第24話 襲撃
☆(田中萌葉)サイド☆
風の噂で.....いや。
インターネットで情報を掴んだ。
何の情報かといえば康太が通っている高校でミス・コンテスト.....つまり(ミスコン)が行われるという。
私はそんなものにまるで興味はないが不思議と足が向いてしまった。
それから案内人の方に従い学校内に入る。
「.....」
すると多数の学校の何も知らない生徒からチラシなどの歓迎を受けた。
私はウザく反応しながらもそのまま教室を巡ってみる。
そうしていると「何をしているんだ」と声がした。
背後を見ると康太が腕を組んで立っていた。
「.....康太.....」
「お前また邪魔しに来たのか。懲りないな」
「.....違う。.....邪魔をしに来たって訳じゃないけど。.....ミスコンがあるっていうから学校に通っている康太に会えるかなって」
「それは言い訳だな?.....先に忠告しておくがお前が邪魔するなら容赦なくこの校舎から追い出してもらうし出禁にしてもらう」
「.....分かってるよ」
康太は私を監視する様に見てくる。
私はそんな姿に「別にそんなに監視しなくても何もしない」と答えた。
だが康太は肩を竦めて「どうだか」という感じを見せる。
その姿を見ながら居ると「康太?どうした」とまた別に声がした。
それから声は刺々しくなり私に向いてくる。
「何をしている。お前」
「.....見て分かる通り。学校に来たんだけど」
「は?学校に来た?そんなもの見れば分かるんだが」
「.....じゃあ何」
「アタシが聞きたいのは何をしに来たんだって話だ」
私はその姿を見る。
まるでアイドル以上。
相当に可愛い姿をしていた。
私はその姿にそれなりに眉を顰める。
「アンタ、ミスコンに出るの」と聞いた。
すると糸魚川は「別に。どうだって良いだろ」とそっけなく答える。
「.....どうだって良い.....ね。そう」
「.....それよりもお前。変な事をしたらマジにこの地上から消し飛ばすからな」
「あはは。面白い事を言うね。私にそんな力がある様に見える?今」
「.....無いな」
「私はアンタに対しては確かに恨みはあるけど。.....揺らいでいるだけだしね」
「.....揺らいでいるってのは」
「そうだね。私が正しい事をしているのかって感じでね」とくだらないと言う感じで吐き捨てる様に言う。
すると糸魚川は「ああ。そうかよ。.....それは至って普通の感情だわな」と答えた。
私は「!」と思いながら糸魚川を見る。
「ようやっと気づき始めたんだなお前も」
「.....康太?」
「.....それが普通だ。今は異常だ。.....ただそれだけだ」
「.....」
私は「そう」と言いながら2人を見る。
そうしていると外から「きゃー!」という悲鳴が聞こえた。
私は「?」と思いながら外を見る。
そこに学ランを着た様な男どもが5人ほど案内人の女子生徒を押しながら居た。
つまり.....不良だ。
「ここに糸魚川モナってのは居るか!そして夏川康太ぁ!!!!!宣戦布告っつーか!!!!!ぶっ殺す!!!!!」
そんな絶叫を放つ不良。
私はまさかの事に「またか」と思ってしまう。
そうしていると声を聞いた先生達が「何だね!君達は!」と怒りに行く。
私は「危ない」と思いながら居ると側に居た糸魚川が素早く駆け出して行こうとしながら動く。
するとその肩を掴んで止める康太。
「モナ待て。アイツらは俺もお呼びだ。俺が行く」
「.....康太.....でも.....」
「お前が行って騒ぎになったらひとたまりもない。.....俺が行く。.....まあ俺が行っても何も変わらないしあれかもしれないが」
「.....」
そんな康太が歩み出そうする。
私はそんな康太に胸に手を添えて声をかけた。
「待って。アイツらの問題.....あくまで私が行く」という感じでだ。
康太も糸魚川も驚愕しながら私を見る。
「この状況でお前に何ができる」と聞いてくる康太。
「.....あれは私の責任で呼んだ様なものだから」
「いやまあそうだけど.....」
「関係が結局.....調べたら芋蔓式に私に関連するし私が行く」
「なら俺も行く」
「.....いやそれこそ何で?意味が分からない.....」
「どうやらお前は少しだけでもマトモになっているっぽいしな」
私は驚きながら康太を見る。
「こう見えて中学では番長。つまり不良をやっていた。お前も知っているだろその事は」と言ってくる。
いやまあ知っているけどそれはあくまで2年ぐらい前の話だ。
康太達が実績を積み上げた今ではない。
私は唇を噛みながら溜息を吐く。
「どうなっても.....知らないよ。多分地位を捨てる覚悟で行かないと」
「.....それの覚悟の上だ」
そして私は「やれやれ」と思いながら校門に向かう。
それから荒くれ者。
つまり不良達の前に立った。
不良は私達を見下しながら「ああ。お前は糸魚川の彼氏の夏川康太だっけ?それと田中。お前ら2人共に世話になったな。その節は。まあ夏川は.....死んでほしいけど」と言ってくる。
やはり私を知っていたか。
って言うか無駄に言葉が多すぎる。
ウザイ。
「お前ら。せっかくのミスコンを邪魔すんなよ」
「みす.....?いや。しらねぇよ。邪魔っていうかお前をぶちのめす為に来た様なもんだしな。糸魚川もそうだが。どうせ捕まる。ならお前らを殺して捕まるわ」
「こんな大きな場所だとマジで直ぐに警察来るぞ」
「その前にお前を殺すから大丈夫だけどな。糸魚川もまとめて」
「話が通じないな.....頭デッカチが」
「そう言って良いのか」と言いながらまさかの不良は胸元から布に包まれたサバイバルナイフを取り出してくる。
布を捨ててから康太に煌びやかな鋭利なナイフを見せた。
周りがそれ以上の悲鳴に包まれる。
逃げる生徒も出始めた。
康太は「マジかよ」と言いながら汗をかき不良を見る。
その側で(どこで買ったのだ)と私は青ざめる。
「マジイラつくしな。兄貴分の恨みだ。死ね」
教師達が学校の校舎から持って来たと思われる刺股を取り出した。
クマ撃退用スプレーもちょうど持ってだ。
それから教師達が周りの4人の不良と揉み合いになる中。
そのサバイバルナイフを取り出した不良の大男に康太が立ち向かう。
教師達の手によって警察も既に呼んだ様だが警察がこの場所に来るのは少し時間がかかるだろう。
計算上ではだ。
噂だが最低2分はかかると聞いた事がある。
2分もあれば十分この大男に康太は殺されるだろう。
一体どうしたら良いのだ?
火を点けたのは私だ。
どうするべきだ。
汗をかきながら考えているとボソッと康太が言った。
「田中。お前は他の生徒に混じって逃げろ」
「いや待って。逃げるってどこに逃げたら良いの」
「安全な場所に決まっているだろ。良いからこの場所から離れろ。興奮した野郎だ。マジにこのままでは刺されるぞ。あれは死ぬぞ」
「.....」
私は考え込む。
それから見るとその不良の背後に目を光らせた糸魚川がいつの間にか回っていた。
逃げる生徒に混じってから来た様だ。
思いっきり殺意が見える。
そしてそのままサバイバルナイフを持っている不良に正拳突きを喰らわせてから気絶というか撃沈させた。
不良は泡を吹いて悶えながらそのままバタッと気絶する。
私はそれを見て糸魚川を見た。
苦笑いで康太が一声を発しながら近付く。
「モナ.....悪い。マジに助かった」
「.....ああ。でもコイツらに大声で叫ばれたりされたしもう学校に居られないな。.....せめてお前だけでも.....と思ったのに」
「お前.....」
「.....」
泣き始める糸魚川。
本気で悔しがっている様だ。
私は初めて見た気がする。
糸魚川の涙をだ。
すると康太は糸魚川を抱きしめた。
それから頭を撫でる。
「.....まあ俺も悪いし.....モナ。そこら辺は大丈夫だ」
また苦笑いを浮かべる康太。
生徒や他の不良を捕まえた先生達が私達に注目してくる。
そして顔を見合わせている。
私はその姿を見ていると生徒指導部の先生らしき人物が糸魚川と康太に近付く。
「生徒指導室に来い。2人とも」という感じで言われる。
そして2人は何の抵抗もせず行こうとする。
その背中に私はまた盛大な溜息を吐いて「待って下さい」と声をかけた。
「うむ。君は?」
「星学園.....近所の高校の田中萌葉という生徒です。.....他校の生徒で申し訳ないんですけど.....糸魚川も夏川くんも何も悪くないんで」
「え?」
「.....この不良を呼んだのは私です。.....だから悪いのは私なんで」
私はそう必死に告白する。
糸魚川も康太も「?!」という感じになった。
これで良いのだ。
私だけが罪を被るべきだ。
その顔を見ながら更に生徒指導部の先生に言葉を続けようとした時。
「待って下さい」と更に声がした。
そして背後を見ると.....。
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