夏川康太

第46話 夏川康太への復讐(上)

☆(夏川康太)サイド☆


16時31分。

校門前で俺は待っていた。

愛しい彼女をだ。

すると彼女がこっちに走って来た。


「待たせたか」


そんな感じで俺を見てくる黒髪の少女。

モナである。

そんなモナを見ながら俺は小説を閉じてから校門の石垣から背を退く。

それから「うんにゃ」と肩を竦める。

するとモナは「そうか.....」と安心した様に俺を見てくる。


モナは結論から言って生徒会に入る事になった。

生徒会書記だ。

この学校は結構身軽で生徒会なんて直ぐに入れた。

俺はその事を考えながらモナを見た。


「凄いよな。.....本当に成長したなお前」

「.....全部康太のお陰だ。康太がアタシを導いてくれたから」

「俺は導く事はしてない。全てお前の意思だ。そして強さだ」

「.....そうかな」


そして俺達は歩き出す。

それから目の前を見ているとモナが「そういやさ.....その」と言ってくる。

俺は「?」を浮かべながら「どうした?」と聞く。

するとモナは「今度の休みは一緒にどこか行かないか」と笑顔で言ってくる。

成程な。


「どこに行こうか?」

「それは.....あ。そうだよ。.....確か商店街で福引やってんだ。2枚だけチケットあるんだ。それで決めようぜ」

「福引?」

「そうだな。.....お前の知り合いの居る商店街のな」


モナはそう言いながら俺を見る。

そして笑みを浮かべた。

俺はその顔に「じゃあ1枚ずつやってみるか?」とニヤッとする。

するとモナは「だな」と返事をした。

それから俺達は笑い合う。


「.....もしこれで旅行チケットとか当たったらだな」

「そうだな。それはそれで面白そうだ」

「だけどまあ当たらないだろうな」

「そうだな」


そんな会話をしながら俺達は商店街に向かう。

それから福引会場に向かってからガラポンを引いてみた.....結果。

俺はティッシュ。

だがモナが金色の玉で1等がマジに当たってしまい。

それは.....2泊3日の温泉のチケットだったが.....困惑した。



「あら困ったわね」


その様な感じで同じ様に困惑するモナの母親。

俺達はモナの家に行ってから報告したのだが.....そんな感じの表情をされた。

それはそうだろうな。

思いながら俺は4枚あるツアーのチケットを見る。

誰を誘うんだよ。


「保護者が行かないといけないだろうな」

「そうだな。確かに。アタシの母親は忙しいしな」

「そうか.....モナの家族が行くにしても4枚なら.....1枚切り捨てないとな」

「もったいなくね?」

「まあ確かにな」


そんな会話をしていると粉雪さんが「じゃあ良い人が居るわ!」と目を輝かせた。

そして電話をする。

その相手は.....若い女性だった。


それから「石丸さん!実はかくかくしかじかで.....」と説明する粉雪さん。

俺はその言葉を聞きながら見る。

うん?石丸.....?


「なあ。その石丸って誰だ?」

「ああ。康太に説明してなかったな。石丸って田中の.....っていうか何で石丸さんに?」

「あらあら。それはモナと康太くんと田中さん、石丸さんと行って来たら良いじゃないかって思ったのよ!」

「待て待て!?母さん?!それじゃ母さんの体調が心配だ.....!」

「だってチケットが勿体無いじゃない」


「大丈夫よ私は3日ぐらい」と言いながら笑顔になる粉雪さん。

そしてモナは「でも.....」と言う。

粉雪さんはその姿に言葉を続けた。


「.....まあ羽をたまには伸ばしてきなさい。.....良いわよ。温泉って」

「でももし何かあったら.....」

「せっかく4枚チケットがあるんだから。.....行ってきなさい。楽しんできなさい。青春は1度きりよ」

「.....母さん.....」


モナは困惑しながらも「.....分かったよ」という感じで納得した。

それからモナは「でも母さん。何かあったら直ぐ帰るから」と力強く宣言する。

俺はその姿を見ながら居るとインターフォンが鳴った。

そして玄関先に向かう粉雪さん。


「はいはーい。.....あら。田中さん!石丸さん!」


俺達は「!」と浮かべながら玄関先を見る。

すると例の石丸さんと思われる召使いらしき人と田中が居た。

俺を見ながら驚く。

その姿を見ながら「この前ぶりだな」と返事をした。


「.....そうね」

「.....お前も来てくれるか。今回の旅行」

「だけど私じゃなくて他の人を誘えば.....」

「お前が良いんだよ。.....それに生徒会の事を話し合ったら良いんじゃないか?」

「.....それに思春期の問題が.....」

「お前が言うな.....」


額に手を添えながら首を振る俺。

そして田中を見る。

田中は顎に手を添えながら「分かった」と返事をする。

「それで良いかしら。石丸」と石丸さんを見る田中。


「私は構いません。お嬢様方のご面倒を必ず見ますので」

「.....そう。.....じゃあモナもそれで良いかしら」

「.....ああ。.....え?」

「モナっておま.....?」


俺達は顔を見合わせる。

石丸さんも驚愕している。

そんな田中は「友人という関係になったならそういうものでしょ?」と少しだけ恥じらう感じで反応する。

モナはその言葉に数秒だけ呆然としていたがやがて苦笑した。


「.....ああ。有難うな。.....萌葉」

「.....」

「.....やれやれだ」


俺はその2人の姿を見守りながら少しだけ溜息を吐いた。

すると俺に田中が柔和な顔で向いてくる。

「ここまで来たのは貴方のお陰だね」と言われたが。

俺は「何もしてない」と目を閉じて開いて反応をした。


そして俺達は旅行に行く事が決まったが。

これにより事件が発生した。

その事件は.....。

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