憎しみ


 どれくらい時間がったのか。

 意識を取り戻した俺は、機体のシステムがダウンしていることにため息をつき、状況を確認するべくハッチを開ける。

 目に入った景色に言葉を失った。

 基地があった場所は瓦礫すら残っておらず、黒く染まった大地と黒い粉塵が舞っていた。


 ――“黒い灰”。


 その名の通り、シュヴァルツ・アシェは跡形もなく消し炭にしていった。


(あいつは、自分の身を守るために、戦争の火種となる物を回収するためなら、平気で人の命を奪うのか)


 俺はカイトの身勝手な行動に怒りを覚える。


 あいつのせいで隊長はおかしくなった。

 あいつのせいで隊長は死んだ。

 あいつのせいで仲間が死んだ。

 あいつのせいで――!!


「許さない……。必ず見つけだして、犯した罪の報いを受けさせてやる。カイト・シュミット!!」

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