5本目 クリパをキャンセルッ!(泣) 【Ad.10】
父親の母国の子供たちはみんな好きではあるだろう。ただ、カデンの場合は父方本家と交流の機会を得られるのが理由だ。〝クリスマスは家族と〟が基本の文化
今年は一族のパーティーにはリモート参加だった。しかし、
(あぁーっ、ありがとう伯父様っ! クリスマスはこうでないと!)
カデンは十代では一族の最年少だ。また伯父にひと
今日のためにおろしたちょっぴり大人びたドレスの装いを、
(休戦にしておいて正解よ。今日がクジビキの日だと気づいたときは一瞬迷ったけど、やっぱりクリスマスだもの! 許してワルプル様!
魔王部には特にことわりを入れる義理もなかったが、
(念のため連絡してみようかしら。ただあの子、スマホ不携帯がちなのよね……)
タマは外見も少し個性的だが、その方面でも自信家なカデンが認める美人だ。持ち前のアクティブさも相まって、街に遊びに出ていないとも限らない。それはそれで心配なので、やはり連絡を入れてみようと、玄関に移動したカデンがスマホを取り出したところでインターホンが鳴った。
「おや、カディ?」
ダイニングから、カデンと似た金髪の青年が顔を
「ちょうどよかった、カディ。悪いけど、出てくれる?
「ええ、出るわ、ケビン。もしかしたら友だちかも」
戻っていくケビンを手を振って見送る。ハラハラして心臓がドキドキしているのにとても気持ちがいい。それってもしかして、そういうことなの、カデン!? きゃーっ! と心の中でひとりはしゃいでみたりして、ほわほわと
「タマ、遅いわよ? もうすぐディナーの用意が――」
「あ!? おったど!」
「ほら。やっぱり実家じゃないか」
ほわほわ雲を突き抜ける。
「いぇーい、カデンーっ! 魔王がメリクリに来たぞぉ! 観念しろぉ!」
「
「いるかどうか確かめに来ただけじゃなかったか……?」
「あ、あなたたちッ!? いいいいったいなにしに来たのよ!?」
いまさら居留守を使うわけにもいかず、カデンは意を決して受話器にかじりついた。玄関側にモニターはないが、ノッポの千枝だけは声色でカデンの様子を察したらしく申しわけなさそうな苦笑いを浮かべている。
(入れるわけないでしょ!? なに考えてるのよ、よりにもよってこんな日に!)
「どうしたんだい、カディ?」
受話器のスピーカー以外から声がして、カデンは息が止まりそうになった。
振り向けばすぐそばに、いつのまにか一番歳の近い金髪の
「三人も来たのかい、カディ? それでもめてるの?」
「え、ええ。ちょっと多すぎて無神経よね?」
「いや、構わないと思うよ? 心配なら、ボクから
「ふぇっ!? あっ、ちょ、ケビ――」
うろたえるカデンに「人気者は大変だね」とウインクを残し、ハンサムな
モニターでは反応がないので
立ちつくして真っ白になったカデンの脳裏を、背中から岩山へ突き刺さっているビジョンがふたたび
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