天候の不順

第12話 康太による裁き

☆(糸魚川モナ)サイド☆


翌日になり康太の家で別れてから準備をした。

それからアタシは登校して来ると.....不良に遭遇した。

その顔は知っている顔だ。


何処で会ったかといえばアタシが不良だった時代の最後の名残だ。

つまり自分がオラっていた時代の敵の不良グループであるが何故この場所が分かったのだ。

コイツらに一切何も伝えてないのだが.....静かにフェードアウトした。

気がつく訳がない。


「2年ぶりだな。糸魚川」

「.....何だお前ら。邪魔すんな」

「そういう訳にもいかねぇ。お前の様なゴミクズに仕返しできるのを待っていたんでな。それでこの場所でずっと待っていたんだ」

「いや暇人か?お前ら。ストーカー以上に気持ちが悪い」

「そう言ってられるか?テメェにゃ散々の恨みがあるしな」


そんな事を言われるアタシ。

「知らないんだが」と否定しながらアタシは「学校行くんだ。邪魔するな」と腹を立てる。

すると「いや。知らねーよそんなの。俺達がお前に復讐するのが先だ」と言われた。

アタシはブチッと何かが切れそうになる。


「そもそも何でお前らこの場所が分かった」

「この場所をSNSで教えてくれた奴が居てね。情報収集ってやつだけど」

「.....」


それは.....アイツだ。

田中萌葉だなきっと。

姑息な真似をしやがって.....クソッタレ。

思いながらアタシは「もうアタシは不良じゃない。いい加減にしろ」と告げた。

すると不良達は「知らないな。犯されろ。テメェはマジに腹立つしな」と声を揃えて話してくる。


「.....」


ヤバいなこれは.....。

そう考えながらアタシは汗をかいた。

男の腕力と女の腕力は桁が違う。

だからこそ状況が悪すぎる。


そう思いながらアタシは不良達から後退りした。

逃げようと思ったのだ。

だが退路は直ぐに塞がれた。

そして不良達が近づいて来た。


「大人しくやらせろ。お前って処女って聞いたし。やりがいがありそうだ」

「そうっすね。兄貴が一番で」

「.....」


アタシは唇を噛む。

そうしているといきなり不良の1人がバキィッと音が鳴る程に殴られた。

そしてその音と共に脳震盪か知らないが気絶した様に倒れる。

見ると.....何故か拳を構えた康太が居た。

アタシを見ながら康太は笑みを浮かべる。


「何をしている?モナ。学校行くぞ」

「何だお前!」

「.....?.....お前らこそ誰?」

「テメェ!俺の仲間に手を出しやがって!」

「知らないな。手を先に出したのはお前らだろ。よってたかって女の子を犯そうとしたろ?ゲスだな」


不良の1人が怒る。

そして康太に襲いかかる。

アタシは「逃げろ!かなわねぇよ!数が多い!」と絶叫した。

すると康太は「まあ確かにな」と言ってからあっという間に3人倒した。

それからアタシを犯そうとした兄貴分を見る。


「お前.....何だその強さ」

「俺は強いんじゃない。コイツらがパンチとか大きく振り翳していて全部素人に見えるだけだ。.....ヤケクソの拳なんて止まって見える」

「.....!」


アタシはハッとする。

それからアタシは康太が熱を出していた時を思い出す。

確か腹筋が割れていたし筋トレもしていたって答えた.....。

(これはそういう事か)とアタシは考える。

すると最後に残った奴が警棒の様な物を出した.....え!?


「警官を舐めんな」

「.....は?元警察官なのか?情けないな.....」

「まあ元とかそんなのはどうでも良いわ。仲間がやられた分はやり返すしな」

「.....」


そして警棒を振り翳す男。

するとそれを躱して耳を思いっきり力任せに掴んだ康太。

握られた激痛ゆえか「いてて!」と警棒を落とす男。

その隙を見て康太は一気にねじ伏せた。

それから冷たい視線を向ける。


「そんなに大きく振り翳したら隙だらけだな。人が一番痛みに弱い場所だ。.....覚えておくんだな」

「クソッタレが!」

「.....」


康太はそう言いながら一気に5人倒した。

そして警察にTELして駆け出して行く。

アタシは絶句していたが途中でハッとしてから「大丈夫か?その.....拳とか」と聞いてみる。


すると康太は「俺は大丈夫だよ。.....まさか筋トレがこんなところで役に立つとは思わなかったけどな」と柔和になる。

そんな康太をアタシは見つめた。


そしてその瞳を見ているうちに1つだけ分かった事があった。

それは.....多分だが。

あくまで推測の範囲だが。

アタシはもしかして。


康太が好きなのか?


と思ってしまった。

そんな訳が無いとは思う。

だけどアタシは今までの事を考えてみてどう考えてもそれしか思い浮かばない。

アタシなんかがこんな男の子を好きに?


だがアタシは.....そんな資格はないと思うのだが。

でも想いが溢れ出してしまう。

困ったのだが.....本当に困ってしまった。


アタシなんかがこの人を好きになる。

いや。やはりありえない。

そうだ。


アタシなんかが好きになって良い訳がないし。

そしてやっぱり考えられないな。

気のせいだな。

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