第4話 入店
お目当てのピザ屋さんは割と近くにあった。徒歩15分ほど。4月なのでそこまで暑くなく、汗もかかずに済んだ。
着くまでの15分、名前を言うだけの自己紹介しかせず、ほとんど沈黙が続いてとても気まずかった。かと言って何か話題があるわけでもなく、ついて行くことしかできなかったんだけど。
彼女の名前は小鳥遊まふゆ(たかなしまふゆ)というらしい。鷹がいなくて小鳥が遊べるから小鳥遊(鷹なし)って読むのをどこかで聞いた方がある。そんなことを考えながら歩いていると、
「着いたよ。」
小鳥遊が振り向いて教えたくれた。
そして2人して店の中へ入った。ピザと言ったら持ち帰りのイメージが強かったからイートインがあることに少し驚いた。
初めに席を取り、私が注文してくるから待っててと言われたので大人しくスマホでもいじって待っている。
近くのメニュー表を見ると定番のマルゲリータや照り焼き、海鮮系にサラミが乗っているやつなどいろいろ合った。どれも美味しそうだ。一層パイナップルじゃなくて他のものが食べたくなる。
その中にひとつ、ハワイアンというものがあり、パイナップルが確かに乗っていた。
すると高梨が戻ってきた。他の人は手にピザなどの乗ったトレーを持っているのに何故か小鳥遊だけは手ぶらで帰ってきた。
「どうした? もしかしてなかったか? 」
内心少し喜びながら聞く。
「あったよ。」
なんだ、あったのか。
「じゃあなんで持ってないんだ? 」
「今から焼くみたいだから少し待っててって言われた。」
なるほど。人気がなくて焼いていなかったと。
「頼む人少ないんじゃね? 」
「そんなことない。きっと人気すぎて無くなっちゃったんだよ。」
そんなわけあるかいと思ったが流石に言わないでおいてあげた。
確かにパイナップルピザは認められないけど、人の好みをバカにするほどではないしな。
「そういうことね。」
適当に相槌を打っておく。
「そういうこと。」
そういうことらしい。まさか本気で思ってないよな? なんか本気で思ってそうな顔してるけど。まあいいか。
なんて話していると机の上に置いた合ったアラームが鳴った。フードコートとかによくあるあれだ。
その鳴る音にびっくりして体をビクッとさせて、とってくるねと言い残し、そのまま行ってしまった。
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