第8話 月森乙
その時だった。
ピュン、ピュ、ピュン。
枝が激しくゆれ、木の葉が飛び散った。
レーザー光線だ。
「な、なんだ⁉」
「あなたの『月の紋章』を狙っているんですよ! ルーナ!」
ハレーが叫ぶと同時に、ルーナが宙に浮いた。両脇から取っ手のようなものが飛び出す。
「捕まってください!」
その取っ手の片方をハレーが、もう片方をオレがつかんだ。
相手の攻撃を避けるように、ルーナは蛇行しながら森の中を進んでいく。ハレーもそれに迎撃する。オレも手探りで銃を探すが、持っていないようだった。
それで気づいた。
ハレーがオレに「様」をつけて呼ぶこと、オレがどうやら貴重らしい「月の紋章」を持っていること。
もしかしたらオレは、「守られるべき立場」にいる人間なのかもしれない。
ぎゅん!
レーザー光線の一つがルーナに当たった。
―キイイイイイイッツ
「ルーナ!」
オレたちは塊になって落ちた。そして落ちたところは……深い穴の中だった。なのに、なぜかほのかに明るい。
「クレタ様、お怪我は!」
ハレーが駆け寄ってくる。
「オレは平気だ。でも、ルーナが!」
と、気配を感じた。
「あなたたちも、大きな音の秘密を探りに来たの?」
そこに立っていたのは、オレと同じくらいの歳の白いドレスに身を包んだ長い髪の少女だった。
「……そうだけど」
オレが言うと、彼女は笑った。
「じゃあ教えてあげるわ。……来て」
そして、一人先に立って歩き出した。暗くてよく見えないが、この穴の中にはどこかへつながる道があるようだった。
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