第8話 クソ女に世話されてほしくない
☆(糸魚川モナ)サイド☆
アタシが泊まるのには理由がある。
それはあのクソ女に夏川の身の回りのお世話をしてほしくないのもある。
何故かといえばあの女は本当に最悪な感じがする。
寝言で全部聞いた。
改めてだけどアタシはあのクソ女を敵と認識した。
考えながらアタシは夏川を見る。
夏川は「少しだけ眠い。寝ていいか」と言ったので寝た。
アタシはその姿を見ながら「ああ」と返事をしてから寝てもらった。
それからアタシはウズウズしながら夏川の部屋の中を見渡す。
夏川の部屋はどこか懐かしい感じがする。
初めて入った気がするんだが。
「何だってんだろうな。ったく」
そんな事を思いながらアタシは本が無数に置かれた棚を見る。
それから一番上のアルバムに手を伸ばした。
そして写真を見ると夏川の幼い頃の写真が無数にあった。
アタシはその姿に笑みを浮かべる。
「可愛いな」と思いながらだが。
すると幼い女子が一緒に写っている写真があった。
何だかこの女子に嫉妬してしまうが.....ん?
この人物はどっかで見た様な。
そんな事を考えながらアルバムを(?)と思いながら見ていると夏川が「んん」とうめき声を上げた。
「ひゃあ!」と驚くとそれから「.....愛花」と呟いた夏川。
どうもまだ寝ている様だが.....って?愛花?
「.....愛花.....いや。まさかな」
その名前には思い当たる節がある。
それは幼い頃の記憶だ。
飯場愛花(いいばまなか)という女子が居た。
当時はアタシも友人が居たのだ。
そして愛花はいつも太陽の様に輝いた笑顔をしていた。
だけど愛花は病院の療養で引っ越した。
高度な治療が必要だという事で.....だが.....まさか。
まさか愛花って!?
思っていると夏川は涙を浮かべた。
「.....」
アタシはアルバムを置く。
それからアタシは夏川の手を握る。
そして夏川の手のひらを両手で優しく包み込む。
そうしてから見ていたのだが記憶が無くなってしまった。
どうも寝ちまった様だ。
☆
「糸魚川」
「.....ん.....?ホア!?」
気がつくと何故か夏川がアタシに接近していた。
そして場所が結婚式場になっている。
(な、何で!?)と思いながらアタシは周りを見る。
周りはみんな祝福をしている。
アタシの姿は何故かヴェールを被った新婦になっている。
(は!?)と考えながらボッと赤面して夏川を見る。
「な、夏川.....さん?何を.....」
「何ってモナ。ヴェールを上げて誓いのキスをしないと」
「ま、待て!?アタシは何かしたか!?」
「お前はこれから新妻だ。俺の妻だ。.....俺が告白して結婚しようってなったんだぞ?」
「は、は!?嘘だろ!?」
「なん、え!?これって夢か!?」
そう思いながら居ると夏川はどんどん迫って来た。
このままではキスをマジにされてしま.....う。
けど何だかそれも悪い気がしないー。
☆
「おい。糸魚川!」と改めて声がした。
アタシは目を覚ましてから周りを見てみる。
すると夏川がアタシを見ていた。
夏川の部屋の中だった。
「.....あれ?結婚式は.....」
「は?結婚式?お前は何を寝ぼけているんだ」
「.....そ、そうか。アタシは夢を見て.....って寝ていたのか!?」
「そうだよ。お前は19時から2時間は寝ているぞ。今は21時だぞ」
マジかよ!?
アタシは急速に顔を赤くした。
それから夏川を見る。
夏川は「でもありがとうな」と言ってくる。
アタシは「は?」という感じでそのまま顔を上げた。
「お前さ。手を握ってなかったか?俺の」
「は!?そんな訳あるか!?アタシがそんな真似するかよ!!!!?ばっかじゃねぇのか!?ばーかばーか!?!!?」
「嘘を吐け。お前が手を握っていて動けなかったぞ」
「へ!?あ、あう.....」
アタシはみるみるうちに真っ赤になる。
それから「分かった!アタシが悪かったよ!」と顔を覆う。
すると夏川は「誰もんなこと言ってねぇよ」と苦笑した。
それから指を下に差した夏川。
「飯作った。食べようぜ」
「は?お前もう動いて大丈夫なのか?!」
「お前が念力を俺の手に込めたから治ったんだよ。もう平熱だ」
「.....へ!?.....あ、あう.....」
「全くお前は」と言われるアタシ。
アタシは真っ赤になりながら俯いた。
「ところでお前は何か良い夢でも見たのか?」と聞いて来る夏川。
アタシはビクッとしながら首を思いっきり横に振った。
「聞くなテメェ!変態!」と絶叫しながら身体を守る様にしながら威嚇する。
「待て待て。それぐらいで威嚇するなよ」
「全く。女には秘密が多いからな!容易く聞くな!」
「.....」
何か考え込む様な仕草をする夏川。
「何だよ一体」と言いながらアタシは警戒混じりに夏川を見る。
すると夏川は「お前って飯場愛花を知っているか?」という感じで顎に手を添えながら聞いてきた。
アタシは血の気が引く。
「し、知らないな」
「気のせいだったら良いんだ。ただ寝言でお前がそう言っていたから」
「.....そうか。でもアタシは知らない。そんな女子は」
「そうか」
今バラすべきなのか?
アタシはそう思っていたがあえて言わない事にした。
今はそのタイミングでは無い気がしたからだ。
そう思いながら夏川と一緒に階段を降りた。
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