第51話 夏川康太への復讐(下)
☆(夏川康太)サイド☆
俺には友人が居る。
いや。
正確には(居た)が正しいかもしれない。
いつも喧嘩とか悪い事をする為に連んでいた感じだ。
ソイツの名前は遠藤邦彦という。
中学生の時に俺は遠藤と出会った。
それから暫くの間は連んでいたが俺が田中と出会ってから遠藤は一変した。
俺に対して「いきなり女を作るとか。俺はお前が女にチヤホヤするそんな短絡的な奴だと思わなかったぞ」と言われたのだ。
何故そこまで遠藤が怒っていたのかは分からないが俺が先に女を作った事に.....というか女子と仲良くした事に怒っている様な感じだった。
(優先順位を決めるとか子供かよ)と思ったし「俺と田中の関係はそんなもんじゃない」とはきちんと説明したが遠藤は怒ったままであり俺にまともに接しなかった。
それから俺達の関係には傷が付き始めた。
そして俺はそのお陰で段々と(不良で居る事が悪い事だ)と思い始めてから不良を俺は辞めたのだが遠藤はそれでも不良を辞めなかった。
それどころか俺を裏切り者扱いしてから.....遠藤は俺をイジメ始めた。
俺はそれが少しだけ嫌気だったがそれでも田中は守ると思いながらそのまま田中との付き合いは辞めなかった。
それから俺は完全に遠藤と決別してからの日々を過ごしていたのだが。
ある日、遠藤が不良グループに復讐されており。
その姿を見た俺に遠藤は「助けてくれるか」と言ってきたが。
イジメを繰り返すボケナスを救う気にもならず。
そのまま放置して帰った。
これが気に障ったのだろう。
そして今の復讐に至っているのだろうが。
それから遠藤は中3のその事件の後にそのまま引っ越してしまった。
どうも家族の事で引っ越したとは聞いたが。
それでまさかこんな事になるとは思ってなかったが.....。
思いながら俺は走っていた。
運命の日になってしまったな今日が。
考えながら温泉街から少し離れた廃ビルにやって来る。
3階建てのビルの様に見えるが。
ドアが壊れておりそこから侵入してから周りを見渡していると「まさか本当に来るなんてな」と声がした。
その声の方角を見ると.....そこに遠藤の仲間らしき奴らが居た。
バットとか角材を持っている。
「.....田中は何処だ」
「安心しな。そこに行き着く前にお前はこの場所.....」
そこまで聞いてから俺は問答無用で拳を遠藤の仲間の腹に減り込ませた。
すると吹っ飛んだ遠藤の仲間の1人。
背後からモナも参戦する。
それから3人居た奴らをみんなボコボコにしてから階を上がる。
そして目の前を見ると.....今度は10人ぐらい居た。
完璧な不良ばかりだ。
「.....モナ。.....死ぬなよ」
「死なねぇよ。そもそもアタシもこう見えて怒っている。.....アタシの友人が攫われたんだから」
「.....」
俺は1人また1人と殴り飛ばしてから失神させる。
ストレートとかアイアンクローとか。
そんなものを駆使してからやっていると.....いきなり拍手が聞こえた。
俺達は顔をばっと上げる。
そこに.....顔に刺青があるクソバカが居た。
変わってない。
「.....遠藤。お前な」
「おっと。恨むなよ俺を?そもそもお前が悪いんだからな。全ては」
「康太が何で悪いんだ。お前がふざけているせいだろ。ヒヨッコが」
「は?夏川はまた女作ったのか?」
「お前には関係のない事だ」
それから俺は遠藤邦彦を見る。
すると遠藤は「お前は変わってないな。俺はお前が嫌いだったよ。ずっと田中と出会って輝いているお前がな」と言葉を発する。
そしてギリッと歯を食いしばる。
モナが「はぁ?お前は馬鹿か?」と言葉を発する。
「康太は物凄い頑張っていた。お前は何も頑張ってないだろうが。弱い者を嘘で塗り固めて倒して踏み越えただけだろうが?それは強さじゃない。ただの弱腰だ」
「.....そこの軽い口の女が腹立つんだけど」
「いや。モナの言う通りだ。お前は弱い。.....全てが弱いんだ」
「.....夏川。殺すぞ」
「お前なんぞに殺されると思うか?俺が」と言葉を発すると次に足に強い痛みが発生してきた。
よく見ると太ももから出血している。
何かがめり込んでいる。
それは拳銃の弾の様に見えるが.....これは?
「モデルガンを改造したんだ。.....BB弾とかじゃなくてパチンコ玉だ。ガスで威力が増しているから本物の拳銃に近いぜ」
「.....」
「康太.....!」
「落ち着け。モナ。.....ただ単に撃たれただけだ。おもちゃの銃に」
「そんな事言って良いのか?これは一応殺傷能力があるぜ?」
そして跪いていると周りの奴らがニヤニヤし始める。
俺はその言葉に「遠藤。お前は弱くなった。.....昔より遥かに情けなくなった。.....そもそも俺が不良になったのはお前に憧れていたから。.....だけど今はお前は不良の面影というよりかはただの悪人だ。.....田中を返せ。もう無理だぞ。警察も来る」と言うと遠藤は「その前にお前らをボコれれば何でも良いけどな」とニヤッとした。
「.....情けない訳がないだろ。俺にはこれだけ仲間が居る」
「仲間の問題じゃない。これはお前の様なクソバカの問題だ」
「.....お前マジムカつくな。死ねよ」
引き金を引き俺を撃とうとしてくる遠藤。
周りの奴らも処刑の光景を見守る感じで俺達を見てくる。
「マズイな」とそう呟いていると遠藤は撃った。
それから出血する.....それは前に立ち塞がったモナの左目に命中した様.....な.....。
「モナぁ!!!!!」
絶叫する。
モナは「ぐぅ」と言ってから出血している左目を押さえる仕草をする。
命中した様だ目に。
嘘だろ!?
俺は駆け寄ってからモナを見る。
「ははっ.....そうなるか。悲劇のヒロインが救うってか」
「.....」
モナは痛みに悶えながら遠藤を見る。
その事により。
俺は。
俺の中で。
強い何かが発生した。
「こ、康太。大丈夫.....だから」
モナはそう言うが。
流石に俺もキレてしまった。
モナが傷付いた。
その事に。
「遠藤。.....俺はお前を殺してやるよ。お望み通り」
それから俺はバットを拾う。
そして周りの奴らを一気に一蹴した。
一撃必殺。
まさかの事態に遠藤は愕然としてから引き金を引く。
だがその前に俺のバットの方が速かった。
そのまま遠藤の手を右からぶん殴って拳銃を持っている手。
それをバキッと音を鳴らすぐらい強く殴った。
骨が折れた音がする。
「う、腕が!?」
「.....遠藤。.....知ってるか?飛び道具ってのは遅いんだぜ?動きがな。.....近接武器がこういう時には便利なんだ」
「ま、待て!夏川!お前は何か間違っている!俺を殺したらそれこそ殺人罪.....」
「あ?」
俺は威圧しながらそのまま容赦無く頭をかち割ろうとバットを振りかざす。
これで終わりだ。
するとモナが。
田中が。
俺を止めた。
「.....間違っている。.....康太」
「.....そうだ。間違っている。.....康太!.....コイツを殺しても何にもならない!」
その言葉に俺は遠藤を見る。
すると遠藤は汗を吹き出しながらニヤッとして銃を構えた。
俺はその事に激昂してから歯が折れるぐらいに殴り飛ばした。
遠藤はそのまま気絶する。
そうだな。
今はこのぐらいにしておこう。
そう考えながら.....俺はモナを。
田中を見る。
「.....モナ.....ごめん。俺が.....」
「.....気にすんな。.....例え目が見えなくても.....アタシの前には康太が必ず居る。それで十分だろ?」
「.....」
そしてこの後。
救急車でモナは運ばれた。
それから俺達も救急車で運ばれ警察が来て不良全員を逮捕した。
結論から言ってモナは.....左目を撃たれた影響で視力がメチャクチャに低下した。
その事によって俺は.....家から出れなくなった。
守れなかった。
そう思いながら疲れてしまい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます