第4話嵐の予兆


その日、学校から帰った僕は自分の部屋で、あるイベント広告を凝視していた。


なんと!

推しの魔法少女みこりんのイベントが僕の住んでいる県で、開催される事になったのだ!


高校生の身である僕では、ましてや山奥の田舎住まいでは、バイト探しも困難で推し活の為の資金集めも難しい。


日々、学校の休みの日に両親の農業の手伝いで、お小遣い稼ぎとお年玉をせっせと貯めて、陰ながら魔法少女みこりんのグッズを集めたり応援していたのだ。


魔法少女みこりんとの出会いは中学生の頃だった。


言いたい事をハッキリと口に出せずにもじもじしていた僕をクラスメイトに冷やかされた時、心に傷を負いながら、自宅に帰り気分転換にテレビを付けたら、明るく元気なパワーに満ち溢れたみこりんを見て一目で釘付けになってしまったのだ。


それから、魔法少女みこりんは僕の推しであり、元気を与えてくれる源になった。


今では、僕の部屋の押し入れの一部は長年集めたみこりんのグッズで埋め尽くされ、大事に大事に保管されている。


高価なフィギュアやアニメDVDは買えないけど、本やキーホルダーなどを集めている。


時折り、押し入れからみこりんのグッズを取り出して、みこりんの顔を見て癒されつつ、元気をもらうのが僕の楽しみなのだ。


しかし、ここで問題なのが、イベント開催日があかねの誕生日なのだ。


絶対にイベントには行きたい!

行くなら今しかチャンスは無いはず。

普段は通販でしかグッズなどは買えないが、イベントならレアグッズとかあるかもしれないし、イベントならではの楽しみや同じファンとの交流も出来るかもしれない。


もしかしたら、、、

ひょっとしたら、友達が出来たり、、、とか、、、?


嫌、僕みたいな陰キャ地味男なんて無理か。

話しかけられるだけでも挙動不審で、怪しまれてしまう。


でも、チャンスがあるなら。

前に進みたい。


あかねはどう思うかな?


毎年、あかねの誕生日はお家で誕生日パーティーを開いて、両親から溺愛されているのも分かるぐらい家族仲は良い。


誕生日ケーキはなんと、あかねのお母さんの手作り!

味も絶品だ。


今年ぐらい、誕生日パーティーに行かなくても大丈夫だよね。

プレゼントはちゃんと用意するし。

ちゃんと理由を話せば、あかねも理解してくれるはず。


よし!今度、あかねが家に来た時に話そう。

あかねは、ちょっとエッチな子だけど、素直で良い子だから。


僕は再びイベント広告を見て、思いを膨らませた。

初めてイベントに参加するから何を準備したらいいだろうかとかワクワクが止まらない。


流行る気持ちを抑えて、深呼吸をして、とりあえず、あかねに何をプレゼントしたら喜んでくれるかを考えることにした。


あかねが喜ぶ笑顔も見れたら嬉しい。



この時、僕は、最悪な事態に巻き込まれる事に予想もしていなかった。

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