第25話 「貴方が好きです」

☆(糸魚川モナ)サイド☆


人生が全て終わったと思った。

今まで積み上げた地位も全て投げ出されたものと思った。

そんな時にアイツが。

つまり田中が罪を被ってしまった。


「.....田中.....」

「勘違いしないでほしいけど別にアンタの為じゃない。私の心の為。.....このままじゃイライラするから」


アタシに関してだが.....先生達に掃除とか礼儀の面で認められていた点もある。

そして他人を助けようとした点。

それから萌葉、矢住、そして八海達のお陰で.....多少の叱責で無罪になった。

退学とかじゃない。

その事に感謝しかなかった。


「.....お前も変わったな。田中」

「.....康太を助ける為だった。だから糸魚川は余計」

「それはツンデレだぞ。田中」

「うるさいよ。康太」


康太に関しても同様に無罪になった。

過去の件もあったが.....だけど働きぶりが認められたのだ。

そして同じ様に助けられた。


そして例の不良達だがみんな警察に引き渡された。

間違いなく裁かれるだろう。

因みに何とか大会。

ミスコンは開催される事になった。

アタシはその中で.....立ち上がる。


「そろそろ出番だから行ってくる」

「.....ああ。気をつけてな」

「.....ありがとうな。田中。康太」

「私は何もしてない」


それからアタシは体育館に向かう。

そして体育館の隅の方から中に入ると矢住にハグされた。

待てコラ何をして.....!?

康太以外に抱きしめらても嬉しくねぇ!


「良かった。無事で」

「待てコラ!?何をしているんだ!」

「貴方が無事で良かった。モナちゃん」

「恥ずかしいってのテメェ!それに人が見ているから!!!!!」


「全くこのアホは!」とそう思いながら慌てる。

それから何とか涙目の矢住を引き剥がす。

そして見ると矢住を見守っている女子が居たり男子が居たりした。

アタシはその姿を見ながら赤面する。

すると矢住が手を広げた。


「行こう。貴方が輝く場所に」

「アタシはそういうの興味ないっての.....」

「でも本当は〜?」

「揶揄うな!」


「全く」と怒りながらアタシは大きな3と書かれたエントリーナンバーシールを貼ってから体育館の裏手から登って行く。

すると「きゃー!!!!!」と一際大きい声が上がった。

それから「糸魚川センパーイ!!!!!」と大声が.....オイオイ。


「めっちゃかっこいい!」

「可愛い!」

「PrPrしたい!」


1人だけ頭がおかしい奴が居る。

だけどまあ「悪い気はしないな」。

そんな事を呟きながら思いながらアタシは


周りを見渡すと田中と康太と家族が居た。

アタシを見守って柔和になっている。

まあ田中以外は、だが。

田中は腕を組んでから真顔でアタシを見ている。


「.....」


(遂にここまで来たんだな)という実感が湧いた。

それからアタシは周りを見渡す。

大歓声が上がっている。

そして視界がチカチカする。


「という事で今回のエントリーは3名です!」


という女子の司会の合図が聞こえた。

それから3人。

アタシを含めて八海と.....吉田という女子と共に審査が始まる。

因みにコンテストはプロポーションとかチャーミングポイントで決めるらしく.....いやどうでも良いんだけど恥ずいな.....。



そしてコンテストは進んでいき。

そのままアタシ達にスポットライト?が当てられる。

この中から特に眩しく光った人がコンテストの優勝者らしく。

ってかどうでも良いけど。


「では!コンテストの結果を公表します!投票数です!」


司会はノリノリで案内する。

それから投票が公表されて.....アタシは。

アタシは2位になった。

1位の八海は167票で吉田は160票、アタシは166票だった。

僅かなその結果に「あー!!!?!」とか落胆の声がする。


「八海さんが優勝です!」


そう言いながら司会は八海にコンテストの優勝トロフィーと景品(1ヶ月間の学食無料券)を満面の笑顔で進呈した。

アタシは苦笑しながら八海を見る。

するとその事に不愉快そうにいきなり八海が「待って!!!!!」と声を発した。

何だよ。


「誤差がある。.....私は全然こんなのでは優勝してない。.....それに今回は学校を守ったヒーローが居るわ」

「へ?」


アホみたいな声を発すると八海が表彰台から降りてトロフィーを持って来た。

それからアタシを見てくる。

「1票は私が入れるわ。貴方に」と話してくる八海。


すると奥から「そして今から1票を私が入れるから」と矢住が。

何を言ってんだ!!!!?

それ反則.....。

思いつつ唖然としていると周りが騒ぎ出した。

反則の事に文句を言うのかと思ったが。


「確かにそれは良いんじゃね?」

「そうだな。学校を守ったヒロインだ」

「賛成する」

「モナちゃんhahs!!!!!」


拍手喝采。

頭がおかしい奴がやっぱり居るけど.....っていうか!

待て!何でそうなる!?

アタシは真っ赤になりながらそのまま赤いマントを着せられる。

それから優勝トロフィーを八海が握らせてきた。


「.....貴方こそ真の優勝だと思う。.....糸魚川先輩」

「.....八海.....」

「という事で.....優勝は糸魚川モナさんに決定!!!!!」

「「「「「ナイス!!!!!」」」」」


それから何故かそのままアタシが優勝してしまった。

アタシは顔を引き攣らせながら康太達を見る。


康太はニコッとしながらナナは目を輝かせて母親は涙を浮かべて田中は苦笑しながら居た。

その光景を見ながら居ると司会がマイクを持ってインタビューをしてきた。

ノリノリでだが。


『それでは恒例の優勝者にインタビューです!糸魚川モナさん!貴方は学校中のヒーローの様ですがどういうお気持ちですか!?』

「いや.....待て。どういう気持ちって言われても。アタシは.....」


アタシは困りながら居ると何故か康太がいきなり壇上に上がって来た。

それから康太は「そいつは実はちょっと話しづらいところがあってな」とマイクを何故か奥から来た矢住から受け取りながら見てくる。


アタシは「へ?」という感じになる。

司会者も「???」という予想外の感じを見せる。

この事はプログラムの中に入っておらず完全に予定外の様だ。

そして康太を見ていると康太は「モナ。実はな」と切り出した。

それからマイクに話しかける。


『俺さ。実はお前が好きなんだ。それで.....矢住と交渉した』

「.....ヘぁ?」


アタシは目をパチクリした。

まさかの告白に体育館中が大騒ぎになる。

そして跪く康太。


「ま、待て!?田中に許可は!!!!?」とあまりの事に動揺して心臓が跳ね上がり景品を落として絶句するアタシ。

それから田中を見る。

田中は横を見ながら無口になっている。

え.....え!?


「.....という事は.....」

「そうだ。田中にも相談してある。全て計画して言っている」

「じゃ、じゃあ.....あ、アタシは.....」

「「付き合って下さい」って言ったら付き合ってくれるか?」


そんな格好良い康太にアタシは赤くなる。

人生で一番赤面している気がする。

そして目を回した。

それから動揺していると「告白大会でその。振られるのが嫌でな」と切り出した。

「恐らくそれは万に1つもないとは思うけど」とも。


「.....康太.....」


アタシは「でも待て。アタシと付き合うのは半端じゃないほど茨の道だ。パチンカスのクソ親父とかその.....良いのか」と涙をポロポロ流しながら康太を見て答える。

もう人前で泣くのが当たり前になってきているな。


その事に康太は「まあ俺の人生を見たろ?大丈夫だ。.....俺はお前に人生を捧げる価値があるって思ったしな」と話してくる。

いやいや頭おかしい。

絶対にこれは断るべきだな。

パチンカスの親父が居るんだし。

アタシと付き合う価値なんて.....ない。


「.....アタシだって.....」

「ん?」

「.....アタシは.....アンタの事が.....」


アタシは頭の中で今まで振り返る。

それから苦笑して首を振ろうとしたが。

それが一切できない。

それからアタシは唇を震えさせて真っ直ぐに康太を見た。

そして。


「貴方が好きです」


と頭の中で想像している言葉とは別の事を言ってしまった。

その言葉に康太は頷く。

それから笑顔になる。

そしてこう言ってきた。


「ありがとう。モナ」

「.....それはアタシのセリフだ。.....康太。ありがとう」


そしてアタシ達は付き合う事になった。

こんな壇上でクッソ恥ずい。

思ったが。


アタシは.....アタシは。

これは絶対に後の思い出になる。

そう思いながらアタシは康太を抱きしめた。

康太は「ありがとう」と言いながらアタシを抱きしめる。

受け止めてくれた。


ーーーーー


※ご連絡※


こんな場所に書くのが癪ですが失礼します。

これにて一章完結します。

この先のプロットですが全然まだ纏まってないです。

でも必ず完結させます。

エタらない様に気を付けながらです。

皆様の応援に大感謝です。( ・∇・)

いつもありがとうございます!

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