第15話 殲滅
☆(田中萌葉)サイド☆
私は何か間違っているのだろうか?
でもどう考えても糸魚川だけは絶対に許せないのだ。
私から彼を奪っていこうとしている。
何というか私自身は2人居た彼氏の片方と別れてから今に至っている。
別れるのは大変だった。
私のもう一人のお付き合いしている相手に対しては説得して別れてもらった。
それまでがかなり大変だった。
その分、私は康太に甘えたいって思う。
考えながら私はSNSで調べていると.....面白い記事を見つけた。
それは糸魚川の過去の件だ。
糸魚川はどうやら過去は不良だったらしく。
私は口角が緩むのが止まらなかった。
これなら彼女から彼を奪い取れる。
私が正しいという事を示してやるのだ。
「.....待っていてね。康太。絶対に貴方を取り返す。虜にしてみせる」
そんな感じで考えながら私はニヤニヤしながらSNSを見る。
それから糸魚川と敵対していた不良に見られる様にSNSに情報を提供したのだ。
そして考えた通り不良達はその情報を掴んでから糸魚川を殲滅しに行った.....のだがまあ失敗に終わったみたいだ。
いずれにせよ私は康太が居ないと生きていけない。
そう。
康太は何よりも大切だって気が付いたのだ。
私はどんな手を使ってでも.....まあ犯罪になったら困るがどんな手段でも康太を取り返してみせる。
考えながら私は放課後になってから歩いていると目の前を康太と糸魚川が歩いているのに気が付いた。
「.....妬ましい存在だな。やっぱり」
そんな事を呟きながら私はその姿を見てから背を向ける。
それから歩いていると.....目の前に糸魚川に似た少女がランドセルを背負って帰っているのに気が付いた。
(そういえば糸魚川には妹が居たな)。
そう考ながら糸魚川に似ている少女につい声をかけてしまった。
「ごめんなさい。.....道を教えて欲しいんだけど」
「え?あ。道ですか?どちらに行かれますか?」
「この辺りに詳しくなくて。.....それでちょっと声をかけたんだけど.....」
「そうですか!えっと。私詳しいですよ」
この少女は糸魚川に似ている。
やはり妹かもしれない。
私は考えながら妬ましいその顔を見た。
そして情報を掠め取ろうとした。
女子高生だから油断している様に見える。
「郵便局に行きたいの」
「あ。じゃああっちの道ですね。行ってみましょうか」
「.....そうだね」
私はそう言いながら歩くとポケットが震える。
その事に(ごめんなさい。後でまた)とやり取りの掲示板に書き込む。
するとSNSが震える。
(そのまま来て)と回答がくる。
掲示板のその記載に「え?」と思って歩いていると糸魚川の妹が「こっちです」と案内してくれた。
そして糸魚川の妹と一緒に歩いていると.....直ぐにいきなり影から男達が現れた。
5人であって全員が額とか頬に何かくっ付けている。
それはガーゼだ。
朝に康太にやっつけられた奴らだろうか。
そう考えていると糸魚川の妹は怯え始めた。
「お兄さん達はその。誰ですか」という感じで、だ。
私も違和感を感じながら不良達を見た。
すると不良達はニヤニヤしながら糸魚川の妹を見る。
「君は糸魚川の妹だよね?」
「はい.....?そ、そうですけど」
「ちょっと用事があるから一緒に来てくれない?」
「い、嫌です。誘拐じゃないですか」
「まあそんな感じ?誘拐みたいな。でもそれでも良いけどさ。俺ちょっと許せない部分があるっつーか」
そして逃げようとした糸魚川の妹はあっという間に捕まった。
それからワンボックスカーに乗せられる。
「大人しくしろ!!!!!」という感じで、だが。
私は「待って!?どうなっているの!」と言ったが。
5人は「お前は誘き寄せる材料になった。コイツは糸魚川の妹だしな。誘拐してから糸魚川を誘き寄せる」と答えた。
それから一気にワンボックスカーは発進する。
そしてあっという間に視界から消えた。
私は愕然としながらその車を見送る。
そうしてから考えた。
「警察に連絡しないと」
こうなるとは完全な予想外だ。
そんな事を思いながら電話しようとしたが。
頭にさっきの光景が映って手が止まる。
だけど。
「.....でも警察に言うのは良いけど私の言う事を信じてもらえるのか?」
そんな事を悩んで思いながら先ほどの場所を見るとそこに散乱している物品の中に子供用ケータイがあった。
地面に落ちている。
その携帯には着信があっている。
私は携帯を拾ってからそのままその場を立ち去ろうとしたが.....。
☆(糸魚川モナ)サイド☆
絶対におかしい。
10分前から何回もコールしてもナナに繋がらない。
いつもはコールは1回で出るのに。
考えながら用事が済んだアタシは電車に乗って帰って来た。
そして家に帰って来て気が付いた。
ナナが帰って来てない事に。
どこに行ったのだ?
そう考えているとスマホに着信があった。
それは.....非通知。
「.....もしもし」
『糸魚川かな』
「.....お前もしかして田中か。何でこのナンバーを知っている。一体どこからかけているんだ」
『公衆電話.....というかそんな事は今はどうでも良い。.....アンタの妹だけど攫われた』
「.....は.....?」
『私見たから。ワンボックスカーに乗せられているの』
「.....は.....?.....は?」
『.....そういう事だから』と電話を切ろうとする田中。
アタシは激昂した。
「待て!!!!!」という感じになるが田中は『それだけは伝えないとって思ったから』と言ってきた。
「.....何処に行ったんだそいつらは?」
『分からない。それを知っていたら苦労はしないんだけど』
「.....」
アタシは言葉に血の気が引いた。
そして玄関を開けて鍵もかけずに飛び出して行く。
どうなっているんだクソッタレが!!!!!
本当にクソだな!
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