第13話 新たな依頼
「おはよう」
「ああ、おはよう」
「きょうはどこにいくー?」
「今日はだな、まずギルドに行ってからの話だろそれは」
「そうだった」
と、二人はギルドへと向かう。
そしてギルドで、二人は依頼一覧を見る。すると、ユウナが、一枚の紙をめくり、
「あ、この依頼だったら私でも行ける?」
と言った。
そこにあったのはEランク用の依頼だった。
「まあ受けれるが」
「ならこの依頼を受けようよ」
「危険だけどいいか?」
「うん!」
ユウナたちは今、GからSまであるランクの中、下から三番目のEランクと言うことになっている。本来は最初はFかGが多いのだが、ルベンが実力を認め、Eランクにしたのだ。
前回受けた依頼はFランク、簡単な依頼だが、今回は違う。多少難易度が上がっているのだ。
「この依頼を受けて大丈夫ですか?」
「えっとこの依頼で大丈夫ですか?」
「はい、魔物の襲撃を受けている村を守るというものですよね」
「はい」
「なら大丈夫です」
「そうですか、ではいってらっしゃいませ」
「はい、行ってきます」
「ちょっとどれだけ歩くのー」
車いすに揺られ、一時間。ユウナはもう飽きていた。
「お前は椅子に座ってるだけだからいいじゃねえか」
「よくないんだよ。暇なの!」
「おれはめっちゃ大変なんだけどな」
「あ、そうだ。私のために何か話してよ」
「俺に車いすを運ばせといてまた望むか、いいご身分だな」
「えへへ」
「まあ、いいか。これは俺が組織で働いていた時のことだ」
神妙な顔をして話し始めた。
「うん」
「その時、俺はまだ組織に入った時だった」
「うん」
「それはまだ十四歳だった。俺の最初の任務は一つの村を滅ぼせというものだった」
「その村に罪は?」
「無い。ただの被害者だ。だが、生まれも組織だった俺は何も考えないでその任務を達成するために村に言ったんだ。その村の人たちは優しかった。よそ者の俺に対してご飯を作ってくれて、家に泊まらせてもらったんだ。だが、俺には任務があった。夜にこそっと部屋から出て、あちこちの家に火をつけたんだ。村の人たちは優しかったから簡単だったよ。俺は村人を全員殺してから日の燃え盛る村を後にしたんだ。
全然気持ちいい気分ではなかったし、むしろ悪い気分だった。だけど組織に戻ったら組織の大人たちは俺をほめてくれた。よくやった、よくやったって。俺はその瞬間気持ちいい気分になったんだ。村人を殺したくせにな。もしあの時にこれが悪いことと完全に気づけてたら組織を抜けれてたかもしれない。ただ俺には無理だったんだ。
なんか辛気臭い話担ってごめんな」
「うん」
空気が明らかに悪くなった。ウェルツはしまった、この話じゃなかったかもと思い頭を抱える。
「まあでもそんな話を聞いて、ウェルツさんが悩んでいたことが知れてよかったよ」
「お前は大人だな」
「私まだ十五歳だよ」
「もう俺が働いてた年だろ、それは。まあそんなんは置いといて、そろそろつくぞ」
「うん!」
「さて、ここか言われてた村か」
今回の依頼というものは、魔物相手に徹底抗戦している村の人たちの手助けをしてほしいというものだった。ある意味今回の依頼は大変かもしれない。倒すというのもあるが、守るというのも依頼の一つだから。
もし、魔物を倒しても村が敗れればそれは依頼失敗と言うことになる。
「すみません、ギルドの依頼できました」
ウェルツは近くで魔物で戦っていた村人に話しかけた。
「そうですか、やっと来てくれましたか。では早速手伝ってくれませんか」
「わかりました」
そしてウェルツは剣を構える。そこには大量の金棒を持った魔物がいた。頭に小さなとげが生えていて、それは異世界で言う鬼のような魔物だ。
「私も助太刀する!」
「無茶するなよ」
「うん!」
「行けーーーーー」
ユウナは複数の炎の球を敵に向かって突撃させ、その炎をくらった大多数の魔物がはじけ飛んだ。
「やったー!」
「油断するな」
調子に乗るユウナにウェルツが言った。
「はーい」
そしてユウナは再び魔法を放つ。ウェルツも同じく敵の魔物を斬っていく。
「ウェルツさんすごい」
ユウナは炎玉を投げながらそんなことを呟いた。
「よし、あらかた魔物は倒せたな」
「うん」
「いえ、まだです」
村人が深刻な顔で言う。
「奴らにはボスがいるのです。恐ろしい恐ろしいボスが。今までのやつらは所詮ただの小手調べです」
「そうですか」
「ええ、ですがあなたたちのおかげで窮地は逃れました。ありがとうございます」
「どういたしまして」
そんあなウェルツの隣で、
「ふう。つーかーれーたー」
ユウナはソファに寝ころびながらそう言った。
「それはお疲れ様です」
「この子の場合は魔法による魔力消費量が激しいんです」
「そうなのですか」
「ええ、魔法のコントロールが全然だめで昨日なんて魔法のいりょ……」
「それ以上は言っちゃダメー」
と、ユウナがウェルツの口をふさぎに行く。
「私はだめなの恥ずかしいから」
「わかった。全く、お前はわがままだなあ」
「うん、私わがまま……」
そしてユウナは息を吸い込んだ。
「じゃない!!!!」
「じゃないのかよ」
「えへへへへ」
「何だその気味の悪い笑い方は」
「いいじゃん、いいじゃん」
「そういえば二人はどんな関係なんですか?」
「ああ、俺の子どもだ」
「それにしては若すぎませんか?」
「これには訳があるんだ。俺が拾ったんだこの子を」
「なるほど」
そんな中、部屋に一人の女の子が入ってきた。赤髪の女の子、年齢は十二程度であろう。
「ねえ! お姉ちゃん遊んで?」
と、ユウナはその少女に話しかけられた。
「お姉ちゃん?」
「うん、お姉ちゃん」
ユウナはその言葉に嬉しくなり、「お姉ちゃん」という言葉を何度も口すざむ。
「じゃあお姉ちゃんと遊ぼっか!」
そんな事を言いながらユウナは少し大人になった気分がした。
「そんなわざわざ遊ばなくてもいいですよ。お疲れでしょうし」
そう、村長が言った。
「私は別にいいよ、楽しそうだし。私はユウナ。あなたは?」
「ミコト!!」
「じゃあ遊ぼう!」
そしてユウナと、ミコトはそばにあった、ボールを取り、二人で遊び始めた。
ボールをパスしあいながら遊ぶ。ウェルツはそれを見て、大丈夫かなと思いつつ、二人を笑顔で見守るのだった。
「楽しそうですね」
「ええ。あんな楽しそうなミコトを見たのは久しぶりです」
「そうですか……。俺もユウナが楽しそうでよかったです」
「私の場合、うちの孫は、友達いないですからね」
「そうなんですか。ユウナには友達が少ないので、良かったです」
そうして二人でユウナとミコトの遊ぶ姿を眺めた。
その後二人が一時間弱遊んだ後、
「魔物が来たぞー」
「きたか、ユウナ行くぞ」
「うん!」
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