第19話 友人になってくれる?
☆(夏川康太)サイド☆
ナナちゃんを助ける代償として不良にボコボコにされて傷だらけで入院した。
それから俺は治療の身だったが3日目にしてようやっと部屋からの移動が医者によって許される様になった。
俺は周りを見渡しながら部屋の外に出る。
退院は1週間後。
つまり残り4日はかかるそうだ。
「暇なもんだな」
そんな事を呟く。
スマホゲームをやっていても良いが何時間も暇を潰すのには全然向いてない。
課金しないといけなくなる。
だから俺はこうして歩いている。
それから俺は顔を上げるとそこに制服姿のモナが立っていた。
驚きながら目を丸くしている。
どうやらこうして歩いている事が不思議らしい。
俺は目を細めながらそんなモナに声をかける。
「モナ。来てくれたんだな」
「ああ。来たよ。当たり前だろ」
「学校はちゃんと行ったか」
「行った。学校ではコンテストに向けて準備が始まってる」
するとそんなモナの背後から声がした。
それは矢住だ。
俺を見ながら「ハロハロー」とニコニコしていた。
それから俺を心配げに見てくる。
俺は「大丈夫だ」と応える。
「確かにあちこち殴られたけどまあ死んではないから」
「そう?でも心配だよ。大丈夫?」
「ああ。お見舞いに来てくれてありがとうな」
俺はそう答えながら笑みを浮かべた。
それからモナを見る。
モナは「やれやれ」と言いたげな顔だった。
それから俺を見てくる。
「何かコイツが絶対にお見舞いに来たいって言うから連れてきたんだけど」
「いやー。だって幸せな2人の生活の姿を見たいしね」
「だから付き合ってねーよ!」
「2人は幸せな感じがするから付き合ったのかって思ったけど?」
ニコッとする矢住。
俺はその姿に苦笑いを浮かべる。
それから「立ち話ばかりだと足腰とかに良くないね」と矢住は言葉を発する。
そして俺とモナを見ながら「病室に行きましょう」と手を叩く。
「ああ。そうだな。確かに」
「それとも私はお邪魔ですか?」
「揶揄うな!」
「あはは」
それから矢住とモナは俺が病室に戻るのを手伝ってくれた。
俺はベッドに腰掛けながらそのままモナと矢住を見る。
すると矢住も椅子に腰掛けた。
そしてモナも腰掛ける。
そうしていると矢住が「大変だったね」と真剣な顔をした。
「まあこうなったのは俺のせいだしな」
「だけ聞いた話。かなり喧嘩に強いね。夏川くん」
「そうだな。まあ.....」
「.....康太は強いけど。それはアタシを守る為にあるんだよ」
まさかの言葉に俺は驚いた。
それからモナを見つめる。
モナは赤くなった。
真っ赤になる。
そして「お前はクラス委員だしな。矢住。アタシな。.....康太が好きなんだ」と告白した。
矢住はその言葉に茶化す様な真似はせず。
そのまま「そっか」と優しく微笑んだ。
「.....告白してくれてありがとう。.....私は.....応援する。貴方達が付き合うとするなら心から」
「矢住.....」
「私は心配だった。常にモナちゃんは一人だから。だからとても不安だった。だけどそんな貴方も信頼できる大切な人ができた。これはなんて幸せなんだろうって思う」
「.....」
矢住は俺達を見ながら「正式には恋人同士じゃない。分かっているけど付き合ってないんだ?」という感じになる。
その説明は俺から全てをした。
すると矢住は「そっか」という感じで反応をする。
それから矢住は「じゃあもし付き合う様になったらもっと祝福しないとね」と矢住は頷きながら俺達に顔を向けてくる。
「.....でもアタシは今は確かに付き合えないって思う」
「それはどういう事?モナちゃん」
「アタシはそんな資格は今はないって思っている。.....コイツに.....康太とまた同じ肩を並べられた時が資格ができた時だな」
「ふむふむ。何とも不思議な人間だね。モナちゃんは」
「当たり前の事だ。資格が有無で随分変わるしな」
「.....そっか」
そして「でも私は応援する。モナちゃんはとっても良い子だから」とにこやかな感じになってモナに話す矢住。
すると矢住は「あ!そうだ。ねえ。モナちゃん」と聞いた。
モナは突然の事に「何だ。顔が近い」と威嚇する。
「私と友人になってくれない?」
「.....は、は!?そ、そんなのお断りだ!!!!?アタシがそんなの作る人間に見えるか!?」
「私はそう思う。.....貴方は知らないだけ。孤独だけが全てじゃないよ」
「.....」
モナは酷く困惑しながら「どうしよう」という感じで俺に向いてくる。
目が吊り下がっている感じだ。
俺はその姿にニヤッとしながら「作ったら良いじゃないか」とコメントする。
モナは「えー.....」という感じだが。
やがて俺から頑張って視線を外してモナはモジモジしながら矢住を見た。
「.....こ、康太が言っているから友達を作るだけ。い、イヤイヤながら作るだけだからな!!!!!」
「素直じゃないねぇ」
「それは確かにな」
「お前ら.....」
そんな感じで頬を膨らます不愉快そうなモナに俺は笑みを浮かべる。
それから時間はあっという間に過ぎ去り。
2人は面会終了の帰宅時間になった。
俺は2人を見送ってからそのまま病室の窓から外を見る。
頑張るか俺もと。
そう思えた。
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