第3話 10月20日 日直:渡辺優太(わたなべゆうた)

今日は1日総合の時間でした。

朝から全学年が体育館に集まって、明日の音楽発表会の練習をしました。

はじめに、6年生が歌い次に3年生と4年生が歌いました。


4年生の歌が終わると中休みでした。

ぼくは田崎さんと岡本さんと、そのまま体育館で遊びました。


最初はバスケをしてましたが、疲れたのでみんな壁にもたれて話しをしました。


すると誰かがこんな話しをしました。


「この体育館からはじまった」

「みんな、みんな、悲しんだ」

「それを見てはいけない」


その子は見たことがない男の子でした。

少なくとも5年生じゃなくて、もっと下の子だと思います。

でも、着ている服が古い感じがして、とても不思議に思いました。


それに、田崎さんと岡本さんに聞いてみると、ふたりとも知らない見ていると言っていました。

あの子は誰だったのでしょうか?


5時間目と6時間目には、6年生といっしょに体育館の掃じと、明日の準備をしました。


掃じの時に、またあの子を見ました。

他の学年は、教室で授業中なので、やっぱり5年生か6年生なんだろうなと思っていると、1人で体育館倉庫の中に入って行きました。


ぼくは気になってその子の後をおって、倉庫に行きました。

倉庫はかび臭くて嫌な匂いがして、明かりがついてなくて、くらくて怖かったけど、中に入ってみました。


中には、パイプイスを取り出した後のカゴや、体育で使うボール、マットがありました。

でも、中に入ったはずの男の子おらず、「おーい」と呼んでみました。

それでも、誰からも返事がなくて、そのうちに先生の集合の声が聞こえたので、ぼくは体育倉庫を出ました。


倉庫を出るときに、とび箱がガタっと動いた気がしました。

もしかしたら、あの子はとび箱に隠れていたのかもしれません。


明日の音楽発表会はいまから緊張します。

でも、お母さんに喜んでもらえるよう頑張って歌います。


【先生より】

今日はお掃除と発表会の準備おつかれさまでした。


明日はいつもならお休みですが、頑張ってお母さんお父さんに歌声を届けましょうね。


男の子のことは、先生にまかせてください。本当に跳び箱にいたら、危ないので注意をしておきますね。

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