第101話 ペンバートン姉妹の暗躍?

 朝起きたら空が紫色をしていた。

 どうやらこれは結界魔法の類らしいのだが……つまり俺たちは学園の敷地内に閉じ込められたということになる。


 原因解明のため、教職員が大騒ぎをしながら慌てふためている――が、あの様子を見る限りだと、すぐに出られそうにはないな。


 というか、今のこの状況って……


「舞踏会の時に似ていますね」


 カルロが俺の考えをそのまま代弁してくれた。


「君もそう思うか……となると、あれも俺やロミーナを標的にしている連中が仕掛けたことなのか?」

「断言はできませんが、可能性はあると思います」

「そ、そんな……」


 俺たちの会話を耳にしたロミーナは、その場に崩れ落ちてしまう。

 ……迂闊だった。

 彼女はまだあの魔法使いに襲われたことへの傷が完璧に癒えてはいなかったのだ。


「大丈夫か、ロミーナ」

「え、えぇ……」

「すぐに事態は変わらないと思いますので、お部屋でお休みください」

「そうさせてもらうわ」

 

 顔色も悪いようだし、ここはパウリーネさんに任せよう。

 俺だと女子寮まで入ってはいけないからな。


 残った俺とカルロ、そしてモリスさんは憎らしげに空を眺めていた。


「なんとかして打ち破れないものかな」

「それは難しいでしょうな。あの結界魔法……学園全体を覆うほど大規模なものとなれば、かなりの使い手が仕掛けたのだろうと思われます」

「使い手……うちの屋敷を襲おうとしたヤツよりも――」

「実力は上でしょうな」


 食い気味にそう告げるモリスさん。

 まあ、薄々勘づいてはいたけど、やはり一筋縄ではいきそうにない相手か。


 ふと視線を空から地上へ戻すと、


「あれ?」


 何やら外に人影が。

 いや、職員たちが未だにあわてふためいているから誰もいないわけじゃないんだけど、明らかに場違いと言える存在だった。


 何せ、学園の制服を身にまとう生徒だったからだ。

 おまけにその生徒……俺はよく知っている。


「エクリアさん?」


 ロミーナのふたりいる姉のひとりで長姉のエクリアさんだった。

 昨日は寮でカテリノさんを目撃したけど……もしかしたら、この現象にあの姉妹が関与しているのかもしれない。


 俺は彼女への接触を試みてみることにした。

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