第3話二口目で運命の再開

あれから二日がたった。

冷蔵庫には未だにケーキが残っている。

「そろそろ…食べないと。」

そう思い学校に行こうとドアを開ける。


「あ、おはよ!」

「ケーキの人……。」


なんで居るのか理解出来ず間の抜けた声が出る。

こういうのって警察呼んだ方がいいのか…?

「ケーキの人ってなんか好きかも!」

変なとこを付かれ余計に混乱する。


「…なんで居るんすか。」

「えっとね、これ!渡しに来た!」


そう言って手渡されたのは数日前から紛失していた僕の学生証だった。


「今朝散歩してたらこの前の公園に落ちてたの、無かったら困るかなーと思って!」


今朝って今も朝だけどな、と思った。

「…わざわざありがとうございました。」

「いーのいーの」

意外と軽い挨拶で済まされ実は普通の人なのかもしれないと思った。


「でさ、君にこれあげる!」

「…は?」


やっぱりどこまでも変な人だ。

元気よく差し出されたのは小さなケーキボックス。

初めて会った時に渡された真っ白な箱とはうってかわって小さな花のイラストが描かれた小洒落たボックスだった。


「受け取れません、この前頂いたやつもまだ残ってて。」

丁寧に断ろうとする。そもそもケーキはあまり好きでは無いわけだし。


「大丈夫!これタルトだから日持ちするし!!あげる!」

「…ありがとうございます。」

断れなかった。



僕がケーキを受け取ると「またね」と言って元気に去っていった。

がもう訪れないで欲しいと思いながら見送った。



「さて、友達でも呼ぶか。」

流石に一人で食べられる量じゃないと悟り友人を呼ぶことにした。


こんなことを話せる友人はあいつしか居ない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ケーキが好きだと嘘をついた 桜空 ゆうき @Kigaya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ