●第二十六話● 男の子みたいな女の子
(――
光に透けて栗色に光る長い髪を高い位置で結んだその少女は、眼光鋭くキッと
「男だろうがなんだろうが、朝起きたら目ェ開けるのが一番先に決まってる。次に顔洗うか歯磨くは、人それぞれ。なんでそんなこともわからないかな」
「……あっ――!!」
その子――
涼しげな瞳は気が強そうに光って、細い顎も薄い唇もどこか中性的だった。
すっきりと整った顔立ちをしているが、髪さえ長くなければ、少年だといわれても納得してしまいそうな雰囲気がある少女だ。
彼女のことは、見たことがある……先日、大浴場の浴槽の中で。
きゅっと持ち上がった真っ白な尻と、引き締まった太腿。それから――。
「うわっ……、こ、え……⁉」
乱暴に浴槽から出て、湯が跳ねて。
……
今度は
教室中がしーんと沈黙している中、彼女はつかつかとこちらに近づいてきた。
「
鼻がくっつくような間近から睨まれながらも、
あんなところを見てしまった
「だいたい、男を知ってるくらいで偉そうにするなよな。男くらい、ボ、ボ、ボクだって……」
(――げ! コイツ、一人称、『ボク』⁉)
ボクっ娘に一ミリもいい思い出のない
……だが、当の
(ん? コイツ、なにを言おうとしてたんだっけ……?)
一瞬考え、すぐに
(……ああ、そうか。『男を知ってる』云々の話か。で、ただの強がりだったってわけね……。途中でヘタレるんだったら、最初から虚勢なんか張るなっての)
すると、
「つ、つまりだな、ボクが言いたいのは、とにかく調子に乗るなってことだ。
駆除科の授業には、生徒同士の模擬戦もある。ボクと当たった時には目に物見せてやるから、覚えておけよ」
それだけ言うと、
「わ、
「待ってくださいませっ……」
彼女たちを見送って、まわりの同級生が口々に呟いた。
「ハルって、やっぱり凄いんですのね……」
「あの
「ライバル認定……?」
……を、されたのか、今のは。
呆気に取られているまわりのお嬢様方に、
「あの……。
「ええ。
○
「……でも、体育科では
体育科の授業で、ポーンと高段の跳び箱をクリアする
授業をサボってわざわざ来ているのか、体育館の入り口付近には
「……人気なんだな」
「ですです。
それは深羽も同じだった。
お嬢様女子高特有の文化なのか、深羽も、彼女に憧れている女の子達から手紙や手作りのプレゼントを山ほど受け取っている。
「けどさ、駆除科ではあんなに成績いいのに、なんで体育はダメなんだ?
「ええと、それは……」
「はい!
右手をまっすぐに挙げて、
そして、そのまま六段の跳び箱に突っ込んでいって――跳び箱ごと、ずっこけた。
その奥では、同じように
……なるほど。アイツらの駆除用作業着の補助機能は、相当に優れているってことか。
○
すると、その夜のことだった。
部屋で晴矢が休んでいると、突然部屋のドアが派手に蹴破られた。
「⁉」
もう時刻は深夜だ。
女子寮の各室は、
「――やあ、転校生」
そう言って部屋にズカズカ入ってきたのは、なんと――
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ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
先週はやはり更新厳しいものがありましたが、なんとか帰還…!
がしかし、今度はネット環境が非常に悪いため、環境整うまでは更新苦戦するかもです。
またお時間のある時にでも読んでいただけたら嬉しいです。
そして、更新ない間にも嬉しいリアクションをいただけて…!
泣きます。
小説書いてると楽しさ苦しさ目まぐるしいですが、他にも頑張っている人がいると思うと本当に励みになります。
ありがとうございました。
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