第7話作戦会議
竹内は昼休み時間に、杉岡上司に近付き、今までの新田とのやり取りを話して相談に乗ってもらいたいと言うと、明日の金曜日にいつもの仲間を集めて作戦会議を開いてくれるそうだ。
金曜日。
杉岡と竹内と内田との3人でいつもの居酒屋で飲み始めた。
「かんぱ〜い」
3人は11月でも美味しい生ビールを飲んだ。
そして、世間話をしていると竹内が、
「せ、先生、お願い致します」
と、杉岡に言った。
「おっ、そうだったそうだった」
「あゆみちゃん、何の話し?」
と、内田が尋ねる。
「友美ちゃん、例のコンビニ店員との今後のアプローチをどうするか?」
内田は笑いながら、
「あゆみちゃん、11月の深夜にキャミソール姿で、胸を強調させて、翌日高熱を出した話しは知っているよ」
「友美ちゃん、この前、王子様が私の名前を聞いてきたの」
「へぇ〜、やっぱり、胸を見せたからかなぁ〜」
と、内田が言う。
「あゆみちゃん、次、コンビニでコンドーム買いなさい。そして言うんだ。『温めて下さい。この私を』ってな」
竹内は、
「そんな、破廉恥な事言えないし、出来ませんよ」
「じゃ、何故、この前、11月なのに薄着でコンビニへ向かったんだい?」
「……。そ、それは……」
言葉を失った竹内の代わりに、内田が、
「その王子様と、プライベートで会えないのかなぁ〜?」
「そうだそうだ。このままじゃ、単なるコンビニ恋愛になってしまう。待ち伏せしたらどうだい?」
竹内は深いため息をついて、
「じゃ明日の夜勤前の王子様を待ち伏せして見る。社員通用口の側に待機してみる」
「そう、それがいい」
「杉岡さん、今夜は前祝いとしてガンガン飲みましょう」
「そうだな、内田ちゃん。竹内ちゃんも飲みなさい」
3人は深夜まで飲んだ。
翌日
竹内はコンビニの社員通用口のすぐ隣に立っていた。時間は、午後16時半。
バイト君やバイトちゃんが行き来していた。17時半、声を掛けられた。
「お姉さん、ちょっといいかな?」
竹内はニコリとして振り向くと、警察官だった。
「さっき、店から通報があってね。コンビニの通用口に不審な女性がいるって」
竹内は、
「人と待ち合わせです」
「待ち合わせねぇ〜。身分証明書ないかな?免許証とか」
竹内はバッグから財布を取り出して、免許証を警察官に渡した。
しばらくすると、
「もう、日が落ちるのが早いから、そのお友達に電話して、帰りなさい。どうしても、ここで待つなら、コンビニの表にいなさい。裏門は怪しまれるからさ」
警察官は笑顔で対応してくれた。
竹内は、ストーカーまがいのこの作戦に地団駄を踏んだ。
しょうがないから、コンビニで弁当とお茶を持ってレジに並んだ。
店員は、オーナーの堀口さんだった。帰り際、店内を見るとバックヤードから新田が現れた。
職務質問が無ければ、会えたのに……。
しばらくは、コンビニ恋愛である。
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