糸魚川モナ
第36話 平手打ち
☆(田中萌葉)サイド☆
私は.....初めて親に反発した。
それから意見を申した。
そして私は自室で考え事をする。
私はどうしたのだろうか。
「.....」
そんな事を考えながら私は窓から外を見ているとドアがノックされた。
それから石丸が入って来る。
「お嬢様。お勉強の時間です」という感じでだ。
私はその言葉に「うん」と言いながら椅子に腰掛ける。
すると石丸は静止した。
「.....その前に」
「.....?」
「旦那様からの伝言です」
「.....え?お父様から?何?」
「(今日はお前の同級生に会って良かった。お前の同級生は.....素晴らしい人達ばかりだな。私も後悔をせねばなるまい。すまなかった)だそうです」
あのクソ親父。
私はそう考えながら複雑な顔をしながら前を見る。
すると石丸が「お嬢様は成長なさいました。.....本当に石丸は嬉しいです」と言葉を発した。
私は「そう」とだけ返事をしながらシャーペンを手に持つ。
それから勉強する為に前を向く。
「.....お嬢様」
「何。石丸」
「.....お嬢様は本当によく頑張りました。.....嬉しいです」
「私は浮気したし。.....最低な行為をした。だからそんな言葉を受ける資格はない」
そんな言葉を発しながら私は勉強をする。
すると「でもその分.....貴方は反省していますから」と石丸は紅茶を入れる。
私はそれを見ながら「そうかな」とだけ告げて勉強をした。
それから途中まで数式を書いてから石丸に「ねえ」と聞いた。
石丸は「はい」と返事をした。
「私は.....将来はカウンセラーになりたい」
「.....!.....お嬢様」
「人の感情が知りたいから.....」
「.....応援しております」
石丸はそう言いながら頭を下げる。
それから表に出て行った。
私はそれを見ながらドアが閉まるのを見た。
そして伸びをしてから「頑張るか」と言いながら勉強を始めた。
☆(糸魚川モナ)サイド☆
アタシ達は奏さんと別れてからそのまま帰宅して来ると.....糸魚川家の玄関先で喧嘩声がした。
その事にアタシ達はハッとしてから直ぐに玄関先に行く。
するとそこに.....クソ親父が居た。
アタシに向くやつれた男。
「ああ。モナ。.....金貸してくれるか?」
「アンタ本当に末期だな。.....もう帰ってくれるか」
「帰る?バカじゃないのか。パチンコ代が足りねぇんだよ」
「金は無い。.....アンタに貸す金は一円もない」
「そんな事言うな。お前の親父だろ」
「アンタは別の女も孕ませてから.....金を搾取する気か」と怒り混じりに話す。
「.....は?.....もしかして奏に会ったのか」と親父はアタシを見る。
アタシは「そうだな。お前が孕ませた女だよ」とブチギレる。
すると親父は「そうか。あれは仕方がなかったんだ」という感じで反応した。
「.....妊娠したしな」
「とことんゴミクズだなお前.....親父ってかもう他人で良いかアンタ」
「1000円ぐらいあるだろお前」
「ねぇよ」
そして言い合っていると康太が「待ってください」と言葉を発した。
それからアタシの親父を見る。
「モナの家にはもうそんなに金は無いです。貴方が更生しない限りは貸せないですよ」と告げる。
アタシは驚きながら康太を見る。
「反省.....ねぇ。じゃあお前が金を.....」
とそこまで言った親父を平手打ちした。
まさかの行動に親父も母さんも康太も驚く。
それから思いっきり吹っ飛び倒れる親父。
骨折するぐらい勢いよく叩いた。
「何するんだ!」
「お前がなぁ!!!!!.....親父。お前な.....マジに反省してくれ。.....お父さん.....頼むから.....前みたいに.....」
アタシは声を枯らしながら泣き疲れた様に。
というか全力疾走した様に息を切らしてその場でジワジワと涙を浮かべる。
それから泣き始めた。
親父はまさかのものを見た様に驚愕でアタシを見ながらやがて複雑な顔をした。
そして盛大な溜息を吐いて立ち上がる。
「.....今日は帰る」
「.....大吾.....」
「叩かれたしな」
そしてそう言いながら静かに帰って行った親父。
そんな姿を見ながらアタシを見てくる康太。
「モナ。大丈夫か」と聞いてきた。
アタシは「まあ.....大丈夫だ」と返事をした。
掌が結構な内出血を起こしている。
康太は真剣な顔をする。
「.....痛いだろ」
「痛くねぇよ。それよりも痛いのはアタシの心だ」
「.....そうだな」
「.....モナちゃん.....」
母さんが抱きしめてくる。
アタシは泣きながら母さんを抱きしめた。
すると母さんも泣き始める。
奥から来たナナも抱きしめてきた。
「ごめんなさい.....娘にこんな真似をさせて.....」と話す母さんと3人で抱き合う。
「.....アイツが反省すれば良いんだけど」
「これで、ね。.....確かにね」
「.....多分無理だよ。おねーちゃん」
「そうだな.....」
アタシはそう返事をしながら立ち上がる。
それから康太を真っ直ぐに見る。
康太はアタシを抱きしめながら「大丈夫だ。何があっても俺がお前らを守る」と言ってくれた。
その言葉を受けながらアタシはそのまま康太の背中を握り返す。
「.....期待しているけど.....これは全てアタシ達の問題だ。.....だからあまり踏み込む必要はねぇよ」
「何を言っている。俺はお前の彼氏だ。.....絶対に守る」
「.....本当に良い奴だよなお前」
「ギリギリな野郎だけどな」
そしてアタシと康太はジッと見つめ合いそして何とか笑い合えた。
アタシはそのまままた康太を抱きしめる。
それから温もりを感じた。
(頑張ろう)とそう思えた。
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