第6話イジワル♡
「キッ、、、キス⁇?」
あかねは、こくりと無言で頷く。
ちょっと待て!ちょっと待ってくれー!
キスって、あれだろ⁉︎
あれの事だろ⁉︎
少女漫画や恋愛ドラマでよく見るあれだろ⁉︎
まだ、一度も誰ともした事ないんだけど!
それなのに急に言われてもー⁉︎
すっと、目を閉じて、僕からのキスを待つあかね。
えーーーーーっ‼︎
心臓が飛び跳ねるくらいバクバクなって、体全体から汗が噴き出る。
こうなったら、みこりんの為だ!
この試練を乗り越えなければ、みこりんには会えないんだ!
混乱のあまり、意味不明な脳内になりつつも、そっと、あかねの艶やかで柔らかそうな唇に自分の唇を近づけていく。
距離が近まる程、心臓の音が相手に聞こえるんじゃないか?って、ぐらいにドキドキしてる。
唇同士が触れるか触れないかその時だったーーーーー。
バチーンッ‼︎
部屋に鳴り響くぐらい、派手にあかねは、僕の頬に平手打ちした。
僕は、状況が飲み込めず、ビンタされたと同時に飛んでいったメガネをはめ直す間も無く、あかねは、間髪入れずに怒った顔で言った。
「ちっがーう‼︎なんで、そんな、おっさんみたいな顔して、汗まみれで、鼻息荒く、タコみたいに唇を伸ばしてキスをしてこようとするわけ?」
「おっ、おっさん⁉︎」
確かに元々、汗っかきだから、緊張もあって、余計に汗をかいてしまったけど、そうな風だったのか。
グサっとあかねの言葉が地味に胸に刺さる。
「キスしてって言ったのは、あかねの方だろ⁉︎」
思わず、反論してしまった。
「そうだけど、もっと、自然にと言うかロマンチストに、、、とっ、とにかく、さっきみたいなのは嫌っ!」
「じゃあ、あかねがキス。してみてよ。」
「えっ?」
僕からの予想外の提案にあかねが驚く。
自分でも予想外だった。
いつもだったら、自分の口からこんな言葉が出るなんて、ありえないのに。
急に顔を紅くして、視線を逸らそうとするあかねをじーっと、見つめる。
「そんなに見つめないでよ!恥ずかしいでしょ!」
こんな、あかねの姿は見た事が無い。
いつもは積極的かつ、エロく僕に迫って来るのに、、、
今は恥じらいを隠しながら、相手からの視線を逸らし、必死にもがいている様子。
まるで、小動物みたいな可愛さだ。
「可愛い。」
そっと、あかねの前髪をかき上げ、額に一瞬だけキスをした。
自然とそう言葉が出て、気づいたらキスをしていた。
おでこだけど。
途端にあかねは目を見開き驚いた表情をしていた。
僕は、自分がした行動に急に恥ずかしさが込み上げて、顔が茹で蛸みたいに真っ赤になる。
ずっと、顔を赤くして、黙って下を向いていると、あかねが僕の方へ飛び込んで来て押し倒されてしまった。
「待て、待て、待て‼︎今のは、体が勝手に動いて。
落ち着いて!」
慌てて、バタバタと足をバタつかせる僕にあかねはふふふっと笑う。
あかねのサラサラとした綺麗な、いい香りがする黒髪が僕の頬をかすめる。
吐息がかかるぐらい、あかねとの距離が近い。
やばい。
これは、いつものパターンだが、いつも以上に貞操の危機を感じる。
「誠一のイジワル♡」
ーっふと、あかねから解放される。
「ほえ?」
戦々恐々していた状態からの解放で、変な声が出た。
「イベント。楽しみにして来てね。」
そう言って、あかねは颯爽と僕の部屋を去っていった。
ポツンと1人部屋に取り残される。
まるで、嵐のような時間だった。
何はともあれ、みこりんのイベントには行ける‼︎
決戦は冬‼︎
それまでにたくさん貯金して、イベントについて詳しく情報をチェックしないと!
あと、あかねの誕生日プレゼントにイベントへの交通手段やそれからそれから。
いろいろやりたい事やる事が多くて、頭の中が混乱するけど、楽しみの方がいっぱいだ。
早く冬にならないかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます