第7話嵐の始まり







季節は冬ーーー。


12月になり、山や森は真っ白な美しい雪景色。


道には、人の行くてを塞ぐようにたくさんの雪が降り積もる。


車道や歩道は市の補助によって、雪の除去がしてあるが、私道や自宅は誰もが雪かきに大忙しだ。


僕は2時間半をかけて、田舎からバスと電車、さらにバスと徒歩で、都市部のイベント会場に降り立った。


「すっ、、、凄い。」


決して、大きなイベントではないが、それでも、初めてコミックイベントに参加した高揚感とその場の雰囲気に気分が高まっていた。


会場受付けで、入場料を払い、パンフレットを購入して、会場に入っていた。


会場内では、魔法少女みこりんのアニメキャラクターのキャラクターになりきって、コスプレする人もいたり、たくさんの関連グッズを販売しているサークルで溢れていた。


活気に溢れた会場内に遅れを取りながらも、入場券を買った時に買ったパンフレットを見て、気になるサークルを見て、そこに向かおうとしたその時だった。


一際、注目を集めるコスプレイヤーがカメラマンに囲まれていたのだ。


たくさんの人からカメラを構えられ、シャターを浴びていて、妙に気になった。


他の人の邪魔にならないように近づくと、そこには衝撃の人物がいて、思わず、僕は吹き出して、嫌、、、吹き出すどころか、鼻血を吹き出していた。












「あかねーーーーーーーー‼︎」











何故か、そこには魔法少女みこりんの敵対する悪役のコスプレをしたあかねがいた。


グレーに紫、2色のグラデーション・ストートロングヘア、露出度の高い衣装である胸元がパックリと開いたハイグレ、黒マント、ハイヒールに鞭と、いかにも悪役SM女王様的な衣装だ。


そんな、衣装をナイスボディなあかねが着たら、、、。





僕は、平然とカメラのシャターを浴び、ポーズを取るあかねを無視して、人混みを掻き分けて、その腕を掴んだ。


あかねは一瞬、驚いた顔をした顔をしたが、僕を見て、すぐ笑顔になった。


僕はそんなのをお構いなしに、上着に羽織っていた自分のダウンをあかねに無理矢理被せると、再びその腕を掴んで、人気のない場所はないかと引っ張って、人混みを掻き分けて連れ去っていった。







ーーーーーーーーーーーーー





イベント会場から少し外れた、人気のない公衆トイレ前に辿り着くと、僕は烈火の如く、あかねに怒った。


「なんで、そんな、格好でここにいるんだよ!ってか、寒く無いのか!あかね!」


あかねは少し照れたような顔をした。


「だって、少しでも誠一と一緒に居たいし、一緒に楽しみたかったもん。」


「ーーーーーーーーっ!」


そう言われると、何も言葉が出なくなる。


それよりも、その格好!


「分かったよ。でも、その格好はマズイだろ。もし、変態にでも狙われたら危険な目に遭ってたかもしれないんだぞ!」


「だって、みこりんは私とは真逆のイメージだし、誠一とイベントを楽しむならこっちのキャラクターの方が、私には似合ってると思ってね♡」


がっくしと項垂れる僕を他所に笑うあかね。


いつも、自分の事より他人の事ばかり。


だから、いつも心配になる。


放って置けなくなる。


「とにかく、僕はこれからサークル巡りをするから、絶対に僕の側を離れないで!約束!守れる?」


あかねが目をパァと輝かせる。


「うん!」


そして、僕達は2人で手を繋いで、グッズの買い物をする為に再びイベント会場に向かおうとした、その時だった。












「へぇ。陰キャの癖にいい娘連れてるじゃん。」










不穏な雰囲気、言葉と共に見るからにガラの悪い中肉中背から巨漢の3人組の男達が、僕達の前に現れた。












「こいつボコして、女連れて行くぞ。」












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る