第6話 綴

ヒラヒラと舞う蝶が、突然パッと視界から消えた。


ガサゴソ・・ガサゴソ・・。

やっぱり誰かいるようだ。


「おい、ルーナ。誰かいるぞ、どうすればいい?」

「それはクレタさまが決めることデス。ワタシはクレタさまを助けるだけデスカラ」

「えー?オレは記憶もないんだよ。一体何を調査すればいいんだよ、まったく・・。ルーナは何で一緒にいるんだよ」

「またお忘れデスか?ワタシハ、クレタさまを、カンさツしています」 

   

そう言って、ルーナはまた定位置であろうオレの頭の上にピョンと飛び乗った。


ガサゴソ・・ガサゴソ・・。

その音は少しずつ近づいてくる。

オレは姿勢を低くして身構えていた。

ルーナはオレの髪の毛を掴み、落ちないように頭にしがみついている。


すると、ひとりの男が目の前に現れた。

「ご無事でしたか、クレタ様!」


その瞳は青く、髪の毛は銀色で青い服を身につけた男。


「お前は誰だ?なぜオレの名前を知っている?」



するとその男は驚いた表情を見せた。

「クレタ様、もしかして記憶をなくされましたか?」


・・確かにオレの記憶は全くない。

この男が何者なのか、敵なのか味方なのかもわからない。だが、オレの事を『クレタ様』と呼んでいる。

敵ではなさそうだ。


「わたくしは青の国の調査隊のハレーです!クレタ様と同じように音の調査をしています」


青の国のハレー・・・・

ダメだ、全く思い出せない。


と、その時再び大きな音が鳴り響いた。


どおおん!


その時、クレタの首にかかっていた金の月の輝きを持つ石がぴかーん!と光った。




書き手:綴https://kakuyomu.jp/users/HOO-MII

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