第10話 死神
☆(糸魚川モナ)サイド☆
(何が起きてんだぁ!!!!?)と絶句しながら借りた風呂の中で頭を抱えて悶えながらアタシは次に胸に手を添える。
夏川とその、えらい事だが。
木!?気!?キスをしてしまったんだが!!?!!
アタシの胸はバカみたいに高鳴っている。
ヤバいんだが。
そ、その。キスってこんなに心地の良いものだとは思わなかった。
本気のガチで恥ずかしい。
いくらミスとはいえこれは.....。
「すまん。糸魚川」
「な、何だ」
風呂から上がって髪を乾かしているとそう言われた。
夏川は深刻そうな声をしている。
(何でそんなに深刻なのか)と考えたがハッとした。
それから考え込んだ。
(キスの事か)と思いながらだ。
「夏川。気にす.....」
そこまで考えて言ってからアタシは考え込む。
それからニヤッとした。
(これはもしやチャンスではないか?)と思いながらだ。
そして借りたドライヤーを置きながら「あー。キスされたなぁ」と意味深に呟いてみるとドアの向こうの夏川がビクッした様な声を出す。
それからアタシはドアを背もたれにして腰掛ける。
「キスされたなぁ。こうなった以上は何かしてもらわないとなぁ」と意味深に心臓をバクバクさせながら呟く。
すると夏川は「な、何が言いたい」と言葉を発した。
アタシは「キスされたら買い物に行きたくなったなぁ」と話した。
「.....付き合う」
「そうか。.....う、うん。良かった」
「.....何でもする。すまない」
「あー.....夏川。そんなにショック受けるな。アタシはお前なら構わない。わざとじゃないしな」
「まあそうだけど.....でも唇を奪ったのは事実だ。だから反省したい」
そこまで言われると意地悪したくなる。
例えば「ならアタシと付き合ってくれ」と冗談で言いたかったが何故かその言葉は口から出せそうになかった。
胸と顔に火が点くぐらい恥ずかしい。
何故こんな気分になるのか。
「夏川は誠実な奴だな」
「.....俺は反省するべき点は反省するからな」
「意味が分からないけど。.....でもそれは良い事だと思うぞ」
「糸魚川。すまなかった。本当に」
「あまり気にすんな」
そしてアタシは「出るぞ。そこに」と告げる。
それからドアを開けると夏川が立っていた。
アタシはその顔を見て.....そして火が点くぐらい恥ずかしくなる。
何でこんな気分になる!?
顔を見ただけで!?
「.....夏川。.....すまん。見つめるな」
「すまないな。糸魚川」
「アタシは気にしない」
「.....そうか。それで救われたよ。俺は」
「.....」
アタシは胸に手を添える。
そしてこの言葉だけは言えそうだったので言った。
「なあ。夏川。もし良かったら.....アタシの名前を呼んでくれないか」という感じでだが。
すると夏川は「何でだ?」と疑問符を浮かべる。
アタシは「お前に名前で呼んでほしい」と必死な思いを告げた。
「キスまでした仲だろ」
「馬鹿野郎。あれはミスだ」
「と、とにかく呼んでみてくれ」
「.....恥ずかしいんだが。今は呼べない」
「あー。アタシは唇奪われたなぁ」
「お前な!肝心な時にそれを出すな!?」
「でもアタシは呼んで欲しいから」とアタシは夏川を見る。
夏川は困惑しながらも「.....なら。モナ」と呼んだ。
(ンフ!?むず痒い!!!!!)
そう考えたがアタシはその事に嬉しくなりながらも抑えながら「康太」と呼んだ。
すると夏川もむず痒いのか「うふ!?」という感じになる。
何だそれ。
「.....止めようぜ。恥ずかしい」
「いや。アタシは呼ぶ。康太ってな」
「.....止めないのかよ.....」
「そりゃそうだ。今がチャンスなんだ。アタシにとっては」
「チャンスって何のだよ」
「内緒だ」
「全く。訳が分からない」という康太を見ながらアタシは赤くなる。
そして見ていると康太のスマホに電話がかかってきた。
康太はスマホの画面を見ながら眉を顰める。
アタシもハッとしてから真剣な顔をした。
「.....何の用事だ。.....萌葉」
『電話しちゃダメなの?』
「俺がロックかけてなかったせいだが.....っていうか当たり前だろ。俺達はもう他人同士だ」
『私はそうは思わない』
「.....思わないとか思っているとかそういう次元の問題でもなくなってきているけどな。全部お前のせいで」
『まあまあ。私、実は反省したの。私』
「反省ね。今更反省するとか遅い」と話す康太。
アタシはその姿を見ながら田中にイライラしていた。
そして電話の言葉を聞き続ける。
康太は「二度と電話するな」と怒る様に話す。
『何で?私は.....こんなに反省したって言っているのに。別れるつもりだよ?康太がやっぱり好きだから』
「お前が反省するとは思えない。.....お前は地獄の使者だ」
『それって全部糸魚川のせいでしょ?』
「.....糸魚川が何故出てくる」
『私はこんなにも貴方を愛しているんだよ?.....糸魚川を倒してからよりを戻そうよ』
「そんな事できると思うか。目の前で糸魚川聞いているぞ」
すると康太はアタシを見る。
アタシは頷きながら聞き続けた。
田中は『そうなの?糸魚川聞いているの?』と驚く。
その言葉にアタシは電話先に告げる。
「聞いているからな」という感じでだ。
『うーん。何で糸魚川がそこに居るの?』
「.....お前のせいで引いた風邪を看病してくれた。.....赤の他人に構ったせいで引いた風邪の為に一生懸命してくれた」
『.....』
「.....お前と全然違って彼女は誠実だ。.....もう二度と話しかけてくるな。この電話もロックをかける」
『うんうん。.....そう思うって事はやっぱり糸魚川は敵だね。あはは』
そう言いながら最後に田中はこう言った。
アタシに対して「糸魚川。貴方の人生に康太は必要ないでしょ?貴方は何なの?康太の彼女気取り?」と話した。
そして電話は康太の手によって切られロックを康太はかけた。
アタシは眉をひそめる。
「.....気にすんな。結局として用件は仲良くしたいって事だろうけど。今更知ったこっちゃない」
「.....アタシもそう思う。.....だけど康太。それでも」
「何だ?」
「.....アタシはお前が心配だ。大丈夫なのか」
「こういう人はどこにでも居る。だから大丈夫だ」
アタシを見ながら康太はそう反応してくれた。
そして手を広げて差し伸ばしてくる。
「リビングに行こうぜ。冷えるしな」という感じでだ。
アタシはその言葉に「ああ」と返事をした。
そしてそのままリビングに戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます