第39話 解決策
じっくり話を聞くため、ライナンさんを昼食にご招待。
俺とロミーナで釣り上げた魚を食べながら、土砂崩れによって閉ざされた交易路についてさらに詳しい話を聞いていく。
「復旧はいつ頃になりそうですか?」
「まったくもって見当もつきません……今も作業は続けられているのですが、人が通れるようになるのはいつになることやら」
さらにライナンさんの話では、仮に土砂の撤去が終了しても以前のように人が通れるような地形のままであるとも限らず、何もかもが不透明だという。
最近、父上が元気ないなぁとは思っていたが、まさかこんな重大な悩みだったとは……パルザン地方の未来を左右する大事件じゃないか。
「復旧作業を続ける以外に方法はないんですか?」
「はじめは近くの森を切り拓いて新たなルートを確保するという案も出されましたが……木こりたちは例の大橋に使用する木材を調達するのに手いっぱいでして」
フォルザンとの国境にかけるって橋だな。
あっちは以前から話が進んでいるので、そちらをないがしろにはしたくないっていう気持ちは分からなくもないが、だからといって対応を丸投げされても困るよなぁ。
「何かいい案は……あれ?」
地図を眺めていた俺は、ある点に気づく。
「この湖を向こう岸まで渡りきれば、近道になりません?」
広大な湖の対岸は例の渓谷からそれほど離れてはいない。こちらまで馬車で移動し、対岸から船でこちらへ渡ることができれば距離を従来のルートより大幅に短縮できるのではないかと俺は考えた。
「な、なるほど……しかし、どうやって船を調達しましょうか。このパルザン地方は海から遠く、近くに造船所もありませんし」
「そういう時こそ俺の生産魔法ですよ」
「で、できるの?」
真っ先に反応したのはロミーナだった。
「読み通りにいくかどうかは賭けだけど……現状のままでいるよりはずっといいと思うんだ」
間違いなく、これまでで一番の大仕事になるだろう。
成功できるかは分からない。
だが、やりとげられたら見返りも大きい。
試す価値はある。
「今日の夜に早速父上へ話をしてみるよ」
「アズベル様の生産魔法で新たな交易路を確保できれば……領主様もお喜びになります」
ライナンさんからも期待されているみたいだし、頑張ってみるか。
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