第45話 如月財閥と実力の問題
☆(田中萌葉)サイド☆
私は如月に対して色々やってきた。
それは如月がそれだけやると頷いてくれたから。
だから嬉しかったから色々と教えた。
そして私はその場から去った。
私自身の母親と父親の都合で、だ。
「.....」
翌日は学校が終わる時間が早かったので外を歩いていると如月に誘われた。
「もし良かったらカフェに行かない?」という感じでだ。
私はその言葉に嫌々ながらも付いて行った。
それから私は目の前の如月を見る。
如月はニコニコしながら私を見ていた。
「.....貴方は生徒会長でしょ?良いの?」
と聞いてみる。
すると如月は「うん。大丈夫」とニコッとした。
そして「師匠に教わりに行くって言ったから」と柔和になる。
そんなもので良いのか。
それに師匠って私はそんな大きなものじゃない。
「.....私みたいな奴と居ると.....穢れるよ」
「噂には聞いたよ。.....だけど貴方は反省しているよね。.....そして今を一生懸命生きている。なら穢れじゃないよ」
「.....」
「私は貴方のやった事は罪深いって思うけど。.....だけどその分反省をしているなら良いんじゃないかって思う。心からね」
「.....はぁ.....」
私は盛大に溜息を吐く。
それから如月を見た。
ブラックコーヒーを飲む。
そして少しだけ「ウエッ」となる。
やはり苦いものはダメかと思ったがそれでも飲んだ。
「ねえ。田中さん」
「.....何」
「貴方も生徒会に入らない?」
「.....!?」
愕然としながら私は如月を見る。
私は「駄目。私はもう退いた身だから」と言葉を発する。
それから「私は.....そんな方面に向いてないから。アイツをサポートするぐらいで精一杯」と言う。
言葉に如月は「そう?分かった。残念だけど.....」と黙る。
私はその姿を見ながら「糸魚川ならいけると思うけどね」と目線を横にする。
「モナさんは良い人だよね」
「.....そう。.....私的には確かにそう思う」
「.....でも田中さんに再会できて良かった。久々に話せて良かった。.....家庭の事情があったから」
「まあ確かに。.....私の家族は.....あまり良くないから」
そんな感じで話しているとパフェが来た。
チョコパフェの様だが。
(よくこんな大きな甘ったるい物が食べれるな)と考えながら私は目線だけ店員に向けてから戻す。
すると如月は「食べる?」と聞いてきた。
冗談を。
「私はそういう系はあまり好きじゃない。知っているでしょ」
「そうだね。確かにね。でもチャレンジしてみるのも良いじゃないかな?スプーンも2つあるしね」
「.....いや。私は.....」
「まあまあそう言わず。食べたら良いじゃん」
私は困惑しながらも食べる事になってしまった。
仕方がないので1口だけ食べてみる。
かなり美味しかった。
甘じょっぱい感じである。
私は意外な点を思いながら如月を見る。
「.....美味しいでしょ?」
「.....そうね。.....もしかしてこれも計画のうち?」
「そうだね。.....バレちゃった?また前みたいに友達になりたいなって」
「いや.....私の過去を知っているでしょ」
「まあ確かにね。でも過去は過去だから」
「それに私は友達が寄って来ないから」と深刻な顔をする如月。
まあ確かにそうだな。
如月=如月財閥が思い浮かぶ。
もう分かるかもしれないが如月財閥というのは財閥と付くぐらいなので大金持ちだ。
親父さんは確か.....国会の大臣だった気がする。
それで今は如月は生徒会長をしている。
だけど生徒会長になったのは忖度とかじゃない。
完全な実力だと思うが。
彼女の経歴上。
「.....私はそんな肩書要らないんだけどね。.....あくまで上辺じゃない友達さえ居れば.....」
「.....平凡な生活を送るのは大変ね」
「そうだね。アハハ.....」
「だけど普通に接すれば普通に友人なんか作れるでしょ。他に.....」
「駄目だね。.....私はバックに居る人達が強すぎる」
「.....」
私はその顔を見ながら顎に手を添える。
確かにな。
失礼な事をしたら如月財閥により全部終わりにさせられると思うしな。
だから如月には誰も上辺の接し方なんだ。
思いながら私は如月を見る。
「.....何で普通の県立学校に?」
「分かるでしょ?普通が欲しかったの」
「.....そう。確かに」
「だから私はあの学校に居る。.....そして生活している。認められたくて実力で生徒会長に.....なったんだけど.....ね」
「.....」
でもバックの如月財閥は大きすぎた、という事だな。
如月が生徒会長になったのは(全て親)という認識になってしまっている。
私はその姿を見ながら「.....」と思う。
それから考え込み「分かった。アンタと友達になる」と言葉を発した。
「.....副会長だった頃の迷惑をかけていた部分もあるし」
「ありがとう!優しいね。田中さんは」
「いや。って言うかアンタが無理やり近付いて来たんだけど.....」
「まあそう言わない」
そして笑顔になる如月。
私は(コイツも大変だな)と思ってしまった。
しかしこんな簡単に友人なんか作って良いのだろうか。
私は.....呪われているのにだ。
「本当は生徒会にも入ってほしいけどね」
「.....私は生徒会には入らない。.....もう昔の事」
「でも田中さんなら生徒会長も目指せると思うけどなぁ」
「.....私はいい。.....そんな資格もない」
それから私達はその喫茶店で暫く会話をしてから帰った。
正直如月と私は天秤だ。
天秤というのは.....傾くのが天秤。
つまり私と如月は一心同体に近い。
「.....やれやれ」
そんな事を呟きながら私は家に帰る。
それから玄関から室内に入ってから石丸を見た。
石丸はニコニコしながら私を見る。
何だ?
「お嬢様。何だか嬉しそうです」
「.....何が?私はいつも通りだよ」
「そうですかね?オーラが違います。.....何かあったんですか?」
「.....」
そんな馬鹿な。
思いながら私は石丸に「それは気のせいだよ」と肩をすくめた。
それからそのままお父様に挨拶してから自室に戻った。
(まさかな)とそう考えながらだ。
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