第32話 超えちゃならない一線

☆(夏川康太)サイド☆


モナの家に泊まる事になった。

それでゆっくりしていると.....唐突に電話がかかってきた。

その相手は警察だった。

何故警察と思ったのだが警察官はこう話した。


『傷害などの疑いで彼らを事情聴取したのですが.....その際に(田中萌葉)という人物の名前が出まして。お話を聞きたいと思いまして田中さんにお電話を差し上げたのですが.....』


という感じでだ。

俺達は顔を見合わせる。

それから警察官とまた話した。

「すいません。俺達も事情が聞けてないです」という感じでだ。

すると警察官は「田中さんの行方の方は分かりませんよね?」という感じで聞いてきたが答えようがない。


『そうですか。分かりました。.....再度お電話差し上げます』


俺達にそう話しながら警察官は電話を切る。

困ったなこれは.....。

そう思いながら俺は考え込む。

するとモナが俺の手を握ってきた。

「落ち着け。康太」と言いながらだ。


「アイツならきっと大丈夫だ。.....今は警察に.....そう説明するしかない」

「そうだな。それは確かにそうなんだけど」

「それにどうしようもないじゃないか。.....アイツの罪が少しだけでも晴れる様にするよアタシも」

「.....ああ。.....そうだな。アイツもそれなりに反省しているしな」

「そうだ。だから今は取り敢えずだけどアタシ達の側が悪くならない様にしよう」


その言葉に納得しながら俺はスマホを仕舞う。

それから「おにーさん大丈夫?」とナナちゃんが聞いてくる。

俺はナナちゃんの頭を撫でる。

そして微笑んだ。


「.....大丈夫だ。.....何もかもが上手くいくよ。うん」

「そっか。.....うん。信じてる」

「.....だからまあ遊ぶか」

「うん!」


「じゃあアタシはそろそろ料理を作るよ」とモナは言う。

俺は「今日は何を作るんだ?」と聞いてみる。

モナは「白菜と豚肉のミル.....」

とそこまで言ってから粉雪さんが「お赤飯!!!!!」と絶叫した。


「.....あのな。母さん。それは違うって」

「小豆がせっかくあるんだから。.....それに貴方達のお付き合い記念よ」

「いや.....それ普通は結婚とか妊娠した時じゃないのか?」

「あら?そんないかかがわしい事をしたのかしら?」

「してねぇ!!!!!」


真っ赤になってキレるモナ。

俺はその言葉に少しだけ赤面しながら苦笑いを浮かべた。

すると「にんしんって?」と聞いてく.....る。

俺達は顔を見合わせて赤くなる。


「赤ちゃんがお腹に入る事よ。ナナ」

「.....え?.....赤ちゃんってお腹に居るの?」

「そうよ。.....貴方もそのうちに知るわ。.....今は気にしないで」

「うーん。分かった!」


ナナちゃんは俺の手を握る。

そして笑顔になる。

俺達は顔を見合わせてホッとする。

上手いな扱いが。

思いながら俺はナナちゃんと遊んだ。



その日の夜。

俺はお風呂を借りた。

それから入っていると.....いきなりドアが開いた。

そして何故かモナが入って来る.....へ!?


「お、お前は何をしている!!!!?」

「うわぁ!?馬鹿野郎!!!!!こっち向くな!!!!!」

「お前のせいだけどな!!!!!」


バスタオル1枚で何をしているんだ!!!!?

俺は真っ赤になりながら大慌てになる。

するとモナは「ま、前を向いてくれ!取り合えず!」と怒号を飛ばしてくる。

その言葉に汗をかきながら俺は前を向いた。

何がしたいんだマジに!


「母親が.....今は寝ていてな。す、水道代の節約になる」

「.....ならないと思うんだが.....」

「石鹸代の節約にもなる」

「ならねぇよ!お前は.....」

「良いから背中擦らせろ!!!!?」


無茶苦茶だな!!!!!それがしたいだけだろ!!!!?

俺は茹蛸みたいに真っ赤になりながらタオルを預ける。

それから背中を擦ってもらっていると。

モナがいきなり俺を抱きしめてきた。


「何をしてんだお前は!!!!?」

「.....あ、アタシは彼女だ。これぐらい良いだろ」

「良い訳ないだろ!粉雪さんに見つかったらどうする気だ!?」

「な、ナナも寝ているし.....母親も寝ている。大丈夫だ」

「ばっか野郎が!?」


俺を抱きしめながらそのままジッとするモナ。

心臓の音が聞こえる。

そして俺の心臓の音も高鳴る。

信じられない行動をしてくるな俺の彼女は!?

俺は赤くなりながら前の鏡を必死に見ていると数秒して声が聞こえた。


「康太。.....あの日。何でアタシを助けてくれたんだ?」

「.....え?」

「.....お前ってそんな感じじゃなかったよな?入学時は」

「.....ああ。それか」


「俺は.....愛花の事があるからな」と言葉を発する。

それから「お前には愛花の血が通っている。だから.....助けたのかもな」と苦笑しながら俺は前を見る。

するとモナは「そ、そうか」と言いながら抱きついたまま何も言わなくなる。

あの。胸が当たっているんだけど。


「.....なあ。康太」

「.....何だ」

「アタシは.....何か.....お前と.....その。.....無茶苦茶な変態になっちまったみたいだ。お前とエッチな事をしたいとか考えてしまうんだけど.....お前とこのまま.....キスをしたらどうなるんだろうな」

「.....!」


その言葉にドクンドクンと血流が速くなり汗をかく。

そしてモナの心臓の高鳴りを聞きながら.....俺の心臓の高鳴りを聞く。

それから目を閉じて考えたが。

やはりダメだ。


「モナ。今はダメだ。そういう事をするのは」

「.....!.....そうだな」

「.....一線は超えちゃダメだ。やっぱり」

「ああ。お前が言うなら間違いない。.....だから止める。ゴメン」


俺はモナの方を向きながら頭を撫でる。

それから笑み合う。

だけどその。

やっぱりこの状態良くない。

そう考えながら俺はそのまま急いで体を洗って上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る