第4話 田所修1-4 それって本当にNTRですか?
亜理紗とはそのまま喧嘩別れのようになり中学を卒業するまで口をきかなかった。
……お互いの家が近所だったし学校の中でも顔を合わせる機会はあり、亜理紗は俺をみかけるたびに何かを言おうとしていたが全部無視した。
メッセージが来ていたがブロックして、亜理紗を拒絶してやった。
俺を裏切った幼馴染なんて、許せねぇ!!
結局俺は私立高校に入ったが、亜理紗との事もあったり、第一志望じゃない学校というのもありクラスの奴らに会話のレベルを落とすのもバカバカしくてクラスの隅でいつもスマホをいじったり、クラスの行事にもやる気のない態度で接していた。
そんな風に過ごしていると夏休みの前ごろには俺に話してくる奴もいなくなり、気が付けば俺はクラスの中で孤立していた。クラスの奴らが集まったり学食で賑やかに弁当食べてる中に耐えきれずに俺は校舎裏や男子便所で弁当を食べるようになった。
授業中で2人組をつくれといわれるといつも最後まで余らせられるようのもいつもの事。 体育祭では運動音痴の俺が足を引っ張ってクラス対抗リレーは惨敗したし、文化祭でのクラスの出しものはお化け屋敷とかクソ子供っぽくて幼稚でバカバカしかったからやる気に慣れず、教室の隅で適当に寝てたらクラスの出し物なんだから協力しなよと女子達に注意された。
マジでゴミだ、クラスの連中はクソみたいなやつらばかりだ。誰も俺の事をわかってくれない、わかろうとしない。
なんで俺はこんな学校に通わなきゃいけないんだよ……そう思うとあまりにも俺が可哀想すぎる。
せめてここに亜理紗が居たら、可愛い彼女がいてもっと楽しい学校生活が送れたかもしれないのに!!
そんな風に学校の生活に息苦しさが大きくなるほど、亜理紗の事を思い出す事が多くなった。息苦しいだけの一年が終わり、高校2年生になっても俺の高校生活は変わらなかった。
亜理紗。美人で、スタイルもよくて、俺に好意を寄せていた俺の幼馴染。
……そうだ、今からでも声をかけてやれば、やり直せるんじゃないか?学校は違っても登下校とかは一緒に行けるし、そもそも亜理紗が俺と違う学校に行ったから俺は毎日こんなつらい目をしてるんだし、その責任は亜理紗にあるんだ。
そう思い出して亜理紗のブロックを解除してメッセージを送ったが、既読が付かないし電話もつながらない。スマホを変えたのかな?なら連絡番号くらい教えろよな……。
そんなもやもやした気持ちを感じていたある日の休みの日、買い物帰りに歩いていると歓楽街のビルからいかにも軽薄そうな男と腕を組んでラブホテルから出てきた奴と目があった。
長かった黒髪はショートボブになり、垢ぬけた雰囲気になっているがそれは間違いなく亜理紗だった。
亜理紗と腕を組んでいる男は目鼻立ちが整っていかにもな陽キャって感じの奴だった。
――――亜理紗、お前俺が居ながら他の男と付き合って、もうヤってるのかよ?!
裏切ったな。高校の進学だけじゃない、また俺を裏切った!!
これは寝取られだ、完全に寝取られだ!!幼馴染なんてやっぱり寝取られるんだ!!!俺が居ながら、俺以外の男とヤってたのかよ亜理紗ァ!!!
俺は思わず亜理紗たちにかけより、亜理紗を怒鳴りつけた。
「亜理紗……?!なんなんだよそいつ!!!」
「……田所君」
俺からそっと目を逸らす亜理紗。なんだよその表情、まるで俺が悪いとでも言いたいのかよ?!
「……君が田所くんかな?」
俺の亜理紗と馴れ馴れしく腕を組んでる陽キャ……いや、こういう顔がいい奴はヤリチンのクズに決まってるんだ、このクソ寝取り野郎が!!
「何だよ寝取り野郎!!?」
俺がそう言って言い返すと、寝取り野郎が眉根を詰めた。
「……いきなり失礼な事を言うのは辞めてほしいな。俺は佐藤。亜理紗ちゃんとお付き合いさせてもらってる彼氏だよ」
……彼氏、だと?幼馴染の俺がいるだろ!!!!!!!!?
「どういうことだよ亜理紗ァ!答えろよ亜理紗ァ!」
寝取られた挙句にこんな顔が良いだけの軽薄そうな奴に身体を許すなんて……そんな怒りで亜理紗を問い詰めようとしたが、その間に割って入った佐藤に阻まれる。
「やめなよ。亜理紗ちゃんが怖がってるだろ君の事は亜理紗ちゃんから話は聞いている。君にも言い分はあると思うけど、亜理紗ちゃんを突き放したり拒絶したのは君じゃないか?」
「突き放した?拒絶した?いつ俺がそんなことしたんだよ。亜理紗が俺を傷つけたからブロックしただけだろ、俺は悪くねぇ!亜理紗が俺にはやく謝りに来ればよかったんじゃないか!!」
「やめないかっ!亜理紗ちゃんのせいにして喚く前に自分の行動を省みた方がいい」
いつの間にか俺達の周りには人混みが出来ていて、ヒソヒソと話されていた。……これじゃ俺がカップルに絡んでいるみたいじゃないか。俺はネトラレの被害者だぞ?!
「……くそっ!!覚えてろよ!!」
――――そう言って俺は2人に背を向けて歩き去った。俺にとっては悪夢の記憶、俺の幼馴染が顔がいいだけの陽キャチャラ男に寝取られていた、屈辱の思い出だ。こんな酷いネトラレをされたらもう俺は……アイキャンフライ!するしかないんじゃよ!!!!!!!!!!!!そして俺は飛び降りたのだった。まさに悲劇の主人公だるぉ?!
「……うーん、これは寝取られじゃないと思うなぁ、僕が先に好きだったのに、ですらない」
映像が終わると、ジョンが俺を白い目で見ながら言ってきた。何言ってんだこの馬鹿、頭悪いのか??
「はぁ?!なんでだよ!完全に寝取られだろ!!?こんなのラノベなら2000%ざまぁする展開じゃねーか!俺の何がいけないんだよ!」
俺は唾を飛ばしながら叫ぶが、ジョンはそんな俺の声に動じる様子もなく、やれやれと首を振るジェスチャーをしながら呆れたように言い返してくる。
「何もかも大体全部君の自業自得と自爆だと思うけど。
君が亜理紗ちゃんを傷つけた後に突き放しておいて、自分の都合がよくなったらすり寄ろうとしてただけだよね。
どちらかといえば、ざまぁされる方の動きのような―――まぁ、未成年で“そういう事”をする事についてはさておいても、亜理紗ちゃんは普通に彼氏作って恋愛しているだけに見えるよね」
「んなわけあるかぁ!幼馴染を裏切った時点で寝取られなんだよ!あのクソビッチがぁぁぁぁぁぁっ!!!俺は悪くねぇえええええええええええええええっ!!」
俺は腹の底から絶叫した。こういう時はデカい声で威圧するに限るぜぇ!
だがそんな俺の声にジョンは耳を塞ぎ、ジェーンは目を閉じ静かにどこ吹く風と言った様子。俺渾身の爆音が通じないだとぉ?!
だが、そうだ。俺は亜理紗が寝取られたのを目撃した後、あふれ出る涙と悔しさと悲しみのままにビルから飛び降りたんだ。……そして目覚めたらここにいた。
「あのクソビッチがぁぁぁぁぁっ、俺というものがありながらあっさり他の男に寝取られてよぉぉぉぉっ、こんなのメチャゆるせんよなぁぁぁぁ?!そうだ、異世界でチートハーレムして俺tueeeeした後異世界帰りしてあのバカ女とクソチャラ男にざまぁしてやるってのも悪くねぇ気がしてきたぞ!!!復讐だ!復讐してやるんだ!!」
段々と思い出してきて怒りがこみあげてきた。そうだ、亜理紗が俺を裏切らなければ俺は飛び降りなんてしようとしなかった。全部悪いのは亜理紗だ!あいつが俺と一緒の高校に来てくれたらこんな事にはならなかったのにィ!!
はやく俺を異世界転生させろ!ざまぁさせろ!はやく俺にチートハレームを寄越せぇぇぇぇぇっ!!
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