第66話 イルデからの提案
オルメド王国を取り巻く不穏な影を打ち破るため、俺は生産魔法を駆使して新しいアイテムを生みだそうと誓う。
今回は過去のアイテムと違い、ハッキリと「これ」っていう姿はまだ見えない。ただ、イルデさんと協力してパルザン地方周辺にいると思われる凄腕の魔法使いを捕らえるためのアイテムにしようというのだけは決めた。
これについてはイルデさんからもアイディアをもらいたいと思い、ロミーナとの魔法鍛錬が終わった後で話しかけた。
「イルデさん、ちょっといいですか」
「うん? なんだい?」
「実は――」
俺は昨日の晩に考えた案をイルデさんに伝えてみる。最初はにこやかに話を聞いていたイルデさんだが、徐々に顔つきが真剣なものになっていく。
「なるほど……君の生産魔法で相手の位置を特定できるようにするというわけか……」
「この手のアイテムについては知識があまりなくて……イルデさんからアドバイスをいただければと」
「分かった。私としても実に興味深い話だからね。一度私の家に来てじっくりと話そうじゃないか」
「は、はい!」
「でしたら私も同行します」
会話の途中で入り込んできたのはモリスさんだった。
「近衛騎士として、いかなる時もアズベル様のおそばにいなければなりませんので」
そういえば、父上にもまったく同じことを言っていたな。
さすがは使命感に燃える騎士だ。
もちろん、俺としてはぜひともついてきてもらいたい。
――で、俺とモリスさんが行くとなったら当然もうふたりも手をあげる。
「私も行きます!」
「ロミーナ様が行かれるのでしたら、私も」
「まあ、そうなるだろうねぇ。私としては最初からそのつもりでいたから一向に構わないのだけれどね」
やっぱり四人での行動になったが、それでもイルデさんは受け入れてくれた。
前に話を聞いたところによると、イルデさんの家は少し離れた場所にある森の中にあるらしい。特にロミーナは初めて訪れる師匠の家に興奮気味だった。
「それにしても、こんなに大勢を家に招待するというのは長く生きてきて初めてかもしれないね」
そう語りながら俺たちに背を向けるイルデさん。
心なしか、その声は嬉しそうに聞こえたのだった。
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