17.変身!青の魔法少年の誕生
「イヤっ!? なに、この音。頭が、割れそうよ」
レンが防犯ブザーの紐を引くと
突然と、だ。
まるでショタコンゾンビにしか聞かない不快な音が鳴っているかのように。
レンの身体が光り出す。
青い輝き。
光のシルエットとでも言おうか、服が消えて、肌のラインがあらわに……凝視してていいものか。
まさに〝ぽむっぽむっ〟というような可愛らしい交換音と共に装飾が増えていく。
靴から始まり、足、スカート、上着、腕、頭と。
「この変身パターン……俺は、知っているぞ」
魔法少女(この場合
「ふ、服が変わってます」
着替えが終わったようで光が消え、新衣装が披露された。
魔法少女といえばひらひらだったりキラキラだったり、場合によれば露出の多いものだったりする。
──しかし、レンのそれは違った。
アニメ風コウモリの顔がプリントされたフード。
穴が開いているのか横から短めのツインテール。
口には布マスク。
服は改造されたセーラー服のよう。
腕あたりの布は多く、萌え袖のようになっている。
どちらかと言うと変身前の服装の方が派手だった。
確かにスカートの丈は短くなっているが相変わらずの青色の太ももストッキングで肌の露出はない。
普通のセーラー服より少し肩の露出があるくらいか。
「可愛くないんですがッ!!」
レンの第一感想がこれである。
「ボクが好きな明るい青じゃなくて暗い青。フードやマスクでボクの可愛い顔が皆に見られないし、これじゃまるで根暗な引きこもりオタクみたいじゃないですか! 脱ぐ。これなら裸の方がマシですよ!! ──あれ」
「いや、俺はカッコいいと思うぞ。ヒップホッパーみたいなアンダーグラウンド的な。それに変身後にフードを外して決めポーズは
「外れないんですよ、フードが! それにマコトさんの美的センスなんか知りませんから」
本当にカッコいいと思う。
服のデザイン的に『喋らなければ可愛い娘』という印象を受けてしまうが。
なによりも武器である弓の変化だ。
ただの木の物から鉄のような輝きでコウモリが装飾されたゴシックなデザイン。
魔法少女もとい【魔法少年の暗殺者】のようである。
「服装が変わった程度でなんだって言うの!? 私が勝ちということは変わらない。どうせならえっちな衣装チェンジしなさいよ!!」
再びレンに向かって蛇の触手を伸ばす
「──っ」
レンはおののいて後ろに下がる、石につまづき体勢を崩した。
スカートのポッケからなにかがこぼれる。
この鏡の墓場にやってきたすぐに拝借した〝小さな折り畳みの鏡〟。
開き、その小さな鏡がレンを映す。
「……き、消えた」
触手は行き場を失って地面に叩きつけられる。
「ありえないわ。だってそれはあの男ババァの」
「
「へー、なんだかよく分からないですけど。ボクはお前を倒す力を手に入れたということですね」
「レン。透明化といっても喋ったらどこにいるか分かっちゃうから気をつけて」
「い、言われなくても! それと『ちゃん』を忘れてます!!」
俺は目を閉じて集中してしまえばなんとなく場所を把握出来るけど、
接近戦にならなければ勝ち目はある。
しかも、レンは弓使いだ。
「あがぁ!?」
一撃目が直撃する。
胸辺りに矢が食い込んだ。
見るに矢の威力もかなり増している。
しかし相手もバカではないようで矢の角度から位置を特定し尻尾を叩き込む。
「はぁい、はずれ。ざんねんでした~。ざぁこ。がんばれっがんばれっ」
調子に乗り始めるレン。
いや、これが本調子か。
「このメスガキが! アンタなんて私の良いようにされるだけの玩具のくせして!!」
周りの鏡という鏡を割っていく。
「どっかの筋肉ゴリラが言ってたんですけど、悪役って泣きわめく子供みたいで可愛くない。その点、誰が言い始めたか知らないですけど──『かわいいは正義』」
「いぎゃぁぁぁあああ!?」
矢が
「よってボクは世界中の誰よりも超絶に可愛いんです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます