第6話 王都

「システィア様!!」

「おかえりなさい!」


 馬車を走らせて3日ほど経ったのだろうか。王都に到着すると、王国の民がシスティアを歓迎していた。やはり彼女はとても愛されているのだろう。住民の顔がみんな笑顔だった。

 システィアは顔を出し、住民たちに手を振っていた。


「どうだ、ツヅリ?王都は?」


 ルドルフが声をかけてくれる。


「そうですね。素晴らしいところだと思います。」


 そのツヅリの答えに満足したのかルドルフは笑顔になる。まあルドルフが思っていることと、ツヅリが思っていることは全く別のものなのだが。


 馬車は一際豪華な城の前につく。ここはおそらく王宮、システィアたちが暮らしている場所なのだろう。


「お父様と話をしてきます。あなたは客室で待っていてください。」


 すると城の前で立っていた執事がツヅリを案内してくれる。客室と言っても流石は国王の住む城、とても豪華だった。執事からお茶を出される。一口飲んで見たが、高級すぎて味が分からない。


 しばらく待っているとシスティアが客室に入ってくる。その顔は少し暗い。


「お父様との話も終わりました。今後のあなたの行動なのですが、まずは簡単なテストを受けてもらいます。


 そこで好成績を収めればあなたはこの王室で生活してもらいます。もし成績が悪かったら、あなたは孤児院に任せます。ごめんなさい。」


 システィアは悲しそうな顔をしている。他の村人を救えなかった手前、ツヅリだけはちゃんと育てたいと思っていたのだろう。それも孤児院ではなく、自らの手で。

 対するツヅリはどうでも良かった。どこで暮らそうが自分は自分のやりたいようにするだけだった。


「ああ、それで良いですよ。早速やりましょう。」


 するとシスティアは1度部屋を出る。テストはここで受けさせてくれるらしい。しばらくしてシスティアがテスト用紙を持ってきてくれた。


 テストの内容は計算、語学、歴史、地理。ただ村の出身ということもあってか地理と歴史はあまり得意ではなかった。変わりに計算と語学は完璧だった。


 丁度ツヅリがテストが終わる頃、システィアが水晶を持ってきてくれた。


「あら?もう終わったんですか?じゃあ次は魔力測定です。この水晶に魔力を込めてください。その輝きによって魔力量が目に見えてわかる仕組みなんです。」


 ツヅリは水晶に魔力を流し込む。すると水晶は凄まじいほど光り輝いてから割れた。その様子にシスティアは驚く。


「これは...!並ではありませんね。わかりました。テストは終了です。今日はこの王城で泊まってください。部屋などは執事に聞いてくださいね。」


 こうしてツヅリの王都1日目は幕を閉じた。後日、テストの結果、と言っても主に魔力の量によってツヅリは王城での生活を行えることとなった。

 勉強、魔法は家庭教師が着き、ツヅリの要望で格闘も学べる運びとなった。王城の図書室はツヅリにとって宝庫とも言える。

 様々な知識を吸収していき、ついには大人顔負けの実力を手にしていた。


「ツヅリ、部屋の中に入っても?」


 そんな生活をしていたある日、システィアがツヅリの部屋を尋ねてきた。今は王都の生活が始まり、3年がたっていた。


「あれから3年ですか...。あなたも良い歳です。これからは家庭教師ではなく、学園に通ってもらおうと思います。」


 ツヅリの新たな生活が始まる。

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