第六章 隙間の話


隙間、何処にでもある隙間。


家の中にも、外出先でも。


そんな隙間があっても、気にしてはいけない。


薄暗くて、埃の溜まった隙間、普段なら全く気にはならないのに、何故か、その日は、気になった。


気になり出すと、もう止まらない。何度も、そこを見てしまう。


気になって、気になって、もう、どうしようもなく気になって、隙間を覗く。


なんて事のない、ただの隙間である。


隙間に溜まった埃を取ろうと、ティシュを取り、片手を入れた瞬間、何者かに手を掴まれ、グイッと、隙間に引き込まれる。


真っ暗な世界。広がるのは闇ばかり。


そう……あなたは、隙間の住人になったのだ。


だから、あれだけ言ったのに。


隙間を気にしてはいけない……と。




隙間があっても、気にしてはいけない……らしい話。






ー第六章 隙間の話【完】ー

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