第6話 からかい女子とペアーで練習!

 「道場長、おはようございます!」


 「道場長、おはようっす!」


 祖父の合気道の道場生が次々とやってくる。


 「もう合気道の稽古が始まる10分前か〜」


 「爺ちゃんの合気道の道場生の数は100人近くいるんじやないか?」


 「えらい、繁盛してるんだな〜!」


 秋葉は祖父の合気道道場の賑わいに圧倒された。


 「ハイ、次は体をひねる運動~」


 祖父が道場生の前で準備体操をしている。


 「今日の稽古では呼吸投げをやるから2人1組になって~」


 祖父が指示をすると、みんなが好きな者同士でペアを組む。


 「ヤベえ!俺って誰と組めばいいんだよ?」


 秋葉は小学生の頃から授業で好きな者同士が組むイベントでは、いつも1人寂しくあぶれる事が多々あったので、かなり本気で焦った。


 「新米くん、相手が見つからないなら私が組んであげよっか!」


 後ろから優しく声を掛けてくるので振り返ると.......................


 「えっ!酒井かよ?」


 振り返ると、いつも秋葉をからかっているクラスメートの酒井が立っていた。


 「何よ、私じや不満なの」


 秋葉が驚いた表情を見せると酒井がムッとした表情で怒っている。


 「私ね~、こう見えても合気道初段で黒帯なのよ、男のあんたでも簡単に投げ飛ばせるんだから!」


 酒井が秋葉にマウントを取りたいからか強気とも取れる様な発言をする。


 「冗談だろ?いくら身長が165センチで俺と同じぐらいの体つきでも、俺は、こう見えても男だぞ?」


 「俺が酒井に投げ飛ばされるなんて事なんかある訳ねえだろ~?」


 秋葉は酒井の発言を真に受けずに心の中で何度も突っ込みを入れた。


 「じや~、私が技を掛けてあげるから私の右手首を掴んできてよ!」


 酒井が自信満々に右手を秋葉の前に差し出す。


 「えっ、右手首を掴んできてだって!!」


 「生まれてこの方、母親以外の女性と手を繋いだ事が無いってのに~」


 秋葉は心の中でドキドキしながら緊張した表情で酒井を見る。


 


 


  


 


 

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