第21話 電話
その後も私たちは幾度も幾度もメールでのやり取りを続けた。
互いの状況確認などをしたりなど。
毎日毎日だ。
(学校どう?)
(楽しいよ。友達出来たし)
(ふーん)
(ふ~んって何よ)
(だって、友達出来たら私の立場はどうなるのよ)
(大丈夫だって、美香は友達超えた親友なんだから)
(詩織……)
そんな内容を毎晩毎晩。
いつの間にか受送信したメールの数は1000件を超えていた。でも私たちは決して疎遠になることもなく、続けていた。
だけど、それが変わったのは、新たな友達が出来た時だった。
私は三年に上がってクラス替えの時に一緒になった人と、詩織の穴を埋める友達になった。
名前は安岡五月という。彼女は詩織とは逆のお淑やかな性格だった。
私は彼女のことが気に入った。
そのため。詩織に対するメールは段々と減っていった。
そして、さらに畳みかけるのは受験だ。
受験の忙しさであっという間に詩織とのメール件数はゼロになってしまった。
(大学どこ行くの?)
そのメールにいつまでたっても返信できなかった。
そう、メールを返さないと起こるのは、メールを返していないという罪悪感だ。
それがますます私にメールを返す気を起こさせなくする。
「はあ、どうしよう」
そう呟くも、メールを送る気は出ない。
そして結局私は携帯電話を変えたこときっかけで、詩織との縁は完全に切れてしまった。
そのことを詩織に伝えず変えてしまったため、メールアドレスが変わり、詩織は私に対するメール送信手段が消えてしまっただろう。
心苦しく思うけど、私にはメールアドレスを変えたよというメールが送れなかった。
その後、私は詩織に対する罪悪感は抱きつつも、平和に笑って過ごした。
だが、私が大学生になった後、ふと電話がかかってきた。その電話の内容は詩織に関するものだった。
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