最終章 全ての決着をつける時

晴れ渡る空

第52話 傷心

☆(糸魚川モナ)サイド☆


それから日数が経ち。

10月7日になってしまった。

私は傷の視力低下の影響で眼鏡をかけなくちゃいけなくなった。


それは.....遠藤に目を撃たれたから。

だけど私は康太を守った。

愛しい人を守れた。

それだけで十分だったのだが。


萌葉も康太も傷付いてしまった。

康太に至っては責任を取って引き篭もってしまった。

旅行も中途半端に終わってしまったし.....後悔しかない。

思いながらアタシは眼鏡を上げながら康太の家を見上げる。

そしてインターフォンを押した。


『.....はい』

「康太。アタシだ。.....大丈夫か?」

『.....まあな。.....ありがとうな』


康太は後悔に囚われてから学校に来なくなった。

アタシは学校に行く様に促すが。

それは間違いだと気が付いてからしなくなった。

それからアタシはこうしてプリントを届けている。

そして康太の家の玄関ドアが開く。


「康太」

「.....よ。モナ」

「.....体調は大丈夫か?」

「仮にも死んでないしな」

「.....そっか」


周りの関係があっという間に崩れ落ちた。

因みにだが遠藤は少年法とかで裁かれる様だが.....どうなるかは分からない。

銃刀法違反や殺人未遂などの罪でだ。

アタシはその事だけでも良かったと思っている。

考えながら康太の家の門を開ける。


「.....モナ。ありがとうな。毎日プリントを届けてくれて」

「気にすんな。.....アタシが好き好んでやっているんだから」

「.....」

「.....気にすんなって。.....目の事は。アタシが油断したせいだから」

「.....そうだな.....だけど最悪だよ」


康太は唇を噛む。

その姿にアタシは我慢ができなくなった。

それから康太の両頬を掴む。

そしてアタシは康太にキスをした。

康太は「!」という感じで反応しながらアタシを見る。


「.....康太。気にすんな。.....アタシは絶対に大丈夫だから。.....むしろ眼鏡姿も知的な感じだろ?」

「.....まあな。だけど俺はお前を守ってやれなかったから」

「.....康太.....」

「俺は何をしていたんだろうな」


抜け殻の様な反応をする康太。

アタシはその顔を見ながら「なあ。康太」と声をかける。

すると康太は顔を上げた。

それからアタシを見る。

アタシはそんな康太の手を握る。


「なあ。近所の公園に行かないか?」

「.....え?.....あ、ああ」

「.....アタシな。.....そこで康太と一緒に遊びたい」

「.....は?遊ぶって何だ?」

「遊具で」

「お前は子供か」


「良いじゃねーか子供になったって」とアタシは怒る。

康太は目を丸くしていたがやがて「待っていてくれ」と言いながらアタシを玄関に入れながら準備を始めた様だ。

アタシは玄関で座って待っていた。


「お待たせ」

「.....康太。久々だな。その服」

「.....主に外出の時にしか着ないしな」

「.....そっか」


康太が羽織っている上着。

それは.....アタシがプレゼントしたものだ。

縫ってから作った。

チクチクしながらであるが。

大切にしてくれているんだなって思う。


「.....康太。そんなに几帳面に使わなくても破ったらまた作るよ」

「駄目だ。これは世界に1つしかないからな」

「.....恥ずかしいなぁ」

「そんなもんだぞ。彼氏彼女の関係ってのは」


そんな感じで康太は笑みを浮かべる。

アタシはその顔が本当に大好きだった。

だからこそ.....康太には元気になってもらいたい。

思いながらアタシは。


「じゃあ行こうか。康太」

「ああ。.....でも遊具で遊ぶって本当に?」

「そうだぞ。マジな話だ」

「.....あのなぁ。恥ずかしいんだが」


恥ずかしいとかそんなの気にしないしな。

思いながらアタシは康太を引き連れてから近所の公園にやって来る。

小学生ぐらいの男児がサッカーボールを蹴って遊んでいる。

その姿にニヤッとする。


それからアタシは「なあなあお前ら。アタシも混ぜてくれないか?サッカー」と言葉を発する。

男児たちは驚きながらも「姉ちゃんサッカーできるの?」と聞いてくる。


「ああ。できるぜ?.....アタシに任せなさい」

「そっかー。いいよ!姉ちゃん!」


男児達は笑顔になる。

そしてアタシは勝手に男児達のサッカーに混ざった。

それからサッカーをし始める。

その姿に唖然としながら康太は立っていた。


「何しているんだお前は」

「見て分からない?サッカーしてるんだ」

「.....いや.....何でいきなりそんな事を」

「そりゃ楽しいから」


そんな言葉を発しながらアタシは康太に「見ていてくれ!」と言いながら駆け出して行く。

それからニコニコしながらサッカー捌きを見せる。

すると男児達は目を輝かせて「姉ちゃんすっげー!!!!!」とか言ってくる。

アタシは心地が良かった。


「.....ったくな」

「康太もするか?」

「するか馬鹿野郎。それも力量の差があるしな」


康太はそう言いながらやれやれな感じでベンチに腰掛ける。

それからアタシに苦笑いを浮かべながら居た。

アタシはヘディングシュートとかを決める。

そして暫く砂まみれになって遊んだ。

楽しい時間だと思う。


「姉ちゃん!色々技を見せてくれ!」

「俺も俺も!参考にしたい!」

「良いぞ!アタシは何でもするからな!」


「少年かよ」とツッコミがあったがアタシは気にせずやる。

それから技を次々に決めてから頬にも泥をつけながら遊んだ。

そして時間が来てから男児達と別れてから。

ベンチの.....康太の横にどかっと腰掛ける。

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