第25話
「落ち着きましたか?」
「はい...もう大丈夫です...」
固まったまま反応しなくなってしまったのでシャツを着てから抱き抱えて、ソファに座りしばらく待っていると、やっと再起動してくれた。
それでもまだ落ち着かない様子なので、彩香の心音に合わせて背中をとんとんと優しく叩いてリラックスさせていく。
5分か10分か、そのままゆっくりしているとやっと元通りになってくれた。
「健太さんは、お風呂上がりに上半身裸は禁止です!!」
立ち上がり、目の前に仁王立ちするとそう言い放った。
「えっと、き、禁止です!!」
なんとなくじっと見つめていたら少し目を泳がせながらもう一回言ってきた。
「そんなに刺激的だった?」
「うぅ、どきどして、心臓が飛び出ちゃうかと思いましたよ...しかもそのままキスしてきて、そういうのよくないです!!」
「彩香の反応が可愛くて、ついね。反省も後悔もしてないけど、やりすぎちゃったかな?ごめんね?」
そう言うと唸りながら足元に座り、腰に腕を回して抱きついてきた。
よしよしと頭を撫でながらまた少し落ち着くのを待っていると、耳まで赤くして目をうるうるとさせながらこちらを見上げてくる。
「健太さんは、ずるいです。私ばっかりやられて、全然勝てません」
「そんなことないんだけどな。彩香の可愛さに、何度もやられているよ?」
「でも、ずっと余裕たっぷりで、私の方がお姉さんなんですからね!!」
やっぱり可愛いなぁと思いながら愛情を込めて頭を撫でる。
「お姉さんで思ったんだけど、彩香は末っ子だったりするの?」
「いえ、兄と妹がいますよ、三人兄妹ですね。山村さんは、一人っ子っぽいです。」
「そうですよ、一人っ子です。彩香は真ん中なんだね、それで甘えん坊なとことお姉さんっぽいとこがあるんだ?」
「私ってそんな感じに見えます?あんまり自覚ないですけど...」
「普段の仕事中の彩香はキリッとしてて、お姉さんというか大人って感じだね。今みたいに2人きりの時は、甘えん坊な末っ子って感じ」
「2人きりの時も大人の余裕で健太さんをいっぱい甘やかしてあげます!」
「うん、よろしくね?」
そう言いながら未だに抱きつき腹筋に顔を押し付けている彩香の頭を撫でておく。
「こんなふうにのんびりしてるのも良いけど、夜も遅いしもうそろそろ寝よっか」
「そうですね...寝室はあっちです」
そう言いながらも動く気配がないので抱き抱えて寝室に足を向ける。
密着した体から彩香の鼓動が速くなるのを感じてくすりと笑うと、赤くなった顔でばしばしと抗議するかのように叩いてくる。
寝室に入るとより一層鼓動が速くなるのを感じる。
「心臓壊れちゃいそうなくらいどきどきしてるね」
そう言うと、うーうー唸って腕を突っ張り離れようとするが、危ないよと耳元で囁くことで大人しくさせた。
優しくベッドに横たえると、羞恥と情欲の混じった顔でじっとこちらを見上げている。
反応が楽しくてじゃあ寝ようか、なんて言いながら隣に横になって抱き寄せると、ぎゅっとしがみつきながら可愛く唸り続けている。
「健太さんは、意地悪です...」
唸るのを止めたと思ったら、抱きついたままの彩香がそんな事を言ってきた。
「私の反応楽しんで、たくさん意地悪してきます...」
「可愛い反応してくれて、つい調子に乗っちゃうんだよ」
優しく撫でながらそんな言い訳をしてみるが、言い訳するんじゃないとでも言うかのように、弱々しくぺちぺちと肩を叩かれる。
「わ、私も健太さんに意地悪してやりますっ...」
そう言ったかと思うと体を起こし、お腹の上を跨ぐように乗っかってくる。
下から自分の体に跨っている彩香をじっと見つめ、どんなことをしてくれるのかなと待っていると、ゆっくり体を倒して唇を合わせてきた。
「それだけ?」
軽いキスを一度して体を起こしてしまった彩香を挑発すると、真っ赤な顔をむっとさせて、再度唇を合わせてくる。
半開きにした口から舌が伸びてきたので、迎え入れるようにこちらからも舌を伸ばして絡め合うと、びくりと震えて引っ込めてしまった。
そっと後頭部に手を添え、逃げられないようにしてから彩香の口内に舌を侵入させると、探るようにちょんちょんと舌が当たり、ゆっくりと絡めてくる。
少しすると慣れてきたのか積極的になり、貪るように深いキスをし続けた。
どれほど時間が経ったのだろうか、ふと体を起こした彩香は息を荒くさせ、情欲で染まった目でこちらを見つめている。
「健太さん...好きですよ...」
囁くようにそう言うと、寝巻きを脱ぎ始めた。
「寝るんじゃなかったの?」
「我慢できないです...したいです...」
自分の寝巻きを脱ぎ終えた後はこちらのシャツに手をかけ、脱がそうとしてくる。
彩香のしたいようにさせていると、シャツを脱がせ終わってすぐ、裸になった上半身に何度も何度も口付けをしてくる。
部屋の中には彩香の荒い息遣いとリップ音が響き、下着越しに湿った感触も感じられる。
「彩香、こっち見て?」
そう言うと、ぼーっとした夢現な目でこちらを覗き見る彩香と目が合った。
「慌てなくても大丈夫だよ、俺は逃げないし、彩香のことちゃんと受け止めるからね?ほら、おいで?ゆっくり深呼吸しよう?」
すべすべとした綺麗な背中に腕を回して抱き寄せ、手入れの行き届いたさらさらの髪を撫でながら落ち着かせていく。
荒い息遣いがゆっくりとした呼吸に変わってくると、また唸り始めた。
「どうしたの?」
「うぅー...お姉さんなのに...余裕無くして...それなのに...健太さんは...余裕たっぷりで...」
「余裕ってわけでもないんだけどね?ほら」
そう言って硬くなった自分の一部を押し付けると、びくっと震えた。
「け、健太さんの...」
「大好きな人がこんなにえっちなことしてきて、こうならないわけがないでしょ?」
そう言いながら全身を密着させると、お互いの心音が一つになったように感じる。
「彩香、好きだよ」
優しく唇を合わせ、2人は溶け合うように一つになった。
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