボンを手にマットから起きあがろうとした僕の上に馬乗りになる。
「ちょっと待って!」
まさか、あかねのスイッチが入ったのか⁉︎
あかねを静止しようとしたが、
「じっとしてて!私の問いにだけ答えて!」
僕の両腕をリボンで巻いて身動きが取れないようにする。
そして、制服のボタンを外して、シャツのボタンまで外していく。
「落ち着いて!ダメだって!あかね。どうしたんだよ!」
「誠一が悪いんだから!鈍感!分からず屋のバカ‼︎」
両腕をリボンで巻いてあるのと、あかねが馬乗りになっているから、身動きが取れない。
あかねは僕のシャツのボタンを全て外し終えると、制服の上着を脱いだ。
あかねの薄い水色のレースがあしらわれたブラに豊満な胸が露わになる。
いつものパターンだけど、今回のあかねは何かが違う。
僕の胸を人差し指で撫でると、あかねは艶美な笑みで言った。
「私ね。本当は待つの苦手なの。誠一が悪いんだから。」
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