夫婦漫画は番外編①

時を同じくして天野宅では…


「ん…」


小さな呻き声が上がり、一人の女性が目を覚ましていた。


「ふぁぁ…」


寝ぼけ眼を擦りキョロキョロと辺りを見渡す志那。そして時計を見てピタリと動きを止める。


「午前10時30分…」


確か昨日は司くんとの写真を見ながらネームを描いてて…ちょっと眠くなってきたから仮眠を取ろうとして…


「寝落ちしてしまった…‼︎」


急いで机に戻りネームを書き進めようとペンを握るとふと一つのメモが目に止まった。


【今から編集社に原案を届けてくるけど、昼までには帰るよ。疲れてる様だからゆっくり休める様に一応作っておいたよ】


そのメモは私の大好きなフルーツサンドを包んでいるサランラップに貼ってある。


「まったく…傷んだらどうするんですか…」


そう吐きながらも私はフルーツサンドに手を伸ばす。


「いただきます」


はむっと一口食べれば甘いクリームをフルーツの酸っぱさが強調させている。やっぱり司くんは料理も上手だなと改めて認識させられてしまった。


「甘すぎますよ…まったく。もっと簡単なものでも良かったのに」


急いで作ったのか、少しだけクリームの塗り方にムラがある事に気づいて微笑を浮かべる。


「これは司くんが帰ってくる前に私の渾身の昼ごはんを作らなきゃですね!」


そう意気込んで私はフルーツサンドを堪能するのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る