あなたと歩む道

第17話 アイラブユー

☆(糸魚川モナ)サイド☆


アタシ達は警察にも親にも怒られた。

警察には「何故こんな危険な真似を」と言われた。

母親には「もー!」という感じで怒られた。


だけど.....絶対にアタシ達が向かわなければ間に合わなかった。

それを考えると危険を犯して正解だったと思う。

そう考えながらアタシは病室で康太の看病をする。

康太は寝ていた。


「.....」


『好き』


(何を言ってんだよマジに!!!!?)と絶叫したくなる感情を抑えながらアタシは俯いてから顔を覆う。

真面目に恥ずかしすぎる。

あまりにも恥ずかしい。

絶望的に恥ずかしい。

そんな3連発をしながらアタシは首をイヤイヤな感じで振っていた。


「バカじゃないのかアタシは。.....好きって。.....康太に好きって」


(アタシなんかがそんなの.....ありえない)と思いながらアタシは康太を見る。

手元のリンゴを剥きながらアタシは必死に康太を看病する。

幸いだが精密検査の結果、康太は脳にダメージはなかった感じだ。

頑丈な身体だなって思う。

だけど腹部に多少の火傷を負ってしまった。


それはスタンガンを押し当てられた際に出来た傷だ。

そして頭に2針の裂傷を負っている。

アタシは反省しかない。

康太に.....そんな傷を負わせた事に。

やっぱりアタシは何の価値もない人間だろうなきっと。


「.....」


そうしていると優しく握っている手を康太が握り返した。

アタシはハッとする。

それから顔を上げると康太が起きていた。

そしてアタシを見ている。


「.....よお。元気か」

「.....康太.....」

「一晩ぶりだな。.....多分だけど」

「そうだな。.....そうだな」

「一晩だけ寝ていたろ?俺は」

「そうだ。昨日から気絶していた」


アタシは康太を抱きしめる。

それから涙を流した。

すると康太は「苦しいわアホ」と言ってくる。

アタシは離れながら「別に良いだろ。お前が心配なんだから」と告げる。


「.....なあ。モナ」

「何だ」

「.....お前が好きって言ったがそれは本当か」

「.....は!?ば、バカじゃないのか!そんな事言ってない!!!!!」

「いや。お前は確かに言った。俺が好きだって」

「あ、あう.....も、もう忘れてくれ」


アタシは真っ赤になる。

すると康太は「忘れないよ。.....お前が好きな人は俺だったんだなっていう事が分かったしな」と言いながら康太はアタシを見てくる。

そして康太は「実はな。.....俺もお前が好きかもしれない」と話してくる。

超絶真っ赤になるアタシ。


「そ、それはマジか?」

「.....ただし俺は.....相手を好きになるって感情が分からないんだ。まだ。だからこれが確定的とは言えない」

「.....そっか」

「だけどいつかははっきりとさせる。.....その時まで待ってくれるか」

「そうだな。分かった」


そしてアタシは康太にはにかんで八重歯を見せて笑顔を浮かべた。

すると康太は微笑みを浮かべてから窓から外を見る。

「すまないけどもう少しだけ寝させてくれ」と話してくる。

アタシは「寝てくれ。いくらでも」とアタシは康太の手を握った。


「.....ありがとうな。康太」

「俺は何もしてない。.....お前が頑張ったおかげだ」

「.....アタシの?.....そんな事はない。お前のおかげもある」

「.....」


康太は「その謙遜は無くした方が良いぞ」と言いながら寝る。

スヤスヤと寝息が聞こえた。

アタシは赤くなりながら「本当にありがとうな。康太」と告げる。


それから周りを見渡した。

「あくまで誰も居ないよな?」と呟いた。

監視カメラとかないよな?

まああっても無くても同じだけど。


「.....」


アタシはベッドに手を添えて康太の顔にゆっくりと近づく。

それから手を握るのをやめてそのまま今度は顔を持って唇に唇を合わせた。

そしてそのままキスを交わす。


アタシはそれから顔をずらして愛おしい人の胸に顔を添える。

康太の心臓の音を聞いてからそのまま離れた。

今はクソ恥ずいからこのぐらいで勘弁したい。


「.....康太。これはお礼だ。アタシからの。.....そしてナナからの。受け取ってくれ」


そんな事を呟きながらそのままアタシは柔和になってリンゴを剥いた。

それから皿に移してからそっと置く。

そしてアタシは康太が起きるまで待った。

というか.....お見舞いの時間が無くなってアタシは最終的には病院を強制的に出ざるを得なかった。



アタシは恋をしてはならないと呪縛をかけていた。

だけどたった1人の愛しい人に出会い。

アタシの心の鎖は溶かされた。


彼との子供を作り。

家族になり。

生涯.....彼と一緒に人生を終わりたい。

そんな事を思えるぐらいの人間だった。


お婆さんになってもアタシは一緒に居たいぐらいに思える。

アタシはその為なら全てを捨て去る。

過去は捨て去り.....頑張りたいって思う。


「.....頑張らないとな」


そんな事を呟きながらアタシは先に退院したナナの元へ向かう。

まあ元へって言ってもただの帰宅だけど。

そして帰って来ると.....ナナが顔を見せてくる。

その顔を見てからホッとした。

今回は居たからだ。


「おねーちゃん。おかえり」

「ただいま。ナナ。.....大丈夫か?」

「うん大丈夫。ありがとう。おねーちゃん」

「.....」


アタシは家の中に上がる。

それから笑みを浮かべながらナナを抱きしめた。

そしてアタシは.....ナナの頭を撫でた。

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