第29話 破滅の足音

☆(夏川康太)サイド☆


モナと別れてから俺は帰宅した。

それから欠伸をしながら通学鞄を床に置く。

そして俺は水を一杯飲んでから椅子に腰掛けてテレビを点ける。


するとスマホにメッセージが入った。

それは.....モナからだった。

アイツも家に帰ったのかな?


(なあ。康太。少しだけ聞きたいんだけど)

(.....?.....どうした?)

(.....田中萌葉をどう思う?)

(田中?アイツがまた何かしたのか?)

(.....いや。その逆だ。アタシが余計にそそのかしたかもしれない)


(そそのかした?それは?)と聞くと。

モナは(ああ。.....過去の件でな)と書いてくるモナ。

俺は眉を顰めてから(なるほどな)と書く。

それから(今は休ませた方がいいんじゃないか。頭。考えるのも大切だけど)と行ってみる。

するとモナは(そうだな.....。.....実はな。田中が家庭の事情で母親に連れて行かれるのを見たのだ)と告白してくる。


「.....何?」


俺はビックリしながらそう呟いて(モナ。それはどういう)と聞いてみると。

(田中が成績の面で実家に行くんだと。.....それでな)とモナは複雑な感じで言葉を綴る。

その言葉に(そうか)と返事をした。


(どうしようもない。.....アイツの家庭は歪だから。田中を信じるしかない)

(そうか.....)


そういう感じで回答をしているとモナが(あ。すまん。電話がかかってきた)とそのまま会話を中断した。

それから数分経った後。

モナから電話がかかってきた。


「.....電話?どうしたんだ。モナ」

『借金取りが来たらしい。アタシの実家に』

「.....え?それってまさか.....闇金か?」

『分からない。何処で知ったか知らないけど。.....きっと親父の野郎だ.....』


『クソが!!!!!』とモナはイラついた様に壁に拳をぶつけた様だ。

ガァンと音がした。

俺はその音に「落ち着け。モナ」と宥める。

するとモナは『あのクソ野郎マジに殺したい』と怒った。

だろうな。


「.....モナ。気持ちは分かるが落ち着け。俺がそばに居るから」

『.....そうだな.....康太。ゴメンな。ちょっと帰るからこれで切る』

「モナ。本当に大丈夫か?」

『分からない。.....だけど今は.....』


「とにかく借金取りを追い返して.....そして親父を殴る」と答える。

俺はその言葉に「程々にな」と言いながら複雑な顔をする。

何というかグチャグチャだ。

どうしたら良いのだろうか.....。


「モナ。お前も大変だな。本当に」

『.....ああ。お前程じゃないけどな』

「ありがとう。俺もお前の彼氏だ。だから助けたいんだけどガキだしな。というか借金の総額はいくらなんだ?」

『お前が考えている額じゃないと思う。.....500万円らしい』

「.....それって利子もついてか?」

『全てトイチだそうだ』


『クソッタレ』と怒り狂うモナ。

俺はその言葉に考え込む。

モナを助けたいが.....どうしようもないだろうな。

思いながら俺は「モナ。家族は無事か」と聞いてみる。

するとモナは「ああ。何とかな。.....だけど今は油断できない」と答える。


『康太。お前も気をつけてくれ。.....親父がもしお前の顔を覚えていたら.....何とも言えない』

「.....そうだな。多分大丈夫だこっちは。.....それよりまずお前だよ」

『.....そうだな』


そして暫く話して話が纏まってから俺はスマホを切った。

それから天井を見上げていると電話がかかってきた。

何だ?またモナかな。

思いながら電話の主を見る.....それは着信拒否を解除した田中だった。

え?


「もしもし。何だ。どうしたんだ田中」

『ちょっとマズイ事を知ったから』

「は?」

『.....糸魚川のお父さんに結構多額のお金を貸しているらしい。.....私の親が』

「.....何.....」

『そこら辺はよく分からない。だけど貸しているらしくて』


俺はその事に唖然とした。

そして(幾らぐらい借りているんだ)と思いながら考え込む。

すると田中は(そっちに人が行かなかった?)と話す。

俺は「そうだな」と答えた。

すると(それ以外にもあるかもだけど.....)と答える田中。

マジか.....。


(っていうかそれ詐欺じゃないか?お前の親は知ってやっているのか)

(どうかな。うちの母親はそれも目論んで相手様にお金を貸したみたいだけど。何がしたいか分からない)

(お前の親も大概じゃないか?それって)

(さあね。これが.....犯罪?になるのか知らないけど)


(私も分からない)と疲れた様な文面を送ってくる。

俺はその言葉に(何で俺にそうして教えてくれたんだ)と聞く。

その言葉に田中は(康太にも。.....そして糸魚川にも借りがあるから)と話す。

そして(でもゴメン。これからもう私は二度と貴方達には会えない)と書かれた。

え!?


(今までありがとう。康太。糸魚川にも言っておいて。.....実家に帰る事になった。これから先は監視下の元になるからメッセージとかは厳しいと思う)

(は?待て!!!!!田中!!!!!)


だがそれ以降.....スマホの電源が切られた様だ。

全く通信ができなくなった。

俺はその事に盛大に溜息を吐く。

それから「何で!?」と吐き捨ててスマホを投げ捨てた。

何がどうなっているんだよ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る