第55話 如月南乃花の秘密の恋心

☆(糸魚川モナ)サイド☆


視力が落ちたけどアタシにとってこれは栄光の傷だと思っている。

それよりも心配なのは康太。

康太が心配だ。

私はどう接すれば良いのか分からず。

そのままクラスで考え事をしていると矢住が目の前に腰掛けた。


「やあやあ。モナさん」

「.....何だお前は」

「そういう感じで一度話し掛けて見たかったから。あはは」

「.....そうかよ」

「.....元気?」


「元気っちゃ元気だが。だけど色々と不安があってな」と矢住に話すアタシ。

すると矢住は「うん。康太くんだよね?」とアタシを見る。

そんな矢住に聞いてみる。

「アタシで良いのかな。生徒会書記は。結局何もまとめきれてないし」と。

矢住は「モナちゃんは頑張ってる」とアタシを見てくる。


「むしろ言っちゃ悪いけど今のモナちゃんは正義感が更に深くなった感じだね」

「そんなもんかね」

「うん。私は少なくともそう思う」


そんな会話をしているとクラスの女子が「康太君。調子が悪いんだって?」と言う感じで反応してくる。

アタシは「え?あ、ああ」と返事をする。

それからアタシは「それがどうしたんだ?」と反応した。


「いや。クラスの人達で何人かで康太君の家に行こうかなって」

「そうそう」

「え?そ、それはありがたいかもだが」

「モナちゃんは実際。本当に良い人になったから」

「そうそう!とっても良い人だってわかったしね」


アタシは酷く困惑する。

矢住に助けを求めると矢住はニヤッとしていた。

それから「モテモテだ。康太君は」と笑顔になる。

その事にアタシは慌てる。

「待て!アタシの彼氏だからな!」という感じでだ。


「それは分かってる。お姫様とナイト様だから邪魔しないよ」

「そうだよん」

「は、恥ずかしいからそれもやめてくれ!」

「あはは。じゃあ放課後に5人ぐらいで」

「アタシも行くぞ」


(何で矢住が来るのだ)と思った。

だけど矢住は「私はお呼ばれでないのはおかしいで」と反論する。

アタシはその顔を見ながら盛大に溜息を吐いた。

それから「分かった分かった」と言う。


「ただ康太には連絡するから。それで駄目って言われたら諦めろ」

「はーい」

「まあそれでも私は行くけどね」

「お前はアホか?」


アタシは苦笑いを浮かべる。

そして次の時間のチャイムが鳴った。

それからアタシは次の時間の授業を受ける。

そうしてから昼休みを迎えると.....別クラスの女子達に噂が広まっていたせいかアタシに群がって来た。

目を撃たれた事を心配する様な感じでだ。


「お、おい。矢住。助けてくれ」

「いやはや。モナちゃんはモテモテですなぁ」

「いやいや。そんな事を言っている場合かお前は!助けろよ!」


そんな感じでアタシは絡まれていたが矢住が仲介に入ってくれた。

アタシはそのままトイレに向かってからそのまま落ち着く場所を探す。

このままでは女子と男子もそうだが絡まれてしまう可能性がある。


昼休みがぶっ潰れてしまうのは御免だ。

そして考えた末に来た場所。

それは生徒会室だった。


「あれ?糸魚川さん?」

「え?お前何をしているんだ?如月」

「私は仕事だよ。珍しいね。糸魚川さんが来るなんて」

「ちょっと厄介な事があってな。それで来た」

「ああ。そういう事なんだね」


「良かったら仕事手伝うぞ」とアタシは切り出す。

すると如月は纏めていた書類を見ながら「そうだね。生徒会書記に任せようかな」と言いながら書類を手渡してくる。

アタシはその書類を受け取りながら「!」となる。

それから「体育祭」と言う感じで反応する。


「そうだね。今度10月に移行したからね。体育祭は」

「すっかり忘れていたな」

「それも仕方が無いね。忙しかったでしょ?目とか.....」

「まあなっちまったもんはしゃーない」

「.....だけど大変だね」

「それも人生ってやつだ。アタシにとっては」


それからアタシは「体育祭はどんな感じにしたいんだ?生徒会長は」と言葉を発してから如月を見る。

如月は「そうだね。今年は恋愛をイメージで」という感じで笑顔になる。

「そうか。恋愛か.....え!?」と反応するアタシ。

すると如月はニヤッとした。


「冗談に決まっているよ」

「何だ冗談か.....」

「でも今年はそういう感じで行きたいなって思うけど」

「何故そんなに恋愛に拘るんだ?」

「それは勿論。糸魚川さんの恋愛をモチーフに」

「止めてくれ。冗談でもキツイぞそれ」


「あはは。でも本当に良い恋愛模様だったよ。あれは」と笑顔になる如月。

それから「何か憧れる。そういうのって。.....私も恋愛したけど上手くいかなかったから」と告白してきた。

(そうだったのか?)と思いながらアタシは如月を見る。

「そもそもうまくいかないよね。だって私は呪われているしね」とかなり深刻そうな顔をした。


「.....よく分からないけどアタシはお前は良い恋人ができるって思っているぞ」

「そう言ってくれるんだね。有難う」

「こんなアタシに彼氏が出来たぐらいだ。お前に出来るのは余裕だろ」

「.....そうだね。確かにね。励みになった」


そして如月ははにかむ。

そういう難しいのはアホだから分からないけど.....如月は間違いなく良い奴だ。

だからそう難しく考えなくて良い様な気がする。

思いながら居ると「でも最近は好きな人が出来たよ」と如月は笑顔になる。


「.....え?誰だ?」

「.....それは.....貴方だけど」

「.....」


数秒間その言葉に考えた。

そして絶句した。

アタシは「お、お、おまえ!?」という感じで反応する。


「だって格好良いからね。糸魚川さんは」と赤くなってからアタシを見る。

アタシまで真っ赤になってしまう。

そういう趣味は無いんだが!?

すると如月は「まあでもこの恋は叶わないから」と苦笑する。

それから「だからこそ私の分も幸せになってね」と柔和な顔をする。


「.....如月.....」

「私は全力で応援するから」

「.....サンキューな」

「うん」


如月の恋.....。

アタシは叶えれないけど。

だけどきっと幸せになると思う。

頑張ってほしいもんだな。

そんな事を考えながらアタシは書類をまとめた。

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