第54話 康太、萌葉、モナ

☆(夏川康太)サイド☆


俺の心がメチャクチャに引っ掻き回された気分だ。

そう思いながら目の前の萌葉を見る。

萌葉は全てを片してから俺を見てくる。

それから「大丈夫?」と聞いてくる。


「.....ああ。仮にも死んでないしな」

「そう。.....なら良いけど」

「萌葉。本当にありがとうな」

「.....私は何もしてない。.....ただ康太を心配しているだけだから。それで片しているだけ」

「そうか。でもそれでも感謝しかない。萌葉」


萌葉は苦笑しながら「ご飯は?食べた?」と聞いてくる。

俺は首を振りながら「食欲がなくてな」と返事をする。

すると萌葉は「じゃあお粥ぐらいならどうかな」と聞いてくる。

その言葉に「作れるか」と聞いてみる。


「うん。作れるっていうかメチャクチャ簡単だから」

「そうか.....じゃあ頼んでも良いか」

「うん。分かった」


それから萌葉は卵、米などを用意し始める。

俺はその姿を見ながら萌葉の為にテレビを点けてやった。

面白いワイドショーの様だが。

全く笑えなかった。


「康太。面白い?」

「.....さあな。.....今の心情じゃ分からないな」

「そう。.....じゃあ切ったら?」

「だけどお前が暇だろ」

「.....私は康太と話すだけでも暇じゃないけどね」


そして笑みを浮かべる萌葉。

俺はその姿を見ながら「なあ。萌葉」と聞いた。

すると萌葉は「何?」と聞いてくる。

その萌葉に聞いてみる。


「俺をまた好きになったりするのか。お前は」


意味深の話だ。

すると萌葉は動きを止めてから「貴方は良い彼女さんが居るから。私は絶対に貴方の元に戻らない。.....だけど陰ながら応援はしている。.....貴方がそう言う理由が分からないけど私はそんなつもりは一切無いから大丈夫」と言ってきた。

俺はその姿を見ながら「そうか。サンキューな」と話す。

なんでこんな事を聞いているのかまるで分からん。


「それはそうと。モナは眼鏡をかけ始めたけど似合っているよね」

「そうだな。俺の自慢の彼女だからな」

「.....そっか。メロメロ?」

「うるさいな.....決まっているだろメロメロに」

「あはは。康太は素直」


そしてご飯が炊き上がる音がした。

俺はその事に徐々に作り上げていく萌葉を見る。

それからお粥ができた。

俺の前にそれは置かれる。


「.....ああ。美味しそうだな」

「出汁風味のお粥です」

「.....お前本当に料理上手だよな」

「無駄に教育されたから。熱いから気をつけて食べて」

「.....サンキューな」


それから俺はお粥を食べる。

卵ふわふわ。

そして味わい深い。

俺は目の前を見てみる。

萌葉がニコッとしていた。


「美味しい?」

「.....そうだな。.....お前は上手だな。本当に」

「そうだね。.....じゃあ私も何か食べようかな」

「.....」

「カップ麺で良いかな。私は.....ん?どうしたの?康太」

「お前はそんなもので良いのか」


俺は聞くと萌葉は「そうだね」と答えた。

それから「私は.....昔からそういう感じだったから」と言う。

俺はその言葉に「米はまだあるのか?」と聞いてみる。

「あ。おかわり?」と言ってくる萌葉。


「違う。チャーハンを作る」

「.....え?誰の為に?」

「お前の為だ。俺はチャーハンしか作れないけどな」

「.....いや。そんなの良いのに。私はカップ麺で.....」

「体調が壊れるぞ」


そう言いながら俺はチャーハンの道具を出してから調味料を出した。

それから米を入れて野菜を切って.....。

で。

10分ぐらいして完成した。

そしてそれを萌葉の前に出す。

すると萌葉は「凄い。こんなの作れるんだね」と俺を見る。


「.....せっかくだからモナも呼ぼうか」

「.....え?いや。モナに迷惑がかかるだろ」

「良いから。今日はチャーハンパーティーって事で。どうせ全部は食べれない」


それから萌葉はモナに連絡してからモナを呼ぶ。

そしてモナは「これ康太が作ったのか?」と聞いてきた。

俺は「ああ。量が多くなったからな」と苦笑した。

するとモナは「じゃあ頂きます」と笑顔でハフハフと食べ始める。


「.....美味しいな!康太!」

「そうだろ?.....まあとは言ってもチャーハンしか作れないんだけどよ」

「.....そういやこうして3人揃うの久々だな」

「そうね。モナ」


色々あったよな.....とモナは眉を顰める。

俺はそのモナを見ながら少しだけ悲しげな顔をする。

いかんな.....精神面が安定してない。

どうしたもんかな。


「勘違いしないでね。.....康太。大丈夫。.....貴方のせいじゃない」

「康太。お前また自分のせいって勘違いしているのか」

「.....ああ。.....すまないな。2人とも」


俺は何を考えているのだろうか。

先が真っ暗にしか見えない。

どうして.....いつもこんな感じなのだろうな。

いや.....違う.....最近か。


「.....康太。.....キスするか」

「このアホンダラ。何を言って.....」

「キスしたら落ち着くぞ。きっと」

「する訳ないだろ。.....大丈夫だ。薬飲むから」


そして俺は戸棚から薬を取ってから飲む。

精神薬だ。

果たして俺はいつまでこれを飲み続け。

治るのだろうか?

そんな事を俺は考えながら2人を見る。


「大丈夫だ。康太」

「私達がいる」

「.....ああ。そうだな。.....今は無理でもな」

「そう。だから安心しろ」

「代わりばんこで家に来るから」

「.....サンキュー」


それからこの日から。

代わりばんこで家に萌葉かモナが来る事になった。

何だか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

どうしたものかな。

お礼を.....考えないと。

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