夫婦漫画はデートです
あれから俺と志那は街中に出ていた。目的地は特になく、ただ肌寒い季節にキラキラと装飾された町中を眺めるだけの…そんな外出。
「そう言えばクリスマスでしたね」
志那に言われて辺りを見渡すと確かにクリスマス用の装飾のように見える。
「そう言えばそうだったな」
昔から行事ごとに疎い俺は素でそんな言葉をこぼす。
「昔からそうでしたよね…私はてっきりクリスマスだから出かけようとしたと思ってたんですけれどね」
微笑を浮かべつつ自然な形で志那は手を繋いでくる。
相変わらず上手いことで…
冷たかった指先がじんわりと温められる中、装飾が施された町中を進みいつも通り買い物をしに最寄りの店に行く。
俺たちのデートは基本的に明確な目的地はない。いつも何かしら大きめで買い物のできる近くの店に行くのだ。お互いインドア派で、あまり遠くに行こうと思ってないのもあるが、日常を材料に使うことが多いというものが大きいのだろう。
今回は最寄りのデパートに来ていた。
こういうところに来ると必ずといっていいほど俺たちが見に行く場所がある。
「志那の作品の方もあったら教えて欲しい」
「わかってます…しっかり教えますよ」
俺たちが踏み入れたのはアニメや漫画、小説の二次創作作品が置いてあるファン向けの専門店である。お互いに知名度に決定的な差はあれどクリエイターという立場、自分の作品の二次創作には少なからず興味があるのだ。
まあ、そもそも二人とも根っからのオタクというものがあるのだが…
そうして俺たちは店に入るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます