第23話 心の鎖の解放

☆(夏川康太)サイド☆


正直言って俺はモナを見る目が変わった。

モナの事を、いや。

正確には愛花のせいだけど変わってしまった。

全てが変化した。

この世界は.....変わってしまったのだ。


俺は愛花の件を聞いてモナを見るたびに何か恥ずかしい気持ちになる。

その事はモナには内緒だけど。

というか知られたとしても何の感情か分からないから問題はない気はする。

考えながら俺はミスコンの準備に追われていた。

道具を準備したりして.....いる。


「よいしょ」

「あ。康太。アタシも運ぶよ」

「ミスコンの出場者が怪我したらどうするんだ。いいよ」


それから俺は道具を運んでいるとモナが手に触れてくる。

その事にボッと赤面しながら俺はよろける。

すると「危ねぇ!」という感じでモナが支えてくる。

俺は「すまん」と言いながらモナを見る。


「.....ったく。どうしたんだお前は」

「.....いや。すまん。ちょっとな.....」

「もしかして風邪の後遺症とか言わないよな?」

「それは無いから安心しろ。お前が世話してくれたお陰でな」

「.....そっか」


それから俺はモナから手を離す。

そして道具を運んでいると覗き込んできた。

モナが、である。

俺はボッと赤面した。


「やっぱりお前熱があるんじゃないか?」

「ねぇっつーの。全く」

「なら良いが。.....じゃあアタシは戻るから」

「.....」


俺はその背中を見送ってから胸に手を添える。

それからほうっと息を吐く。

そう.....か。

大体は理解したが。

俺ももしかしたらモナが好きなのかもな。


「相思相愛ってか。.....でも俺には.....」


眉を顰めながら俺は俺は廊下の窓から外を見る。

そうしていると「貴方」と声がした。

それは.....八海だった。


確かコイツは1年生だったな。

思いながら八海に「こんにちは」と言う。

すると八海は「どうしたんですか?そんな大荷物」と聞いてくる。


「ああ。.....ウチのヒロインの荷物だよ。職員室に運ぶ」

「.....そうなんですね」

「お前はどうしたんだ?やけに可愛い格好をしているが」


八海はアイドルの様な姿をしている。

俺は「?」を浮かべながら八海を見る。

八海は「これは衣装です」と答えながらニコッとした。

それから俺に向いてくる。


「何か思い悩んでいる顔をしていますね」

「ああ。.....え?分かるのか?」

「そうですね。.....大方.....恋をしている感情ですか?」

「.....やれやれ。君には参るね。全て見透かされている様な」

「いえいえ。そういうのが私は好きなだけです」


それからニコッとする八海。

俺に付いて来る。

「八海はどこに用事だ?」と聞くと。

八海は「私の用は同じ職員室ですね」と答えた。


「ついでだからその荷物を一緒に運びましょうか」

「いや。その必要はないよ。怪我をしたら大変だからな」

「そうですか?優しい方ですね」

「それが当たり前って思っているだけだ」


そして職員室に荷物を運んでから俺は「じゃあまたな」と八海に声をかける。

すると悩んでいる姿だった八海はこんな言葉を発した。

「もしかして恋をしているのはモナ先輩ですか」という感じで.....。

俺はずっこけた。


「ああ。そうなんですね。やはり。さっきのお2人の姿を見てから思いました」

「.....見ていたのか」

「そうですね。.....言いませんよ。絶対に」

「そうしてくれると助かるが」

「.....でも良いですね。恋をしているヒロインと主人公。相思相愛じゃないですか」

「そうだな。.....でも俺は恋はしないつもりだからな.....色々あって」

「それで良いんですか?」


八海が真剣な顔をして俺に向いてくる。

俺は「え?」という感じで八海に反応する。

予想外の反応だったからだ。

すると八海は「私は貴方が無理に恋をしないって意固地になっている様に思えます」と言ってきた。

唖然とする俺。


「.....意固地.....」

「そうですよ。.....何の呪縛か知りませんが貴方は悩みすぎだと思います。夏川先輩は.....ね」

「.....君から見て俺はいけないと思うか?」

「いけないと思います。.....意固地すぎですね。もっと好き好きアピールをしても良いと思います。私はモナ先輩はライバルと思っていますが。その点は違いますのでヒントを与えます」

「.....」


俺は静かに考え込む。

何だか鎖が解けた様なそんな感覚になった。

そんな感じに思いながら俺は八海を見る。

「八海。君は不思議な人だね」と言葉を発した。

すると八海は「失恋しましたから。そういうの知っています」と向いてくる。


「.....そうか。.....小学校?中学校?」

「デリカシーがないですよ。先輩。.....でも敢えて答えるなら中学校ですね。同じクラスの男子に告白しましたけど.....」

「.....そうだったんだな」

「そうですね。それからは私はどうでも良いや。人の恋を全力で応援したいって思いましたけど」


(横暴な考え方だ)と俺は思ったがそういうのも良いよな。

そんな事を考えながら八海を見る。

「では。時間がないので」と言って八海は去って行く。

俺はその姿を見送りながら「サンキューな!」と声を発した。

すると八海は「はい」と言いながら俺に苦笑する。


「.....ありがとうございます」

「.....お互いに頑張れれば良いな」

「ですね。夏川先輩」


それから俺達はそのまま別れてから作業を進める。

そして何とか祝日に差し掛かり.....そのままミスコンが始まった。

マネージャー(矢住)が必死に演出する。

いつの間にかモナのマネージャーになっているんだがこれで良いのか?

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