第二章 アミュータ
宙に浮かんで目に飛び込んできたのは、丸いネトっとした液体のような気体に包まれていることであった。
そして、目の前には耳たぶが垂れ、目と目の間に「白い黒子?」みたいなものがある僧侶がいた。みためからの年齢は不明で、人であるのかも疑わしい。
「びっくりさせてごめんなさい。疑問がたくさん浮かんでいるね。」と、白い黒子は、口を動かしていないのに、言葉が私の頭に、はっきり入ってくる。
「私は、アミュータです。よろしく。君は、畑仕事に、本に、情報提供と、ある適正基準を満たしました。そのためこうして、接触しています。私は、特別な任務を授かっており、いまここであなたは、選択してください。私に協力してくれませんか?もちろんあなたに、自由意志があり選択する権利があります。断りたければ、断ってよろしいです。」と、思慮深い善良な眼差しをして笑いかけてくる。
「何を協力すればいいいのでしょうか?」
「これから起きる旅を、あったままにあなたのブログに綴ってほしいのです。ただそれだけです。どうしますか?」
「お安い御用で、私にできることならなんなりと協力します。」
「ありがとう。あなたの名前は何ていうのですか?」
「アトムです。あなたは、どこかで私を知っていたのでは?はじめて会った気がしません。そして、私は死んでしまったのですか?」
「アトムさんのことは知っています。それもかなり前から、記憶をなくしたものには、挨拶するのが礼儀なため、名前を伺いました。どうぞお許しください。死については、なにをもって死とするかですが、大丈夫です。あなたの肉体は動きます。」と、彼の眼差しから、意志が伝わってきた。吸い込まれるようにその語りに耳をかし、
「アトムさんに、色んなことを聞かれる前におおよその情報を提供しますが、ここで提供する情報はあくまでSFという形でブログに提供いただきたい。しばらくは、そうしておいたほうが、あなたにとっても世間にとっても都合がいいでしょう。霧の中で見た、ふしぎな物語としましょう。ブログに書き込むときは、全面的サポートもし、頭のスイッチをオンにしましょう。高周波でお伝えします。そうですね。Ah, vous dirai-je ド・ド・ソ・ソ・ラ・ラ・ソ。うん、このクラシックの周波数に合わせ、書くといいでしょう。そして、いまの置かれている、疑問からお話しましょう。いまは宇宙船と読んでいますが、かつてはノアの方舟と呼ばれるものでもあり、とても小規模です。この船は、自然とコスモロジーの宇宙規定に合わせ創ったもので、ある星の植物を使い、物質の波動を合わせ宙に浮かせ飛べます。万が一のために、宇宙AIにより自動制御もついています。つまり、反重力コスモテクノロジーとでもいいましょう。次に、波動で飛ばす方法をお話しましょう。水に向って、「ああ」と声を出すと、波紋が浮かびます。「いい」と声を出しても波紋が浮かびますが、その波紋の模様は、「あ」と「い」では違う。その波動を応用して浮かせば、コスモ・スペースにも、どこにでも位置できます。それには、5次元を知る必要があります。それを応用すれば、反重力コスモテクノロジーの宇宙船も簡単にできるわけです。」
わたしは脳裏に話しかけてくる情報とリアルに追いついてこなかった。
「・・・つまり、その、あなたは宇宙人なのですか?」
「宇宙人とは、地球外生命のうち知性を持つもののとされていますが、わたしから言えることは、地球は、宇宙の一部で、あなた達も宇宙人です。あなたたちが地球外から少し出て月に行ったと仮定したとき、その人達は、地球外にでたため、宇宙人になりますよね。境界なんてそんなものです。私は、いまは地球内の生命のため、地球人でもありますよね。」と、淡々と説明する彼を見て、私は一種のトランス状態になり、ただ口を開けていた。
「情報処理は、ブログを綴る時に整理してください。リアルが追いついてきます。次に、このテレパシーの基本を紹介します。これも、同じ波の応用で、宇宙船は反重力コスモテクノロジーは発信の共振でしたが、テレパシーは受信もして発信もします。ちょうど、海にいるイルカが、超音波でテレパスするのと同じだ。とっても簡単だ。疑うのは、あなたの常識です。そういえば、この宇宙船のなかは、自己免疫修復もする。体も頭も、クリアにしてくれます。これから、旅にでるため、体の細菌もクリアにしました。細菌の種類までは、わたしも把握できていませんが、無限の星々にある細菌は、自動AIが判別してくれます。」
わたしは、彼の言葉をすべてを知っていた。老いた頭は、冴え渡り若返ったようだ。
「つまり、そのあたなは何者ですか?」
「あるときは仏と呼ばれ、あるときは宇宙人、あるときは天使、あるときは聖者、あるときは神、あなた達の世界では宇宙人を悪なしに見えないので、名前には気をつけています。いまは、アミュータとだけ言っておきます。」
私の中で、把握した。つまり、人間と言っても、黒人や白人、黄色人と色んな人間がいるように、徳をつむ人もいれば、悪をつむ人もいる。人間はまだ、悪を知り得ていない。知り得ていれば、宇宙人の解釈が変わる。みんなあるところまでは共通し、すべてがわたくしの中のみんなで、みんなは一人ひとりのすべてあるのである。
「そうです。それが、限りなく答えに近いです。あなたが一定基準を超えたのは、その理解を深めたからです。そのための私の少ない情報で、限りない答えを知れるのです。」と、彼の顔は、この世のものとは思えない健やかさがあった。
「どうして、人類とコンタクトをとるようになったのですか?」
「世間では、『宇宙人?そんなのいるの?』と疑いますが、宇宙船を見た人も現代では多く写真にも映っています。コンタクトが増えた理由は、波動とコスモスの関わりが激しい原子爆弾が落とされた以降です。人類のあの行為は、宇宙人への自由意志の干渉で、人はタブーを犯しました。人類の生存は、その科学の使いようで左右し、あなた達だけがコスモスに棲むモノでないことを示唆していますが、公に情報は流しません。わたしたちはあなたたちのように自由意志に無闇に干渉しません。生命の調和は、それだけ関連しあってできています。無闇に干渉することは枯れる可能性が高いのです。つまり、いま人類は滅亡するか、生存するのかの瀬戸際です。
わたしたちも、地球の人とは多くの関連があります。
あなたの質問に答えると、人類とコンタクトを取ったわけでなく、宇宙人がもともと人類の起源であるため、コンタクトをとるというのは、わたしたちからしたら、おかしなことです。お父さんとお母さんがいて、赤子がいる。宇宙人と宇宙人がいて、赤子の人間がいたとすると、乳母をあげなければ、人間は育たなかった。稲や鶏、森や水、ありとあらゆる物を自由に使えるよう提供してきました。
自由意志に干渉せず、条件のある人類も宇宙人として、自ら協力し自立するときが近づいています。飢餓や戦争、疫病を乗り越えるには他に方法はありません。そのため、これから旅にでて、ブログに情報を提供いただきたいのです。」
その眼差しに一切の嘘はないようだった。彼は、なにかとても大きなプロジェクトを任されているような緊張感が漂っていたが、それすらも包み込むような笑みを浮かべていた。
「世間一般では、教育と社会の常識からその殻を破るのは、難しくりませんか?」
「その通り、唯物論のテクノロジーが発展しており、形而上学やロゴス、つまりこころを置いてきぼりにしています。その末路は、破壊です。その結果が招くのは人類の滅亡であり、砂漠化です。また数万年で再生し、また新たな地球内知的生物がうまれ、破壊され再生する。煩悩と煩悶によるループが待ち受けるでしょう。が、ループする原理の情報を、この旅で提供いただくことで、新たなループのチャンスの扉をつくれます。自由意志で人類は、まだ生存する可能性も選択できます。」
「公には、なぜそのような情報は封鎖されているのですか?」
「こころを置いてきぼりにして、旨味のある目の前のビジネスにより飢餓や戦争、疫病がおきています。反重力コスモテクノロジーの宇宙船も手に入れ、他の国より有利に成り、軍事で支配をしたいわけです。まだまだ、精神的成熟の最低点が低く、最低点が、ある一定を超えれば人類は争いをなくすことができます。そう、深海に棲むアンコウのように生命の結合と分裂を楽しみとしてみえるようになります。外ではなく内をいまはみるときです。」
なんともぶっ飛んだSFが始まったが、私にも一切の迷いはなかった。突然、周りは暗闇に包まれるなかに光る触手と胴体のあるメスのアンコウに、オスが何匹もくっついていた。
その美しさのおかげで、私はいままでになく体が軽くなり活力が生まれた。
「これはどういうわけですか?」と、私は聞いてみた。
「深海に移動し、この宇宙船の自然免疫で、細胞が若返りました。人の細胞分裂は決まっているとされていますが、飛躍的に伸ばすことも可能です。万能細胞により、あたたちも肉体の生も死も超越できるようになってきています。が、枯れ時は誰にで共通することで、その枯れ時の生を人類はまだ、理解していません。あなたたちは、生きながらに死んでいます。
この針の穴より小さい扉を潜れば、いよいよ始まります。
太鼓の音のように鳴り響き、愉快に陽氣に、踊って、戯れ。共創し、泳いで、自由で、必然で、舞っている。そして、虚像も実像も姿を消して、真っ暗になり、またそれは真っ白にもなる。
さぁ、おしゃべりはこの辺で終わり、空間を超えた旅にでましょう。」
私は、呆気らかんとアンコウと彼に見入っていた。
※99
見入っている私に彼は、「空間を超えた旅と言っても、夢とほとんど変わりません。夢を見ているとき空間の有を思考しませんよね。それは、空間を超えているからです。人間として積み上げた過去の記憶は、あなたのコンプレックスから生まれた想像の空間で、肉体的に行動はしてないため、物質世界に影響はありません。夢の世界は夢の世界です。現実な世界は、行動があり想像が創造される。この旅は、文字として行動をとり、創作される。つまり、時間と空間を超越した一種の共創です。やることは、いまというこの瞬間を全力で生きればいいだけです。いまを通じ、過去をみることはできるますが、過去に生きることはできません。二生とない一生を生きれば、死とか、生とか、そんなことも超越できます。ただ、与えられたいまがあるだけです。」このまま、この文は、創作する必要があるようだ。
私は、そのまま記す。
どうやら、一通りの説明が済んだらしく、彼は深海の暗闇の中で船内で1~1000までの数字を光らせ、私に選択するよう求めた。
「求めよ。さらば、与えられん。」と、聖書の一文を説き、私の年齢である99を選んだ。
「100の一歩手前99。早速いきましょう。」
すると、なにやら周りが明るく光が伸びた。一瞬の出来事でわからなかったが、彼は、優しく私に説明をした。
「波動で位置すると言ったでしょ。機械式の宇宙船は、、密度の伸縮により時間の調整が入る。それは、宇宙船が鉱物に似た素材でできており、どうしても波動の影響を受けるからだ。反重力コスモテクノロジーなら、この通り、柔軟に一瞬で行ける。もちろんすべて影響を受けないわけではない。」と、彼の言っていることをすべてを理解しようとすると、100年の人生でもたりない。
「その通り、そんな事に時間を使うことは無駄である。ごめんなさい。ついつい、探究心と好奇心で語りかけてしまう。」
と、坊主のアミュータも完璧でないことがわかりどこかホッとする。
「そう、私も君たちの思う完璧な仏でもなければ、神でもないが、神でも、仏でも、宇宙人でもあるんだ。神や仏、宇宙人の一部でありすべてなんだ。予め、読むにあったて理解を求めておくといい。君たちは、自分の枠を超えた人をキチガイとして、社会の異端者としてあつかう。それは、思考を停止させるクセがあるからだ。異端者は社会に敏感で、オブジェのような存在だ。」
と、また人の心の探求をしているようだ。興味が薄れた私は、話を切り替えた。
「ここは、一体どこですか?さっきの深海と変わらないみたいだ。99の旅は、ここなんですか?」
「この旅では、1〜1000で文字からみえる最高の星々を用意した。用意したと言ってもAIによって自動に選択され、あなたのプログラミングとマッチして採用されている。」
「私のプログラミング?」
「そう、だれもが、自分の星があるものなんだ。忘れているだけでね。」
「なんで、忘れているの?」
「簡単さ、君が選んだからだよ。この旅を君が選んだようにね。」
「忘れることにどんな意味があるの?」
「それは、いまを知るために、記憶の干渉を無くして、どこまでなし得ることができる、勇気ある挑戦を人はしており、その目的自体は、バラバラだ。苦しみを味わいたい人は、そこを経路地にして、悪魔に取り憑かれた役者を演じ、自殺をして死をおぞましい恐怖として扱う。そんな体験もしたい人がいる。そして、大体が自分の蒔いた種を味わいたいだけである。これを、因果応報というが、いまの選択の現れにすぎない。」
彼の答えは、数式を文章にしているようで、文芸的要素は少ないようだ。
「そう、文章はあるところまで役立つが、記憶を読み解けるようになると、言葉が必要なくなる。ある意味、文芸は君たちのほうが優れ、だれもが人類は詩人だ。」と、彼なりの人類をリスペクトしたユーモアなのだろう。
私は、笑えなかったが、それでも、彼の包みこむ優しい微笑みで場は和んでいる。
そんな考えも把握しているのだろう。構わず彼は、その数式的論法で語ってくる。
「説明をくわえると、実際は600~700があなた達人類の世界に位置づけてられている。おおよそ500〜800の有るもので成り立っており、1〜499は、メタファー的な星々としての旅となる。801〜1000も同じだ。読み終えたときにその意味が分かってくるだろう。」
彼の言葉を代弁するならば、人間の考える枠組みのなかでの話で、メタファーな表現は、1〜499、801〜1000である。
「そう、その通り。これは、聖書で666が人間に割り振られているから採用した。」
これも代弁が必要で、ヨハネの黙示録によると、「ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして、数字は六百六十六である。」
この数字を採用している。
666が、悪魔の数字とされているが、人につけた仮番号であるだけだ。
説明文だけで、ものすごい文章量になってしまう。この辺については、以下のようにすすめられた。
「文章というのは、伝えるために膨大に膨らみ、さらには受け取り手によって解釈が変わる。歪んでしまった文章は、原型がわからなく消えていく。流すように書くようにすると、言わんとすることを理解されやすくなる。つまり、ここから先の文章は、説明文が不要で流しなさい。その作業は、この小説ができたのちの500~800の旅でみっちり書くときで問題ない。あくまでこれは扉の役目であり、潜る目的ではない。その主旨を伝えれば問題ない。」
そのため、ここからは川に流れるように文章を書いていく。
細かいところの読者の質疑応答には、お答えできなくなるが、0才児の子供になったつもりで、吸収するように読み解くと川から流れる浮遊物がみえてくる。
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