第2話 陽が差し込む時

「糸魚川に申し訳なかったな」と思いながら俺はまた糸魚川と接しつつ結局放課後になった。

それから俺は萌葉に訳を聞く為にイライラしながら待ち合わせ場所の公園に向かう。


すると何故か萌葉が居たのだがそれ以外にも見知った顔が居た。

それはかなり睨む様な顔のドキツイ顔をしている糸魚川であった。

俺は「?!」と思いながら隠れる。


「お前が田中か」

「.....はい?誰ですか貴方」

「アタシは糸魚川モナって言うんだけど。アンタさ。夏川って奴知ってる?」

「夏川康太ですか?私の彼氏ですけど.....何ですか。貴方」 

「私はアンタが好かないんだけど。前に夏川に見せてもらった写真を観て偶然アンタを見たから声をかけた。アンタなんかいけすかない事してない?」

「何で初対面の人にそんな事を言われなくちゃいけないんですか?貴方誰ですか?康太の何ですか?」

「あ、アタシは夏川に借りがあるから。だからアンタに声をかけた」


「借りがあるって何ですか?」と不愉快そうな顔をする萌葉。

俺は「何故糸魚川が?」と考えながら糸魚川と萌葉を見た。

すると「とにかく」と糸魚川が言葉を発した。


「万が一アイツに何かしたらマジに許さないから。本当に許さないから」

「貴方は付き合っているんですか?違いますよね。友人ですよね?」

「ゆ、友人じゃねーよ!」

「友人じゃないなら貴方は何なんですか?意味が分からない」

「知り合いだ。クラスメイトっつーか!」


俺はそんな萌葉と慌てる糸魚川を見る。

何しに来たんだ糸魚川は?

そう考えながら観察していると糸魚川は「アイツは命の恩人だ。だからアンタが落胆させたらマジにぶちのめすから」と告げてから去った。

萌葉は不愉快そうな顔をしながらスマホをまた弄る。

俺は糸魚川と萌葉のそんな姿を見てから萌葉に声をかけた。



正直に言って不愉快さが取れない。

考えながら俺は萌葉と行動していた。

それから早めに切り上げてから帰宅していた。

すると目の前に糸魚川が電信柱に寄りかかっているのに気がついた。


「何をしているんだ?糸魚川」

「ば!?別にお前を待っていたとかじゃないからな!」

「まだ何も言ってない」

「あ、そ、そうか。すまん」


糸魚川は俯く。

まさかずっと待っていたのか?

その事に「何でこんな場所で電信柱に寄りかかっているんだ」と聞いてみる。

すると糸魚川は「か、金を落としてな!さ、探していたんだ!」とカァッと赤くなり説明をしてくる。


「じゃあ探さないとマズくないか?」

「も、もう見つけた!だからじゃあな!」

「は?」


それから猛スピードで去る糸魚川。

その途中で振り返ってきた。

そして聞いてくる。

「な、なあ。嫌じゃ無かったらウチ来ないか?」という感じでであるが。

俺はそんな姿に「は!?」と唖然とする。


「何でいきなりそうなるんだ」

「い、いや。お前が困っている顔をしているからな。嫌じゃなければ」

「いや。ありがたいけど困っているのは今もだぞ」

「そ、そうか。すまん」


だけどせっかくのお誘いを断るのもな。

考えながら俺は「分かったよ。じゃあ少しだけだぞ」と諦める感じで告げた。

するとパッと明るくなる糸魚川。

何だこれは?初めて見る顔だな.....。


「あ、有難うな。妹が待ってるから早くしろ」

「何でそんな命令形なんだ。全く」

「い、良いから。早くしろ」


それから俺は糸魚川の誘いに乗った。

そして俺はそのまま糸魚川の家に向かう.....が。そこで全ての真実を知った。

何があったかって?

糸魚川がどれだけ苦労しているかを知ったのだ。



「糸魚川。これは.....」

「妹と一緒に死ねば良かった。だけど生きる意味を知ったんだ。お前のおかげでな」

「.....」


糸魚川の家。

それはボロボロのアパートだった。

築60年のアパート。


失礼ながら今までここは心霊スポット。

つまり幽霊屋敷かと思っていた。

俺は眉を顰めてしまった。

それから糸魚川を見る。


「ヤンキーにならないとやってられないんだ。親父はギャンブル中毒だしな」

「糸魚川.....」

「強く他人を守りたい。だからこそだ」

「お前は強いな。糸魚川」


「強い訳じゃ無い。ただ強く形成されちまっただけさ」と皮肉めいて話す糸魚川。

俺は俯いた。

それから糸魚川を見ると糸魚川は手すりを掴んでから俺を見てくる。


「ありがとうな。来てくれて」

「俺は来ただけだぞ」

「アタシにとってはそれがとても幸せだよ。マジにありがとうな」

「.....意味が分からんな」


何で俺なんかにそんな感謝するのやら。

俺は訳も分からず糸魚川を見る。

糸魚川は笑みを少しだけ浮かべながら俺を自宅に案内した。

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