第18話 勝者の権利
「………?」
意味が分からない……って顔だな。
「そんなに難しい話じゃねぇよ。ウチの
「なっ???」
おいおい……驚き過ぎてハニワみたいな顔になってるぞ。笑いそうになっちまうから勘弁してくれ。
「まぁ、あのまま続けても……引き分けに持ち込む自信はあったがな」
鉄塔の上のコーンを俺がゲットすれば……たとえ
「いくらすげぇ
― ふぅ…… ―
大きな溜息を一つついた姉御(そろそろこの呼び方は止めたい)は……
「つまり……どっちにしても『私達の勝ちは無かった』という事ですね」
何か張りつめた物が消えた様に晴れやかな表情になった。
「あの時点だったらな。こっちはスタート直後からヒヤヒヤしっぱなしだったぜ」
「フン……」
― バシュ ―
その時、ノックも無くメディカルルームのドアが開いた。入って来たのは仮面を貼り付けた執事と……
「どうした? コクピットから下りた途端に倒れたらしいな」
「姐さん!!」
錠太郎と……多分姉御のチームでオペレーターをしてた人だな。しかし……姐さんねぇ。
「おう。ちっとシートが合わなかったみたいでな。ま、
「騒々しいですわよ。メディカルチェックなんて何時も受けているでしょう!」
……オペレーターさんと、ついでに錠太郎までがあっけに取られている。なんというか……彼女の切り替えのギャップは破壊力が凄い。
「では……パイロット御二方のメディカルチェックは終了いたしましたので、お揃いの皆様も含めてお伝え致します」
騒がしく再会の挨拶を交わす俺達を、熟練の教師の如き手際で遮った
(さすが……人を仕切るのが上手いな)
「まずはチーム“
姉御と……子分(?)らしき人がスカさんの言葉を黙って聞いていた。そう……このレースが何故
(負けた奴は全てを奪われる……
「そして……チーム“
おい……それはココで言わないと駄目な事かよ!? 二人の目が……真っ暗な空洞みたいになってんじゃねえか!!
(やめろ……そんな目で見るなよ?!)
「さあ、遠慮はいりません。貴方は全てを賭けて勝利を掴んだのです。新たに手に入れたマシンに乗り換えるも自由。はたまた愛機に新たな力を加える為の
(だから止めろって!! 二人の瞳が古井戸の底みたいになってんじゃねえか!!!)
「いや……どっちも俺達には必要ねぇ。オークションに掛けるから本部で回収してくれ」
俺は当初から予定していた通り、ストレートに現金に替える選択を採った。乗り換えは気が進まないし、本格的な
「姉御!!」
「アホ! はしゃぐんやない!!」
二人がホッとしてバタバタしている。
(オークションに出しときゃ……姉御達が取り戻す可能性もある。これまで四連勝してるんだからな。それなりに資金だってあんだろうよ)
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