第7話 第二種接近遭遇……➂
(?? 今まで
俺がよほど怪訝な顔をしていたのか……それとも隣の姉御がいつの間にかこっちの話に聞き耳を立ててるからなのか……
スカさんは仮面の切れ目から見えている口元を少しだけほころばせて、その
「お二方にとっては、その様なシステムの存在は不思議かもしれませんが……実は稀にその様な状況が発生する場合が御座います。それが……我らが誇るレースシステムの要“
(?? 意味が分からねぇ……“必然的に一騎打ちを誘発する状況”が起こるってのか?)
モーターゴーレムの視界に相当するモニターに、
具体的には、AR表示される全高3Mのコーンに
基本的に競技者がそれぞれゴール出来る数が用意されるし、自分の必要数を撃破すれば、それ以上は攻撃出来ない仕様になっているからから競技者同士が奪い合う意味も薄い。
その証拠に、俺よりもベテランなはずの姉御も怪訝な表情だ。
「お二方が想像し辛いのも無理はありません。実はこの条項………我々が
「……理由はなんですの? そんな大衆受けしそうなコンテンツを、
おっ……言葉遣いがお嬢様モードに戻ってる。
「ふむ……それは本部の裁定ですので私にはなんとも……ただこの特別条項が殆ど発生しない理由は簡単です。この条項……
はん? そりゃどういう意味だ? さっぱり想像がつかなかった俺は、反射的に隣の姉御を見た。おっ……姉御の表情が“腑に落ちた”って感じになっている。
(なんだ? 今ので何が分かったんだ?)
「なるほどね。つまり、レースで先行するパイロットが相手が必要とする最後の指標付近に陣取って待ち伏せするとか……一定以上のタイム差を築いたパイロットがゴール直前で仕掛けるのが“
そうか……本来ならそのまま先行してゴールに入れば勝てるレースで“勝者が敢えて完全な決着を望む”から奇妙な一騎打ちが発生するって事か。
「“
「あなた、言葉遣いにリーチだの俊英だのと……イチイチ賭博用語を織り交ぜるのはお止しなさい。それとも貴方達が“パイロットをどう見ているか?”を誇示なさりたいのかしら?」
ヤバい……また姉御の額に
「おっと失礼を……その様な意図は全く御座いません。何を隠そうこの私“三度の飯より博打好き”という奴でして……実はこの仕事に着く前はけっこうブイブイ言わせてたんで御座いますよ」
おいおい、最初に現れた時から思ってだけど……このレースに関わってる奴ときたら、
「誰一人
「何か仰いまして?」
「いいえ! 何でもありません!!!」
だから……イチイチ額に
「少々お話が本筋から逸れてしまいましたが……“ショウダウン”についての発動条件を含めて詳細は先程お渡ししたタブレットに記載されております。それではテツオ様……これ以上質問が無ければ当該箇所にデジタルサインを」
「ああ……」
俺は促された場所に人差し指で必要なサインを入れた。これで、泣いても笑っても後戻りは出来ない。
「両者共に契約のサインを確認いたしました! 有史以来、人間は最も脚の遅い野生動物でありました。だが蒸気機関車の発明を持ってその事実を覆してより僅か三百年足らず……人間は星を越える速さを操るただ一つの種に躍り出ました。そう……人間は全ての動物のスピードを
(おいおい……マジかよ? ソレ言わないと駄目なの?)
どうも……俺が毎回スキップしちまうシーンはその都度撮影してたらしい。ちなみに姉御はスカさんの一人舞台に呆れたのか、既に“我感せず”という風情だ。
「だから……どっちが速いんだ?!」
スカさんがカメラらしき方向にポーズ
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